ノーベル賞詩人の足跡
2017/01/04 19:59
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投稿者:平良 進 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波新書に珍しく非帝大系以外の著者から、わかりやすいディランの伝記が出ていることは知らなかった。デビュー前からの歌手のありようを細かに綴っていてとても興味深く読めた。何度も結婚を繰り返していたり、いろんなアーティストの影響を受けていたりしていたのが、あまり当人を知らない私には新鮮に思えた。いくつになっても成長をしていくディランの姿に感銘を受けた。多くの人に読まれていい作品だと思う。
歌手であり詩人であり
2020/05/20 23:43
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会の不条理を歌い続けてきたボブ・ディランが、ノーベル文学賞に輝いたのも納得できます。歌詞の中に込められたメッセージを、改めて噛みしめたいです。
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ボブの伝記的記述から各アルバムのレビューにとよどみなく流れ、最後は宇宙的な広がりすら見せる湯浅節ともいうべきディラン論に圧倒される。
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ボブ・ディランに関する本は日本でもいろんな人がいろんな視点で書いている。ディラン本人が多面的なので、観る角度によってそれぞれ面白いん。湯浅学が岩波新書という堅い処から出した本は湯浅氏らしくなく堅い。堅いがディランのディランたるポイントを捉えた上で、新鮮な視点も与えてくれるので、これはディラン入門書としてもディラン好きとしても買いだと思う。「地下室」から「新しい夜明け」までの流れの一貫性とか、キリスト教三部作の評価とか、最近のブートレグシリーズや自伝などの新しい資料からの再評価とキャリアの再編成が反映されていておすすめ。
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世代的にもディランは謎に包まれた存在。
日本のフォークシンガーの多くが影響を受けていただけに、知らないままも魅力があるに違いないと思ってきた。
でも、なんとなく想像や空想、噂や評判だけで、作り上げてきた気もする。
ここで、人間ボブ・ディランを改めて知ることができてよかったと思う。
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ボブ・ディランは不思議だ…どんな曲が?…と問われると
絶句してしまう。でも、聴けば必ずディランだとわかる。
いいなぁ…と思う。ずっと、聴いていたい…と思う。
でも、ディランを歌いたいとは思わない。他の誰でも違う。
それは、ボブ・ディランが取り替えることができない
唯一無二の存在だからだ…そんなシンガーは他にない。
ボクがボブ・ディランにのめり込んでいったのは、
『ブロンド・オン・ブロンド』を聴いてからだった…
なんともラフなつくり…綿密な曲合わせもなく、
まわりのミュージシャンに、曲のさわりだけを伝え、
ほぼ一回のテイクで、そのまま仕上げてしまった…という。
それでいて、人生の深淵を垣間見せる…
ボブ・ディランは、常に「今」を表現しようとしている…のだと
思った。音楽は、それに最も適した方法だ。言葉は違う…
ひとつひとつの言葉が歴史を持つ。ディランの面白さは、
言葉への執着を放棄しないことにもある。
本書にこんなエピソードが紹介されていた…
ジャズにも関心を持つディランはセロニアス・モンクに会った。
のちにジャズに関してこんなふうに語っている…
ーモダンジャズには、特定の意味を持つ通常のことばがなく、
簡単明瞭な標準英語によるものを求めていたわたしに
いちばん直接的に語りかけたのがフォーク・ソングだった。
さらに、日常的に絵を描くことを覚えたディランは云う…
ー描くことで“実際に見えるものから余計な要素を
取りのぞく”ことができる。
その姿勢は、楽曲をつくりあげる姿勢につながるだろう…
ボブ・ディランの人生は、まるごとそのものが作品だと思う。
本書は、それを俯瞰して魅せる…よき指南書だ。
これを手がかりに、その時代をさぐり、その詩精神にふれ、
より耽溺したくなった…今夜もボブ・ディランを聴いて眠る…
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ディランの半生をコンパクトに、かつ、その価値を伝える好著。
天才故に色んな見方があるが、詰まるところしの物言わずにディランのライブを楽しめば良いということじゃないかな?
