武田勝頼の悲哀と懊悩が描かれている
2019/07/09 00:41
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投稿者:ポッケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史小説、伊東潤作品の初心者におすすめです。
武田勝頼だけではなく、桂や小宮山内膳など非常に魅力な人物が登場します。
私がこの著作を知ったきっかけは、金属恵比須です。
武田勝頼と北条夫人を中心とした群像劇
2018/11/30 16:13
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投稿者:Carpaccio - この投稿者のレビュー一覧を見る
北条夫人が武田家に嫁いでから天目山での最期に至るまでを書いた一冊。
甲陽軍鑑をベースとしているらしく、長坂釣閑斎と跡部大炊助が佞臣として書かれており、勝頼も思慮の浅い人物という従来のイメージ通りになっているので、それが苦手な方にはオススメできない。しかし、様々な視点を用いた群像劇は読みごたえがあった。
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武田勝頼の時代から武田家滅亡までの過程を、リアルに活写した作品。物語は北条氏康の娘・桂姫の輿入れから始まり、佞奸の臣・長坂釣閑の屈折した心情を交え、徐々に後戻りできない状況に陥り滅亡するという展開。そこに忠臣・小宮山内膳と裏切り者・辻弥兵衛、片切監物、宮下帯刀父子などの脇役たちも、作品に躍動感を与えています。
2010.07.09読了
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すごい面白かった!武田詳しくないんですが、真田太平記を思い出したり、天地人を思い出したり(笑)しながら前後関係の把握してました。
しかし桂の勝頼への気持ちは男女の恋愛じゃダメだったのかしら?
そもそもその辺の桂の心の遷移が共感できなくてそこだけはイマイチかな〜…
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勝頼と北条から嫁いだ正室・桂の武田を軸とした、武田家滅亡までの群像劇。裏切る者、忠義を尽くす者、愛憎の姿、父と子の姿など、それぞれが対比して鮮やかに書かれています。
桂や釣閑、帯刀など脇役の話の立て方がよくて、予想よりずっと面白かったです。この勝頼は悩み苦しんでいますが、無能な二代目という書かれ方ではなく、むしろ悲運の武将と言えます。
でももし、勝頼が昌幸の進言に従って岩櫃城に立て籠もったならどうなったのかな~と、少し残念に思いながら考えてしまいました。
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長篠の戦の後から武田家滅亡までの話。偉大な先代を父に持つ勝頼の、出生から持ち続けた苦悩と、陣代として武田家をまとめきれない心痛が描かれている。
おかげで戦バカ的な印象しかなかった勝頼像だったのが変わってきた。
また、勝頼の周りにいる正室や重臣たちだけでなく、下級武士たちの武田家に対する想い・感情も描かれており、本作が武田勝頼一人を主人公としたものではなく、タイトルどおり武田家滅亡にからむ多くの人物の視点からとらえた大作といえる。
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長篠の戦の後から武田家滅亡までの話
北条から武田勝頼に嫁いだ桂を軸に武田家の終焉を描いた。
長篠の戦いに負けたことが原因でなく、マネジメントの失敗が武田家滅亡の原因であった。
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長篠の戦い以降武田滅亡までを描いています。信玄を継いだ勝頼は、信長や家康、また謙信の後継となった景勝と張り合う器ではなかったようです。内務官僚の長閑や裏切り者弥兵衛の手玉に取られる勝頼ですが、北条から嫁してきた桂に亡くなるまで支えられたのは救いです。長閑や伊奈の地侍三代の描写はこだわりを感じました。
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物語を膨らませる上で作者はいい仕事はしていると思うが、武田氏滅亡の過程について史実を変える訳には行かず、返って膨らませた部分の作り物感が強調されてしまうのがこのテーマの難しいところではないだろうか。
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勝頼の奥さんが輿入れしてから武田家滅亡までの5年間?の話。600ページくらいあって、こんなに話あるのかな?と思いながら読んでいたが、北条、上杉、徳川との駆け引き、高天神の話、物語を彩る魅力的な登場人物、武田家を見限る家臣たち、そして滅亡へ…と話がてんこ盛りであり、読み応えあり!
