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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞作家で歴史小説の名手・今村翔吾が描く、各都道府県ごとに縁の武将を取り上げた掌編小説、西日本編24人の胸打つ物語。
家族と過ごす優しい時、友と交わす固い誓い、戦国武将たちの戦の合間のなんでもないひとときを、独自の視点でユーモラスに演出した作品。
各10ページ程度に潔く纏められているのも武将たちにピッタリで、取っ付きやすくて幅広い層にオススメ。お堅い歴史小説とは違い人間性がわかるエピソードが多く、時代背景の違いから歴史に苦手意識がある方には特にオススメしたい。
誰もが知る有名な武将だけでなく、歴史好きしか知らないような武将にもフォーカスされていて、著者が何故その人物を選んだのかを作品を通して知っていく。その過程がとても楽しかった。
「松永久秀/九兵衛の再縁」忘れられない想いと、後悔と、すべで背負った再出発と。
「龍造寺家兼/老躯、翔ける」武将として長くを生き、多くを見てきた男の最期。
「宇喜多直家/宇喜多の双弾」補い合う大切さ。
「石田三成/四杯目の茶」賢しさも思い遣り。ちょっとした機転と想像力で人生が激変。
「伊東祐兵/泥水も美味し」名家とは何か。
「豊臣秀吉/土を知る天下人」まさにタイトルそのまま。苦労を知るこその敬意。
他、多彩な物語に最後まで飽きる事なく、何度も読み返したくなる一冊。
ほのぼのとした日常のひとときが描かれたエピソードが印象的な東日本編と比べると、巧みな駆け引きのエピソードが多く感じられた。戦の中の重要なひとときが照らし出されていて、十人十色の野望が短い言葉で的確に表されているのがとても良かった。
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大好きな武将も知らない武将も短編ながら、楽しめました。今村翔吾の武将愛が詰まってます。
ちなみに西日本編から読みました。
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面白い、さすがや
西、東、両方読みました。
そして、両方の短編の全てが面白い
こういう歴史物の短編って
時系列に沿ったしょうもないものになりがちだけど、
全てにテーマがあるというか
その武将のここが書きたいってのが伝わる
短編集に作家の力量が現れると言われますが、
やっぱりすごいですね
さて
東、西両方の感想を書くのは大変なので、
面白かった方のどちらかの感想を書こうと
思います
東軍、西軍の天下分け目の戦い
結果は、
西軍に軍配です。
ここに感想書いている時点でどっちか
わかると思いますが…。
西の方で、
やられたと思う短編を2つ紹介したい
まずは、
尼子経久
この外堀を埋めるような手法は
作者お得意の手法と思うが
やっぱり、この表現の仕方好きだわ
尼子こえ~
そして、俺のNO1は
長宗我部元親
正直、姫若子を題材にした短編でしょ
くらいに思ってたのに
そこ!?
そこ、くる!!
と度肝を抜かれました
歴史小説好きだから
より楽しく読めているのかもしれないですが、
オススメです
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文献をもとにした逸話を、さらに色をつけた歴史小説の西日本武将編。
毛利の三本の矢、三成の三杯の茶をそういう風にもっていったか、面白い。
黒田官兵衛は東日本編の竹中半兵衛と連なっていて、こちらも讃えあっているのが納得。
あとは長宗我部元親、蜂須賀家政の話が好み。
23冊目読了。
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東より西の方が土地勘的に馴染みがあるせいか面白かったです。読んで2週間ほど経ちましたが、秀吉の話しか記憶に残ってませんでした。
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東日本編読んでからの著書、短編集の驚きは東で確認済み、少し違いを感じる点は東日本編はどちらかと言うと「心が和む、ホッコリする」エピソードが多かった!著書は戦国の闘いの部分「策略た謀略」が多く描かれていた気がする。どちらがどうでなく楽しみ方が若干違う、それはそれで戦国の武将、違和感なく楽しめた、多くの素晴らしい短編が詰まっているが、なかでも豊臣秀吉、加藤嘉明、島津義弘の話は心に残った。今回の東西の短編集という試み非常に良かった、贅沢言うと江戸時代や幕末多くの武将や志士達の物語、今村ワールドの中で読んでみたいと思ってしまう。しかし著者の調査力や時代背景のまとめ方は本当に素晴らしいし今村翔吾ワールドは何処まで広がるのか楽しみで仕方ない。
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はい『西日本編』読了です
まぁ『東日本編』全く同じ感想です
でもどちらかと言えば『東日本編』の方が面白かったですかね
これは自分が東日本で生まれ育ったことと無関係ではないと思うんです
いわゆる「甲子園理論」ですね(一般的みたいな言い方!)