日本だけで今年再演してくれるキャパの小さい場所でのライブツアーは、英語がよく理解されていない場所だからこそ純粋にその音、リズムに反応することをディラン自身が喜んでいるからでは?
何にしろ4月が楽しみ、嫌な仕事も我慢するかいがあるってもの。
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湯浅さんのディラン本だったら読んでみたいと思った。誕生から現在に至るまでのディランの足跡をコンパクトにまとめた労作だった。
特に60年代の前半、デビューしてたちまち人気者になり、エレキを持つと裏切り呼ばわりされ・・・。「追憶のハイウェイ61」、「ブロンド・オン・ブロンド」というロック史に燦然と輝くアルバムを発表した後のバイク事故。よく知っている話だけれどもまるで物語を読んでいるかのように引き込まれる。約35年間ディランから遠ざかってしまっている自分にとって、80年代以降のディランの流れを知る事ができたのも大きな収穫。
ディランって、いつの時代も変わっていないのだな。表面上はころころ変わるように見えるけれど。
僕にとって、夜な夜なヘッドホンでディランのレコードに耳を傾けていた事が音楽体験の原点。本当に好きだったんだと思い知らされた。まあでも、今度の来日公演にはやっぱり行かないけれど。
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久々にボブ・ディランの歌が聴きたくなりました。
自分的には昔の人ですが、まだまだ音楽のために頑張っていることが素晴らしいです。
詞がいいので、噛み締めて聴かないといけませんね…
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謎の部分が多かったボブ・ディランの活動も、自伝、評伝、ガールフレンドの回想録などの出版物やスコセッシ監督のドキュメンタリー映像、ブートレックシリーズとして発表されてきた未発表音源など、近年上梓された資料により、かなり見通しが良くなった。これらを上手に整理してまとめた評伝で、先行する類書では60年代の活動に記述が偏重しがちだが、本書は、重要な出来事を漏らさず、更に各年代均等に記述されており好ましい。岩波赤版ということもあり、決定版を目指したものと思われるが、ほぼ狙い通りの内容になっているように感じた。
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湯浅 学さん「ボブ・ディラン ― ロックの精霊」読了。ディランマニアにとって、新しい情報はないが、完結にまとまっているので、頭の整理になりました。
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父が大好きだったボブ・ディランを知ろうと思って読んだ本。
ディランの足跡を追うことは、父の足跡を追うことにもなり、楽しめた。
1978年の武道館公演に父が行っていたことを母から聞き、俄然、この本が面白くなった。母から聞いた、当時の父の困惑ぶりは本に書いてあることそのものだった。
初期のディランしか聞いていなかったが、父が亡くなってからのディランも聴いてみようと思う。
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ボブ・ディラン初心者でもよくわかる入門書です。時代背景とその時代のディランの心情が、どのようにアルバムに反映されているかが分かりやすく解説されています。この本と歌詞カードを読みながらアルバムを聴くとさらに楽しめます。
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目新しさはない。が、「テンペスト」まで整理されているのはありがたい。年齢的にディランとは無縁ではないが、聴いていないアルバムの情報を得るのには役に立った。今後の参考にさせてもらう。個人的に、アルバムに関してはここ十数年のディランの方がむしろいいと思っている。「オー・マーシー」以降はすべて購入済みと思っていたが、ブートレッグ以外にも買い漏れがあったことに気づかせてもらった。
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(2016.12.18読了)(2016.12.11借入)
副題「ロックの精霊」