勝頼の奥さんを見ていると、戦国時代は、男だけでなく女性も強かったんだなあと思った。戦国時代はすごい魅力的な時代ではあると思うが、その分悲劇も多かった悲しい時代なんですね。
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主な視点人物は、北条家から武田家に嫁いだ桂と、彼女を迎えた武田勝頼ということになるのだが、本作は“群像ドラマ”の体裁だ。“派閥”のようなものが形成されて纏まらない武田家中の人々から地侍に至るまで、多くの人々が登場し、それぞれの「武田家滅亡」が、勝頼・桂夫妻の運命に収斂して行く…
「上の立場」の物語も在るのだが…本作に関しては、「伊奈の地侍達」や「内膳と弥兵衛」というような男達の物語に強く惹かれる…
本作は、何か「強い余韻」のようなモノも残る作品だ…或いは…本作のような「敗者の物語」というものは概してそうなのかもしれない…
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信玄亡き後の甲州武田家の棟梁となった勝頼だが、長篠で信長と家康の連合軍に破れたことにより、勢力が弱まる。しかしそれだけが原因で武田家は滅亡へとむかったわけではない。
長篠後の武田家は増大する信長の勢力に対抗するために、南関東を支配する北条家から桂姫を輿入れさせ、同盟を結ぼうとする。
嫁入り後の桂姫は二心なく一貫して両家の繁栄を祈り行動するが、勝頼の側近・釣閑の策謀により、武田家と北条家の関係は悪化する。金山の枯渇により軍資金の不足が深刻になったと判断した釣閑は北条家領内にある金鉱脈を狙ったのだ。
武田家が無敵を誇れた一因は潤沢な軍資金にあったが、それも金山があってのこと。武将と言うより経済官僚だった釣閑は、長篠で生き残った信玄以来の古参の武将を悉く遠ざけ、武田家内部で権力を集中することに成功した。しかし軍事には疎く、北条家との同盟を壊し、なおかつ金策にも失敗するという最悪の結果を招く。
事がそこまで悪化してから、勝頼は自らの不明を家臣に詫び、釣閑を遠ざけるが、あまりにも遅かった。急速に滅亡への坂道を転がり落ちていく。
勝頼が愚将だったから武田家は滅んだ、というのは簡単だ。
しかし、勝頼は武将としては優秀だった。棟梁としても私心なく、ただ武田家の行く末に心を砕く、凛々しき青年武将の姿が小説からは見える。
武田家滅亡の主な原因は金山の枯渇と、長篠で多くの人材を失ったことによる人的資源の欠乏といわれる。
しかし、人は探し出せばいたんではないかと思う。北条家との同盟をうまく運べば歴史は変わっていたかもしれない。つまりは勝頼が信玄ほど人を見抜く慧眼がなかったということに尽きるのだと思う。釣閑さえいなければと勝頼も思ったことだろう。
この小説は600ページを超す大作で、登場人物が多すぎるので読むのが大変だ。しかし「長篠の合戦以降に急速に衰えた」と、学校ではわずか一行で片づけられる歴史を、とてもドラマティックに描いている。知らないことばかりだったので歴史小説好きにはかなり面白い。
信長、家康と拮抗していたはずの武田家が、一気に瓦解する後半は読み応え十分だ。
武田家を裏切る者、武田家に信義を尽くす者、滅亡の際に立たされた人々の生き様の対比が鮮やかで、心を打つ。時代小説の傑作だ。
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結末がわかっているだけに、武田勝頼ものはあまり積極的に読みたいテーマではなかったけど、この作品はフィクション、というか、“大胆な仮説”により、物語としての厚みが増していて、ただツライだけではない、作品になっていると思う。ただ、大胆な仮説があまりに粒が小さく、そうはならんやろーとこころでツッコミながらも、上下二段組みの長い文章を読みきることができたのは、サイドストーリー的な帯刀の存続が意外と大きかったなと感じた。
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桂の苦悩が……勝頼の苦悩が……その他多くの登場人物たちが、本当に胸を苦しくする。勢いを失ったものの哀しみ、最期まで従う忠義。
人間の感情が詰まった、一冊である。
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「武田家滅亡」(伊東 潤)を読んだ。
『絶対に泣くもんか!』
そう思っていたのに、両頬を伝うこのしょっぱい水はなんだよ。
伊東潤氏にしてやられたなぁ。
歴史が変わるわけではないのだが、『もしもあの時・・・だったら』そう思わずにいられない哀しい物語。
見事な書きっぷりに脱帽です。