私の場合まずはもちろん茨城県代表を応援する!全身全霊で応援する
残念ながら負けてしまったら関東の高校を応援する
関東が全部負けてしまったら東日本を応援するみたいなことですよね
日本人てそういうとこありますよね
(いや他の国でもだいたい地元贔屓やろ)
なのでもし今回読んだ今村翔吾さん作『戦国武将伝』の武将たちで甲子園大会が開かれたら…私は全力で新潟県代表の上杉謙信を応援します!!(そこは佐竹義重じゃないんかーいっ!)
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24篇もの短篇が1冊に収まっている。掲載順に、或いは何となく眼に留まった順にと、ドンドン読み進めてしまうような1冊だと思う。
「戦国武将伝」という名の下、「西日本編」の本書に加えて「東日本編」というもう1冊も在る。興味が湧いて手にした。方々の、少し知られた武将に纏わる小説が幾つか在って、各武将に所縁の地域という基準で「西日本編」、「東日本編」という程度に分けたのだと思っていた。が、そうではない。実際に本書を手にして驚いた。24もの篇が在り、目次には各篇の題名と作中で取上げる人物が挙げられ、併せて現在の都道府県名が挙がっているのだ。都道府県名だが、「西日本編」には三重県以西の本州、四国、九州、沖縄の2府22県が全て挙がっている。その24府県の名迄入った目次の裏に「東日本編」の紹介が在ったが、そこには1都1道21県の名も在った。
本作は『戦国武将×四十七都道府県』と銘打って雑誌に連載された小説を纏め、一部に加筆等をしているという作品なのだそうだ。非常に野心的な企画かもしれない。雑誌連載には色々在るであろうが、47篇で47人を話題にしようというような例は、全く聞いたことも無い。
そして今回、「24/47」を読了したということになる。各々になかなか面白かった。失礼な言い方だが「ハズレ」は無い。各々にもっと分量が在る作品の一部のようでもあって、同時に限られた紙幅の中で実によく纏まっている。各作品、各々に個性的でもある。
本作の各篇の主人公的な人物、それらに冠せられた都道府県は出身地に加えて、知行地を有していたというようなことで関連付けられているのだと思う。
各篇の主人公的な人物は「戦国武将」ということだが、所謂<応仁の乱>が長く続いて、その時期の後が「戦国」ということになっていることを踏まえ、概ね15世紀末近くから16世紀の人物を取上げている。16世紀後半が比率としては非常に多い。一部に17世紀、江戸時代に入ってからの挿話に題材を求めている篇も見受けられるが、これは<関ヶ原合戦>等が在ることや、戦国を駆け抜けた人物達の後半生というような事柄が在るからに他ならない。
目次に挙がっている名の人物が、判り易く主要視点人物というようになっている篇も在るが、「他者の眼で語られる当該人物」というような篇も見受けられ、そういうのも面白い。
各都道府県に所縁の「戦国武将」ということであるなら、本作で取上げられた人物達以上に知名度が高い人達も在るのかもしれない。結局は「文学を綴る際の興趣」で絞り込んで行って、当該人物を篇に取上げたのであろうと想像している。
本書はなかなかに面白かった。実は「東日本編」も既に入手済みである。そちらも愉しみたいが、「西日本編」は九州各県関係の各篇、和歌山県の雑賀孫一の篇、京都府の足利義昭の篇等、なかなかに面白かった。同じ作者による長篇の『じんかん』二も登場する松永久秀が登場した奈良県の篇や、各篇の中で少し古い時代を扱ったという感じの大内義興の山口県の篇も好かった。
これは少し愉しいので御薦めしたい。他方、「2巡目」で更に47篇登場するというような場合も在るのだろうか、と余計なことも考えてしまう感だ。
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東日本編に続きこちらも読みやすさと、読み応えがあって一気読みでした。毛利の三本の矢の話の裏側、黒田官兵衛と竹中半兵衛、昔は舞台が西だったからこその、東とは違う緊張感もありました。それにしても、読めば読むほど、大河ドラマなど観れば観るほど、秀吉が苦手になっていくのが止まらない…
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西日本の戦国武将24人を描く短編集。
