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バムセさんのレビュー一覧

投稿者:バムセ

53 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本新魔女図鑑

2001/01/24 00:38

“守りたい”気持ちが魔女をうむ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『魔女の宅急便』の作者、角野栄子さんが書いた『新魔女図鑑』。角野氏は以前、ヨーロッパの魔女のお祭りに出かけたこともあり、自他共に認める魔女好きといえるだろう。
 この本では、エイコさんが図書館に出かけ、そこで出会った「魔女」という本から扉のむこうの世界に入る。そこにはゾゾさんという魔女がいた。ゾゾさんは、魔女について何でも教えてあげるといって、エイコさんをほうきにのせて魔女の世界につれていった。
 魔女は、女性の「大切な子どもを守りたい、家族を守りたい。」という思いから誕生したという。その守りたいという気持ちをあきらめなかったことが、薬草を作らせ、空を飛ばせたのだという。この本を読んでいくと、魔女はやっぱり身近にいるのではないかと思わせる。そして、私たちも本当に守りたいものができたとき、不思議な力(魔法!)をはたらかせることができるようになるのではないかと思われてくる。
 「チチンプイプイ」この言葉だって魔女のおまじないの一つだろう。お母さんができる魔法だ。「意味のない言葉なのに」と言ったら「意味なんてなくてもいいのよ。意味があるとそれにしか使えないから。」と返ってきた言葉に深くうなずいてしまった。
 薬草(ハーブ)の作り方や料理など、ためしてみたくなるものも載っている。女性に生まれたからには、魔女になりましょう!

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紙の本スキーをはいたねこのヘンリー

2002/05/21 14:44

ねこのヘンリーは、スキーだってできるのです!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ねこのヘンリーは、うしろあしでたってあるくのがじょうずです。ある土曜日、うちの人たちがクロスカントリースキーをしに山小屋へ出かけました。ヘンリーもいっしょです。おとうさんが運転する車におかあさんと男の子といっしょに乗って出かけました。
男の子は、ヘンリーにもスキーを作ってあげるといって、古い板でスキー板を作ってくれました。そして、ストックにはまつの枝を使いました。男の子は、ヘンリーにスキーをはかせて、雪の上にたたせましたが、全然うまくすべれませんでした。(もちろんヘンリーもちっともおもしろいと思わなかったのです。)ところが次の日、ヘンリーは山小屋においてきぼりにされてしまったでのす。大切なふわふわのねずみを家のなかに取りに行っているのをだれも気づかず、その間に車は出発してしまったのです。このままでは、ヘンリーは山に一人ぼっちになってしまいます。ヘンリーは決心しました。ここを出るにはスキーしかないのです!板をはいて、まつの枝を手にもって、出発です。でも、なかなかうまくいきません。ヘンリーは、よちよちあるきの赤ちゃんをはげますような歌を口ずさみながら、進んでいきました。そして、少しずつスキーにもなれてじょうずになっていきました。とちゅうで、おおしかに会ったり、ウサギに会ったりしながら進みます。そのうち、気がつくとコヨーテが後ろからついてきていたのです。ヘンリーは、必死で逃げようとしますが…。
 この本は、1989年に佑学社から出ていたものを復刊したものです。(原書は、1979年に出版。)色味は全体的におさえたものですが、それがかえってねこのヘンリーの表情や雪山を活かしています。特に、しっぽに包みを結びつけてスキーをしているあたりは、とてもよく描かれていて、こんな方法ならねこのスキーも可能かも、と思わせてくれるようなものでした。

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紙の本〈ヤギ〉ゲーム

2002/04/09 16:48

ふたりだから、なんとかやっていける。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この<ヤギ>ゲームとは、一組の男女を<ヤギ>として、裸で島に置き去りにするゲームです。<ヤギ>には英語で(まぬけ)という意味もあり、好色というイメージもあるそうです。また、聖書のなかで、生け贄として扱われているのを知っている方も多いでしょう。これらの意味をあわせて作者が考え出したゲームです。
 物語では、14歳の少年ハウイが身ぐるみはがされて、湖に浮かぶ島に置き去りにされてしまうところから始まります。そして必死で逃げ込んだ小屋には、少女ローラが身をかくしていました。つまり、このハウイとローラがヤギゲームの生け贄とされたのです。舞台はサマーキャンプ。彼らの親は友だち作りが大切だと考えて、サマーキャンプに送り込みました。そして二人ともその親の思いを十分感じていました。けれども、実際のキャンプではとてもひどい仕打ちにあってしまったのです。少女は家に戻りたいと思い、少年はいっそ消えてしまいたいと思いました。二人が選んだ道は、小屋からぬけだし、サマーキャンプにもどらない、というものでした。湖の島に二人が置き去りにされた夜、置き去りにした者たちがその様子をさぐろうとカヌーで島に戻ってきました。彼らにつかまってたまるかという思いから彼は行動をおこします。はじめに見られた、少女との思いの行き違いは少しずつ変わりはじめ、やがてお互いの信頼へとかわっていきます。家に戻りたいと思い、電話をかけますが事実を正直に伝えられないローラ。そこで母親も「2,3日はがまんしなさい、土曜日には迎えにいきますから。」と返事してしまう。裸で置き去りにされていた彼らにとって、洋服を手に入れること、おなかをみたすこと、家に連絡を取ること…、何をするにしても大変なことに違いはありません。二人だったからこそ、できたのでしょう。
 この作品は、1992年に「森に消える道」という題名で福武書店から出ていたものを版をかえて出されたものです

