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レビューアーランキング
先月(2017年2月)

Achilleさんのレビュー一覧

投稿者:Achille

6 件中 1 件~ 6 件を表示

本当に世界中のあらゆるところで弾いてます。

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 フィンランド在住のピアニスト、舘野泉によるエッセイ。「世界を旅するピアニスト」との副題があるが、そもそもクラシック演奏家は世界を旅する仕事である。ウィーン、ニューヨーク、パリ、ロンドンなど、華々しいステージを駆け回るのは彼らの宿命のようなものだ。

 だが、舘野は違う。本書で取り上げられている公演地を挙げただけでも、フィリピン、インド、バリ島、五島列島…といった具合で、大都市以外、あるいは西洋音楽音楽文化圏以外での公演が非常に多い。(もちろん、通常の大都市での公演も多数行っているのだろうけれど。)

 そういった地で彼が出会うのは、劣悪な楽器やステージ、そして聴衆たちの熱烈な歓迎である。文化が違うからクラシック音楽には興味など無いのでは? などと思ってしまうのは、私のように都会に毒された人間だけなのだろう。格闘の末、粗末なピアノを弾き上げる舘野、初めてピアノの音色に触れた人々の感動など、音楽というものの原点を見るようで、胸が熱くなる。

 このような書き方をすると、彼のことを「色モノ」的ピアニストと勘違いされかねないが、その演奏の誠実さ、質実剛健さはクラシック音楽ファンたちのよく知るところだ。本書でも、シューベルトのピアノ作品への想いを父親の死と重ね合わせて語るあたりに、音楽家としての誠実さ、虚心ぶりがよく表れている。

 フィンランドの自然描写、皇后陛下との意外な交流など、楽しいエピソードにも事欠かない。音楽家によるエッセイとしては、もっとも優れた部類に入る1冊だろう。

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魅力的な登場人物たち

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 1940年代のオックスフォード、ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」稽古中に起きた、看板歌手の殺人事件。クリスピン作品でおなじみのフェン教授が事件解決に乗り出す、という正統派探偵小説。クリスピン1947年の作。

 他のクリスピン作品と同様、トリックやミステリー的演出、という点については至ってオーソドックス。イギリス、オペラ、古典ミステリーという要素から、暗いイメージを持たれるかもしれませんが、個性的な登場人物(変人も多数)たちの感情の機微、情景描写のうまさといった点に絶妙な味が発揮されており、全体の雰囲気は実に洒脱なものになっています。

 クリスピン自身が作曲家として活動していたこともあり、史実的設定、舞台上でのやりとりなどに不自然な点が無く、マニアックなオペラファンの人が読んでも違和感は無いはずです。(もちろん、オペラの知識が無くても読み進めるのに支障はありませんが。)

 解決に向けてぐいぐい読み手を引っ張っていくというタイプではなく、魅力的な舞台の中に心地よく身を浸すような感じで読んでいける1冊です。ストーリー中にはどこかロマンティックな要素もあり、推理小説好きな彼女or彼氏にプレゼントするのにも向いていそうです。

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紙の本限りなく透明に近いブルー

2001/01/20 22:11

空しく懐かしい鮮明さ

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 簡単に言ってしまうと、クスリ打ってラリって乱交しまくって、現実との狭間でクラクラしてるってだけの話である。(タイトルから、都会の男女の気取ったラブストーリーを思い浮かべる人は相変わらず多いらしい。)

 遊びまくって夜が明け、疲労感と空しさと心地よさの入り交じる妙な気分になった経験は誰にでもあると思う。本書を読んだ後の感覚はある意味それに近いが、村上龍ならではのハイビジョン的描写力が、幻想と現実との距離感を徹底的に引き離す。「幻想」の部分での気持ちよさと居心地の悪さ、「現実」の部分の清々しさと退屈さがリアルに目前に現れ、読み手もその狭間を往復することになる。

 文庫版カバーには「きずな」という言葉が使われているが、私は必ずしもそれを感じなかった。本書での登場人物の大半は、「幻想」の中の1アイテムに過ぎないのではないだろうか。すべての出来事はあくまで1人の人間の意識の中で終始する。それが故に非日常的(若い頃は日常だったのかもしれないが)な空しさと懐かしさが、デジャブ的に読み手の脳に入り込んで来る。それが本書の魅力だと思う。