毛利元就、尼子経久、大内義興、松永久秀、龍造寺家兼、
宇喜多直家、石田三成、戸次道雪、北畠具教、黒田官兵衛、
亀井玆矩、伊東祐兵、有馬晴信、加藤清正、雑賀孫一、
足利義昭、豊臣秀吉、十河存保、長宗我部元親、
加藤嘉明、島津義弘、謝名利山、蜂須賀家政、立花宗茂
その武将の人生の一コマを切り取って描いたような、
味わい深い短編集です。それぞれが実に短い物語なのに、
その後にある史料・文献から得た想像力での創作は、見事。
主人公の視線、近しい者たちの視線が鮮やかに語る。
親子や兄弟、夫婦や男女、主従の、信愛と確執。
庶民、異邦人や将軍の姿もある。
彼らによる、国のため、民のため、己のため、
愛する者のため、尊敬する者のための、喜怒哀楽の発現。
毛利元就の三本の矢異聞は、家を父を思う息子や娘の絆。
最後の戦場を駆ける93歳の龍造寺家兼の、戦いへの信念。
官兵衛の思い。半兵衛よ、未完でも進む我が姿をご覧あれ。
受け入れてくれた大切な人を守る!異邦人たちの戦い。
島津の退き口は、出会った武士の運命を変える。
琉球の民を守るため佞臣となった謝名利山の約束。
武骨な家風のままに生きる立花宗茂と付き従う家臣たち。
それは見事立花家が再興した、基盤なのかもしれない。
東日本編が良かったので、西日本編へ。
今回も評伝が読みたくなった武将が増えてしまいました。
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東日本編に続き、西日本編も読了。東と西となれば、どうしても比較してしまうのだが、やっぱり東日本の武将と比べると、本作西日本のキャラが弱い者が多く、正直面白いエピソードは、やや少なかったかなという印象。
そんな中でも、石田三成の「四杯目の茶」と、加藤清正の「小賢しい小姓たちよ」は、なかなか良かった。
評価はやや厳しく★2つ。今村翔吾さんは、基本掘り下げて、深く、熱く描くのが得意な作家さんと改めて思う。短編集「蹴れ、彦五郎」は面白かったので、今回の挑戦的な作品(超短編、かつ全県縛り)では、良さが薄まっていた気がする。 ★2.7
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1話10分で読める短編集。
ちょっとした合間時間に読めて、「もうちょっと読みたい!」と思わせるさじ加減が絶妙。
都道府県ごとに1人ずつ歴史上の人物を取り上げる、ならともかく、
「戦国武将」に限定するあたりがすごい。
超有名武将でも、超有名エピソードの裏側を独自の解釈で描くなど、
筆者のリサーチ力とイマジネーションが冴え渡っている。
いきなり超有名な「三本の矢」の新解釈から始まり、つかみはばっちり。
本人を正面から描いた作品にとどまらず、
周辺人物を通して描く手法も名人芸。
同時代のエピソードばかりとあって、
エピソード同士が呼応している例もあって楽しい。
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東日本編に続いた西日本編であるが、有名無名な武将をとりあげ各武将の逸話を、それぞれ見事に起承転結させ、武将に対して共感を覚えさせられる。
隣接する西国武将の緊張感や政治力などが様々に描かれ大変興味深く読んだ。
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広島県=毛利元就、というふうに、一つの県に一人の武将という組み合わせで、西日本24県分の短編をつないでいる。
一つ10ページ+αなので、基本一つのエピソードをテーマにしていてサクッと読める。みんな良く知ってるエピソードも、少し捻りを加えていたり、手を替え品を替え楽しませてくれている。
が、流石にそうそう24県すべてに格好のネタが散らばっているわけもなく、続けて読んでいるとだんだん飽きてくるのも事実。気が向いた時に2〜3編ずつ読むのがいいかも。
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東と西。西日本編から攻めてみた。24人の武将の逸話が天こ盛り。登場人物に躍動感や人情味を宿す、今村先生ならではの想像力と筆力は秀逸。常に窮極の選択を迫られる戦国時代。束の間の安らぎを感じた。東日本へ。