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紙の本あかねこくん

2001/10/23 17:25

食べようとねらっていたたまごをあたためて育てるうちに友だちになっていったあかねこくんとことり

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 あかねこくんが、たまごをみつけた。ぺろりとひとのみにしようかと思ったけど、どうせ食べるならひなになってからにしようと考えなおした。そこで、あかねこくんはたまごをだいた。こわさないように気をつけて。あるはれた春のあさ、ひなはうまれた。でも、あかねこくんは考えた。どうせ食べるなら、もっとおおきくなってから、と。そこであかねこくんはひなのえさをさがしたりして、一生懸命育てた。やがて、ひなは成長し、空もとべるようになった。そんなある日、あかねこくんとことりはただだまってながいことみつめあった。そして、それからはともだちになった。そして、ふゆになって、ことりがあたたかいみなみのくにへ旅立つときがきた。ことりはあかねこくんに「かならずかえってくるから。」といって飛び立っていった。
 はじめは、食べようとねらっていたたまごなのに、あたためてそして育てているうちにすっかり友だちになっていったあかねこくんとことり。あかねこくんの表情が少しずつかわっていくのがとてもよかった。ともだちのことりが約束を守ってかえってきてくれるか待ってるときの気持ちも、その絵からうかがえる。フランスの作家だから、というわけではないがあかいねこでも少しも違和感を覚えなかった。
 あかねこくんの表情をじゅうぶん楽しんでほしい。

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紙の本虚空の旅人

2001/08/28 16:47

敵か見方か、見分ける力を持っているだろうか?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」の三部作で終わってしまったと思っていたら、外伝が出た。でもその三部作を読んでいなくても、これだけでもおもしろく読める。見返しの部分に地図も載っているが、物語の舞台は海に囲まれたサンガル王国。新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、星読み博士であり相談役でもあるシュガとともに、<新王即位の儀>に出席するためサンガル王国へと向かった。サンガル王国は、広大な海域を支配するのに地方領主<島守り>をうまく使っていた。結婚によって、島守りを王家と結びつかせ、常に妻の目を通して監視しているようなものだった。現在のサンガル王には、二人の王子と三人の王女がいた。今回の<新王即位の儀>では、長男カルナンが即位することになっていた。この祝いの席で、思わぬ出来事がおこる。
 一方、サンガル王国を囲むヤルターシ海の底には、ナユーグル・ライタという民が住んでいると語りつがれていた。そして、海の上の世界と下の世界を平和に住みわけていると考えられていた。ただ、時々海の中のナユーグル・ライタが地上を見に来るというのだ。それも、突然に、幼い子どもの魂をすいとって、その体にのりうつってしまうというのだ。そうなった子どもは、異国のことばで突然歌いだし、あとは操り人形のようになってしまうという。その子は<ナユーグル・ライタの目>といわれ、厚くもてなされた後、海に返してしまうという名目のもとに海に落とされてしまう、という悲しい運命が待つだけとなる。サンガル王国の<新王即位の儀>と時期を同じくするように<ナユーグル・ライタの目>が現れたのだ。
 異界のにおいを知るチャグム、呪術の心得のあるシュガ、サンガル王国をのっとろうと企む者、剣術に自信はあるが後先を考えず行動してしまうサンガル王の次男タルサン、賢い王女サルーナ、など登場人物もしっかりと描かれていてあっというまに話の世界につれこまれてしまう。特に、中盤からぐいぐいと引っ張られた。そして、最後まで読んだあと、もう一度初めの部分を読み返してみたくなった。1度では見つけられなかった、話のスパイスが見つかる。また、チャグムとシュガの信頼関係がとても力強く、読みおわったあとも気持ちがよかった。

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紙の本ふれ、ふれ、あめ!