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紙の本海の向こうで戦争が始まる

2001/02/10 16:19

リセット

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 「シムシティ」「シムアース」といったシミュレーションゲームソフトがある。市長や創造主となって世界を作っていくというものだ。プレイヤーが作った世界の中で人々は家を造り、仕事に通い、家族と生活を送る。

 近年、ハードウェアの進歩とともに、そういったゲームに出てくる人々の描写もリアルになってきている。やがてゲームの中の人々は意志をもって、独自の考えや様式をもって行動し、世界を作り上げていくようになるに違いない。そしてそのゲームのプロデュースは村上龍にやってもらいたい。

 シミュレートされたデータに基づいて基本的な日常生活を送るだけでなく、愛し合い、憎しみあい、殺し合い、そして死んでいく。その死体の腐食状況やまとわりつく蠅の一匹一匹までも細密画のごとく描写できるのは、村上龍をおいて他にはいないだろう。

 この作品でも、そういった村上龍ならではの細密映像がオムニバス的に散りばめられる。手法的には前作「限りなく透明に近いブルー」に近いものを感じさせるが、時代性を反映していない分、普遍的な読みやすさがある。

 「シムシティ」では、ゲーム内で自分が作り上げた街を破壊することができる。実はこれが何ともいえず楽しい。人には皆そういった「リセット願望」があるに違いない。ゲームをやらない人も、本作で近い感覚を味わうことになるだろう。

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紙の本シベリウス 写真でたどる生涯

2001/01/07 20:26

シベリウス愛好家の渇を癒す1冊

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 困ったことに、日本ではシベリウスという作曲家を扱った本は極端に少ない。子供向けのものを除けば伝記は皆無、音楽之友社の「名曲解説ライブラリー」では、同じ北欧のグリーグ、ニールセンと併せて1冊、という有様が続いていた。

 シベリウス信奉者として知られる作曲家の吉松隆氏は、「シベリウスの音楽を愛する人は、その音楽と同様に寡黙なのかもしれない」と述べている。確かにシベリウスには「隠れファン」が多いのは事実だと思うが、情報が少ないのはやはり困る。それだけに、この1冊の登場はその渇を癒して余りある。

 もっとも、110ページというページ数からも分かるように、内容は至って簡潔なもので、情報量は必ずしも多いとは言い難い。本を手にした瞬間はいささか肩すかしをくらった感もあったが、作品ごとに見開き2ページ(ないし4ページ)を充て、その中にエピソードと写真を織り交ぜるという明快な構成ゆえ、この作曲家の全貌を容易に把握することができる。この作曲家を知る最初の1冊としては、必要十分なものだと思う。

 特筆すべきは訳者による注釈の細やかさで、作品タイトルをフィン/スウェーデン/英の3カ国語で表記したり、北欧文化に関する補足を適時加えたりと、作曲者と北欧文化に対する愛情の深さが伺える。それらが見開きの中にきっちりと納められているのもありがたく、細かい点ながら編集・レイアウトのうまさも特筆される。願わくば、同じ著者・訳者・編集スタッフによる詳細な全作品解説書が欲しい。

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紙の本のら犬ローヴァー町を行く

2001/01/07 18:39

シニカル&のほほん

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 シニカルだけれど義侠心の篤いのら犬「ローヴァー」を主人公とした短編集。人間に苦しめられる犬を救ったり、乱暴な群れと戦ったり、ちょっとしたロマンスがあったりと、さまざまな個性的な犬たちとの出会いを、軽妙かつクールなタッチで描き出しています。

 犬世界の世界観描写が意外と浅いのが最初は気にかかるものの、ハードボイルド的なキャラクター設定と社会批判精神、達観した人生(犬生?)観などがうまくブレンドされていて、自然と引き込まれていきます。

 この種の短編集では、ありがちな「いい話」臭さや批判性が全面に出過ぎて辟易するケースがありますが、この作品ではそのあたりの仕掛けは意外と淡泊で、すっきりとした読後感をもたらせてくれました。シニカルさというスパイスは強めに利いているけれど、全体的には「のほほん」とした味わいがあり、ちょっと疲れ気味で読書から遠ざかっているような大人がリハビリを兼ねて読むにはもってこいの1冊だと思います。

 熱心なハードボイルドファンからは「リューインの作品としては物足りない」という声も聞こえてきますが、こんな作品が1冊くらいあったっていいのではないでしょうか。次作は本格ミステリーのようですし。

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