2016年のノーベル文学賞は、ボブ・ディランに与えられました。小説家、詩人、哲学者、といったあたりの人たちが文学賞の受賞対象者と思っていたので、歌手が受賞したということで、ちょっと意表を突かれた感じです。
歌手とはいっても、作詞・作曲をやっていれば、その歌詞に与えられるということのようなので、ある意味では納得しました。
ボブ・ディランの名前は知っていてもその歌をその気になって聞いたことはないので、どんな歌をどのように歌っているのか知りません。手っ取り早く、CDでも買って聞いてみればいいのですが、活字人間なので本の方に先に手が出てしまいました。
シンガーソングライターについて書いてあるなら、歌詞もいくつか紹介されているだろうと、思って読んでみたら音楽活動については詳しく書いてあるけれど、唄っている歌詞の内容については、ほとんど書いてありませんでした。歌詞について知りたければ、
「ボブ・ディラン全詩集1962-2001」
という本が出ているので、そちらを見るとよさそうです。
ボブ・ディランは、歌詞を書いたり、曲を作ったりもするけれど、小説、映画、演劇、絵画、等も活動範囲に入っているマルチタレントの人です。ディスクジョッキーもしているのです。でも、お金を稼げるのは、音楽活動ですね。
「2012年にはアメリカ国民としては最高位にあたる、大統領自由勲章も受賞した。96年以来、毎年のようにノーベル文学賞の下馬評にボブの名が挙がるが、まだ受賞には至っていない。」(248頁)
そうだったんですね。
「ライクアローリングストーン」という曲があります。歌を歌うグループのローリングストーンズのようにという意味なのだとずーっと思っていました。そうではなくて、転がり続ける石のようにだったのですね。
ボブ・ディラン
本名、ロバート・アレン・ジママン
1941年5月24日生まれ アメリカ合衆国ミネソタ州ダルース
父母ともにユダヤ人、父の父母は、ロシア帝国からの移民
母の父母は、リトアニアからの移民
【目次】
はじめに
第1章 ソング・トゥ・ウディ
1 ロバート・アレン・ジママン
2 ボブ・ディランになる
3 グリニッジ・ヴィレッジ
4 ウディに捧げる歌
第2章 ライク・ア・ローリング・ストーン
1 自分で歌をつくる
2 ハモンドとグロスマン
3 時代は変る
4 変化の胎動
5 すべてを故郷へ
第3章 タングルド・アップ・イン・ブルー
1 くそでかい音でやろう
2 イメージ解体
3 決壊前夜
4 魂の彷徨
第4章 ライフ・イズ・ハード
1 終わりのない旅
2 新たなステージへ
3 忘れ去られし時
終章 トゥゲザー・スルー・ライフ
1 いつまでも同じだと思うなよ
2 果てしなきディラン道
あとがき
参考資料
●古びない歌(78頁)
武器商人やそれに加担する政治家を強く批判する「戦争の親玉」も、覇権対立と核戦争への重苦しい不安に触発されて書かれた「はげしい雨が降る」も、特定の人物や事件を歌っているのではない。不正を指弾し対象に怒りをぶつけるのではなく、そうした事例で人間に生じる感情の構造、怒りや煩悩のありさまを伝えるために歌がある、と言っているように思える。
●歌詞がなければ(117頁)
「歌詞のほうが音楽より大事か」と問われると、「歌詞がなければ音楽は存在しえない」と答えている。この会話からボブは、詩を書いていると音楽が〝聴こえてきて、メロディが浮かぶ〟のだ、と曲作りの秘密の一端を明かしている。
●擬装(233頁)
ロバート・ジママンはかつて、〝ボブ・ディラン〟という〝現状の自分以外の自分〟になることを強く欲して、ボブ・ディランを誕生させた。ボブは〝擬装〟によって生まれた。それは強い欲望、今とは別の何ものかになることへの〝愛〟が作用している。
●ジャズマン(247頁)
「ボブはある種のジャズマンだ。その瞬間に自分が感じたことを表現するのが好きなのだ。」
ボブは自分が伝説化することを拒みつづける。
(2016年12月22日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
ディランの歌は深読みを誘う。聴けば聴くほど憶測をよぶ。意味を問うほど意味が逃げていく。謎多き現代の吟遊詩人。「風に吹かれて」「ライク・ア・ローリング・ストーン」など、数々の名曲で人びとを魅了しながらも、つねに人びとの理解を超えていく。その人生の足跡と作品の軌跡をたどり、幻惑するトリックスターの核心に迫る。