2001/07/31 12:31

水彩画で描かれているこの絵本は、とても雰囲気がやさしい。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 水彩画で描かれているこの絵本は、とても雰囲気がやさしい。表情が細かくかきこまれていないのに、文とマッチした絵には読み手の思い通りの表情を登場人物に映す力がある。文はニューベリー賞受賞作家のカレン・ヘス、訳者は、さくまゆみこ。
 三週間もからからの天気が続いたある日、主人公の女の子テッシーは「ふれ、ふれ、あめ!」といって天を見上げる。すると、ずっとずっととおくに、もくもくとくもがわいているのを見つけた。ともだちと水着に着替え、雨を待つテッシー。雨がふったときの、喜びようといったら!あめのシャワーをあびながら、笑う、さけぶ。かあさんたちもいっしょになって、笑う、おどる。雨で、きもちがやさしくほどけていってる。
 また、雨のなかで集まるテッシーの友だちは、テッシー含めて4人。おそらく、みな別々の人種だ。髪の色がちがい、肌の色が違う。その4人が友だちというのもうれしいし、それぞれのかあさんたちが雨のなかこどもたちと踊っている様子も見ていてうれしかった。からからにかわいてるときを、あめはやさしくほどいてくれる。
 今年の夏、東京はから梅雨だ。テッシーの気持ちは、すごくよくわかる。雨が待ち遠しい。
 雨が降ったら、テッシーたちのように心からよろこぼうと思った。

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紙の本ごめんねともだち

2001/03/30 15:54

けんかしたって・・・

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 キツネとオオカミの「おれたち、ともだち」絵本もこれで4冊目となった。4冊目で、これまでにないおおげんかをした。二人がけんだまやダーツ、トランプなどで遊ぶのだが何をしてもキツネが勝ってしまうのだ。頭にきたオオカミは、キツネにむかって「インチキだ!」といって大雨のなか、家から追い出してしまう。もちろん、キツネはインチキなんてしていない。それは、キツネばかりかオオカミだって知っていることだ。ただ、あまりに負けてばかりいたのでつい言いすぎてしまったのだ。雨のなか、そんな言いがかりで追い出されたキツネはもちろん怒っていた。オオカミも言い過ぎたことはわかってはいたが、なかなか「ごめんね」がいえない。二人は、けんかした次の日も、散歩の道やいつも遊んでる広場などで顔を見るのだが、うまく声をかけることができない。とうとう三日目、よく二人があそぶ大きな木のところに二人ともやってきていた。おたがい思いはあっても、なかなか行動にうつせない。そんなとき、(このままじゃ、いやだ)と思って泣いたキツネのなみだがアリの上に落ちた。アリをずぶぬれにしてしまったキツネは、すぐにアリにあやまった、「ごめんなさい。」って。この声が、二人のなかなおりのきっかけとなる。アリ自身は、何も知らないまま重要な役割を果たした、というわけだ。
 降矢ななさんの絵もよかった。「ごめんね」をなかなかうまく言えない経験者は、きっと子どもに限らず多いのでは?!苦笑いも含めて、楽しく読めた一冊だった。

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紙の本このがっきだあれ?

2001/03/08 14:30

見開きいっぱいに広がる動物たち。簡単なしかけだけど、ほほえましい絵本。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

“ひらいてごらん どうぶつえほん”のシリーズとして4冊出版された。その中の2巻目が、『このがっきだあれ』。まず、楽器が目にとびこんでくる。フルートのページなら「ヒュルルーヒュルルー、8本足でふいてるのはどんなどうぶつ?」といった調子で書いてある。そして楽器の絵の半分にあたる右側のページを開くとその動物が見開きいっぱいに広がるというしかけだ。ただのイメージだけ、といってしまえばそれまでだが、楽器と動物がとてもよくあっている。また、絵本のたての長さが30cm、横の長さが13cmというのも、手の中の収まり方がいいように感じた。
 このシリーズのほかの本は、1『こののりものだあれ?』3『このもようだあれ?』4『このあかちゃんだあれ?』の3冊だ。私のおすすめ順位は、3巻1巻4巻といったところだ。(もちろん、一番は2巻目の『このがっきだあれ』だ。)『このもようだあれ?』では、シマウマやキリンの体のもようを大きく描いて見せてくれる。ただ、一つだけ日本ではなじみのうすい動物がいて、想像してもわからないよー!と言いたいのはあったが・・・。また、4巻の『このあかちゃんだあれ?』では、親と同じ姿の子どもばかりなので、見開きを開く前にわかってしまう。想像する楽しさもないのが、残念だった。
 作者は、「オーストリア・イラストレーション賞」、クロアチア「ア・ブック・オブ・イヤー賞」を受賞している。イラストを楽しむように見るのもひとつの楽しみかな??

