ポンタさんのレビュー一覧
投稿者:ポンタ
紙の本倫理21
2002/04/12 16:05
倫理21
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倫理的なことについて考える時にはこの本を基準にして考えるようにしている。倫理というものを考えた時、どうしても自分一人だけでは考えが及ばないことも、この本を基準にして考えると何らかの手掛かりが得ることが出来るような気がするのだ。たしかに内容は簡単ではなく、日常生活にそこまでの倫理が必要かといわれれば、それほど倫理的である必要もないのだが、倫理的に考えること、そのことを問い詰めようとしたとき、この本に示唆されることが多々あるのは事実である。そんなことも含め、倫理について考える時には、この本を漫然と読む、そうすると、自ずと自分が倫理的な人間になったような気がするから不思議だ。
紙の本堕落論
2002/03/14 12:49
堕落論
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これ程の傑作はないだろう。おそらく日本で初めて堕落というデカダンスを前面的に肯定した本ではないだろうか? 今でも刺激的でその魅力は衰えてはいない。日本文化を根底から覆すような試み。
紙の本フーコー
2002/03/08 23:52
フーコー
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わかりやすくフーコーが理解できる。普通の学術書とは違い、高校生でも理解できる程度だ。フーコーの難解な思想を読む前に、これを読んでおくと理解が進む。講談社の知の教科書シリーズ。
紙の本柄谷行人初期論文集
2002/04/20 14:06
柄谷行人初期論文集
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柄谷行人氏の初期の論文を集めたもの。本当にごく初期のものが収録されているのでとても興味深いものだった。東大新聞に載った論文なども載っていたので、柄谷行人氏にもこんな時期があったのかと思う。柄谷行人氏の思想の原点を見たような気がした。コンテンポラリーな思想家としての柄谷行人の成熟の原点を見たような気がした。
紙の本NAM生成
2002/04/03 22:30
NAM生成
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NAMをめぐる、各人の考えをまとめたもの。貨幣をめぐっての対談は新しい時代を考える上でとても役にたった。これからの社会の指針を示しうる、NAMにはこれからも注目していきたいと思った。
紙の本批評空間 第3期第1号 共同討議新たな批評空間のために
2002/03/17 15:44
批評空間
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ついに批評空間が帰ってきた。今度は自費出版に近い形での出版だが、これは脈々と思想を受け継いでゆくという意味ではよいのではないだろうか。
これから、どういう風に展開してゆくのか楽しみだ。
紙の本富岳百景・走れメロス 他八篇 改版
2002/03/14 13:18
富嶽百景
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富嶽百景は間違いなく傑作だと思う。作品を読んでいると、富士の感触が此方の方までありありと伝わってくる。長くはないが、よく整っていて、描写も綺麗。たしか井伏鱒二氏も出てくる。
紙の本女生徒 改版
2002/03/14 13:04
女性徒
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おそらく女性を書かせたら、太宰の右に出るものはいないだろう。それは、元来から女々しかった太宰ならではのことだったのかもしれない。間違いなく傑作。普通の女流作家が書く女性よりも真実味があり、迫ってくるような迫力がある。
紙の本人間失格 改版
2002/03/14 12:59
人間失格
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この本が一番太宰治の本の中で好きだ。全部、太宰が自らをさらけ出しているような気がする。人間失格だっていいじゃないか、弱ったときにそんな言葉が慰めてくれる。傑作だ。
紙の本日蝕
2002/03/01 17:26
日触
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ついに日触が文庫本になった。
なにより表紙が断然洗練されていてよい。前の表紙よりも作品のイメージに近い。
久しぶりに読み返してみたが、やはり、何度読んでもこの完成度、それに豊富な知識量には圧倒されてしまうし、描写の迫力が違う。とくに日触の場面、空白のページにいたる所は恍惚せずにはいらせないほどの陶酔感を感じてしまう。あの年齢でこのような作品を書き上げたのだから将来相当有望な作家なのではないだろうか。
紙の本満月
2002/02/26 15:40
満月
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過去と現在を結ぶ記憶の中で生きる人々の姿がたくましく、印象深く描かれている。なんといっても文章がいい。力強く味があり、なおかつ、繊細だ。
紙の本近代作家自筆原稿集
2002/02/25 02:59
近代作家自筆原稿集
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作家の原稿が写真だけど生で見られる。これは生唾ものである。やっぱり、自筆でかかれたものはその人の癖が出るし、それからその作家の性格まで推測するなんてことも出来る。
特に手で書かれた文字は迫力が違う、まるで職人芸のようなものさえ感じる。こんなにたくさんの作家の自筆原稿が見られるのは幸せだ。
紙の本倚りかからず
2002/02/23 18:59
洗練された言葉たち
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なんといったら、いいのだろうか、茨城のり子さんの詩の言葉は洗練されて、澄んでいる。でも、透明でもないし、無力でもない。言葉に力が宿ってるのでこちらにもそれが迫ってくる。
2002/02/19 21:18
ウンベルト・エーコの文体練習
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抱腹絶倒間違いなしの傑作パロディー。記号学の世界的な権威であるウンベルトエーコがその博覧な知識をいかんなく発揮した作品。読む人が読めばわかる作品ばかりで、笑わずにはいられないほどのユーモアを感じることが出来る。本当のユーモアとはこういうものかと納得させられる。
紙の本ジャムの空壜
2002/02/14 14:06
ジャムの空壜
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新潮新人文学賞「生活の設計」に続く第二作。芥川賞候補作。
今回は不妊を扱った小説。面白かったし、よくできていると思った、そして、なによりも驚くべきことは、これに続く「サンディア!」という2001年12月号新潮に発表された作品により、これらの一連の作品が三部作であるということがあきらかになるということである。この趣向は面白いし、よかったと思う。陳腐ではない。また、群像2002年3月号に発表された「縮んだ愛」も多少疑問に残る点はあるが、これも秀作だと思った。
佐川光晴氏に特徴的なのは健康的だということである。どうもこの印象を拭うことができない。これは村上春樹氏にも通ずるのではないかと思う。文学特有のいやらしさが佐川光晴氏にはないのだ、これは恐るべきことである。だから佐川光晴氏の書く作品は全部嫌らしくない。それゆえに正統な文学として賞を逃したり、評価されないのかもしれないがそんなことはない。村上春樹氏がそうであったように、この人もかなりの才能の持主なのではないだろうか思ってしまう。もちろんそれはこれから書きつづけてゆくうえでわかってゆくことなのだろうが、佐川光晴氏はこれから注目すべき作家であるし、これからも書きつづけて欲しい作家だ。