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紙の本ソリちゃんのチュソク

2001/01/29 18:32

韓国のお盆の様子をすてきな絵で見られます。

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 チュソクとは旧暦の8月15日で、日本のお盆にあたります。韓国では、この日多くの人が故郷に帰って、収穫を家族や親戚と祝います。ソリちゃんが、お父さんとお母さんと赤ちゃんと4人で里帰りをし、田舎ですごすチュソクは、うらやましいほどのんびりしています。ごちそうをこしらえ、お墓参りに行き、そのあとでは村じゅうの人々でたのしくおどります。
 知り合いの在日韓国人の人がこの絵本を見て、自分たちの風習をなつかしんでいました。ごちそうの盛り付け方やあいさつするときの家族の並び方など…。細かいところまで描き込まれているので、どうぞすみからすみまでごらんください。ソリちゃんの家族だけでなく、韓国の町の風景や田舎の風景、人々のどこかのんびりした表情など、色あいもやさしく、ほっとする絵本の1冊です。
 作者のイ・オクペさんは、1997年にBIBC(ブラテイスラバ国際イラストレーションビエンナーレ)にも選ばれた人です。また、訳者のみせ けいさんは、韓国の絵本『マンヒのいえ』も訳した人です。

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紙の本聖なる夜に

2000/12/18 14:27

クリスマスにすてきな絵本を!文字のないところに気持ちがあふれています。

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 始めてこの絵本を開いたとき、おばあさんの表情にひきつけられました。文字のない絵本の中のおばあさんの表情に言葉があふれています。
 クリスマス・イブの日、おばあさんはわずかなお金をバイクに乗ったひったくりにとられてしまいます。そのお金は、大切なアコーデイオンと引き換えに得たお金でした。おばあさんは、バイクのタイヤの跡を追っていきます。と、行きついたところは教会でした。のとき、教会の扉が開いて、再びバイクにのった男が出てきました。男の手には教会の募金箱が・・・。おばあさんは、必死でそれをとりかえしました。そして教会の中に戻そうと中に入ると、飼葉桶に眠るイエスさまや三人の博士たちの人形がころがっていました。おばあさんは、それらを全て直し、教会をあとにしました。ところが、その帰り道、雪の中で倒れてしまったのです。
 クリスマス・イブの夜におこる奇跡のおはなし。でも、サンタクロースを信じる人なら、このおはなしもきっと信じることができるでしょう。
 絵もきれいで、子どもから大人まで見て楽しめる絵本だと思いました。

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紙の本あしたもともだち

2000/11/21 14:05

(あしたは、ちきゅうのはてまでも、いっしょにさんぽしてやるからな)なんて言えるともだち、うれしいよね

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「オオカミは、もりいちばんのらんぼうものと思われている」と思っているのは、だれよりもオオカミ本人のようだ。キツネといっしょにクマのからかいうたを歌ってさんぽしてるとき、クマがたおれてるのを見かけた。キツネにわからないように、「や、やめだ!さんぽは。」なんてどなって、こっそりクマのかんびょうに行っている。
 なんだか、様子がおかしいぞと思ったキツネはこっそりオオカミのあとをつけていった。そこで、見たのはオオカミのやさしさ。あとをつけてしまったことを恥ずかしく思った.オオカミはそのあとも、クマのからかい歌を歌っていたけど、クマのためにこっそりクリをふまないようにしてあげていた。キツネも気づかないふりをしてた。
 こうやって、ともだちのいいところ見つけていくのかな。

 降矢ななさんの絵も元気があっていい。「ともだちや」「ともだちくるかな」に続くシリーズ3作目。「ぼくよりもっといいともだちができたのかなあ」と心配するキツネの顔も、オオカミのあとをつけてきたことがはずかしくってほほを赤くするキツネもかわいらしい。

 シリーズ4作目「ごめんね ともだち」も近刊予定のようだ。

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紙の本難民少年

2002/09/24 12:59

自分ではどうすることもできないことがおこるなかで、自分にできることを実行する力

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 14歳の少年アレム・ケロはエチオピア人の父とエリトリア人の母と暮らしていました。この両国が紛争を始めました。そして、それまで幸せに暮らしていた家族のもとに、突然兵士が現れたのです。エチオピアでもエリトリアでも、彼らはライフルをつきつけられ、裏切り者と呼ばれました。職業もうばわれ、このままでは生きていくことさえむずかしい状況です。両親は考えたあげく、アレムをイギリスに行かせることにしました。けれども、アレム自身はその話を全く聞いていませんでした。両国で紛争が続いていたある日、父が気晴らしになるだろうから旅行へいこうと言い出し、イギリスへ向かったのです。でも、それはアレムをイギリスに連れていくための準備にすぎません。父は、ロンドンのホテルに4泊の予約を入れてありました。ロンドン観光などアレムには楽しい旅でしたが、3日目の朝、父がいなくなっていたのです。手紙と写真だけを残して。残されたアレムのもとに、難民評議会の人がたずねてきて、いろいろと力になってくれました。でも、イギリスに留まるためにはまず政府に難民申請をしなくてはならないでのす。それは簡単なことではありませんでした。けれどもアレムは、頼る親戚も知り合いもいないロンドンで、難民評議会の方々、養育家庭の家族、そして通えるようになった学校の友だちから多くの支援をもらいます。でも、それはみなアレムの姿勢に共鳴したからでした。自分ではどうすることもできない状況に置かれても、アレムは自分を見失うことはありませんでした。事態は決して楽観的に考えられるようなものではありませんでしたが、学校に通えることに喜びを感じ、学習にも前向きに取り組んでいきます。終わりにアレムはこう言っています。“いまぼくにできることは、心をしっかり持って、精一杯、人生から何かを作りだす事。もし悪いことからよいことが生まれるなら、それを作ってみせる。”また、物語の後半からアレムの友だちの力強さが響いてきます。アレムのことをひとごとととらえず、自分たちで動き出さなきゃ! とする彼らの力はたくましいものでした。
 『フェイス』でこの作家を既知の方も多いでしょうが、ぜひこの作品にも出会ってもらえたらいいと思いました。

★★★★

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紙の本きつねのルナール

2002/08/27 15:37

しょうわるギツネのルナールを主人公にしたお話集。フランスのテイストもたっぷり。

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 このお話の原典は、12世紀後半にさかのぼります。そのころ、フランスではキツネを主人公にしたお話がとてももてはやされました。日本のお話に登場するキツネのように化けたり、不思議な力を持っていたり、といったキツネではなく、ずるがしこく、頭もよければ口も達者といったキツネが主人公のルナールです。ルナールを主人公にしたお話は、今日では三十数編が残っているだけのようです。この本では、イラストレーターでもあり医師でもあったレオポルド・ショボーの『狐物語<子ども版>』(1928年)から選んだ22編のお話が載っています。また、『ぐりとぐら』の絵でもおなじみの山脇百合子が訳/絵を担当していて、その豊富な挿絵は、この話をより一層楽しませてくれます。
 赤毛のしょうわるギツネ、ルナールは本当にずるがしこい。獲物を手に入れることと、まわりをだますことについては天下一品。オオカミのイザングランも、その弟のプリモもルナールには、いつもやられっぱなし。いつか仕返しをしてやろうと、たくらむのですが、ルナールにとっては、そんなのもへっちゃら。やられたら、やりかえす、それも何倍にもして。お百姓さんだって、ルナールにとったらちっともこわくないのです。いかにして、だましてしまうか、そんなことばかり考えています。ルナールだって、痛いめにあうこともあるのですが、そんなことでは引き下がらない。見事といえるほどの、ずるがしこさです。そして、いつかはルナールもやっつけられちゃうのでは…と思いながら読んでいくのですが、ルナールはそのずるがしこさを貫きとおしてしまいそうなのです。とはいっても、ルナールの妻エルムリーヌにとったら、とてもたよりになるだんなさまなのです。なんていったって、子どもたちの分もちゃんと獲物を届けてくれるのですから。
 カラスや山猫やオオカミ、クマ、ロバ、オンドリなどいろいろな動物がこのお話には登場します。そして、お百姓の夫婦や、教会の司祭など人間も登場します。それはフランスの田舎の田園風景を思いおこさせてくれます。一つ一つのお話を子どもに読み聞かせてあげても楽しいお話だと思います。そして、親子でルナールのずるがしこいところをおおいに語り合うのもいいのではないでしょうか。

★★★★

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紙の本うちにかえったガラゴ

2002/07/30 12:24

バムケロシリーズの新作登場!ページのすみからすみまでお楽しみがいっぱい!

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「バムとケロ」のシリーズは、子どもたちにとっても人気のある絵本です。ページいっぱいに描かれた絵には、文章では書ききれないやさしさや楽しさ、おもしろさにあふれています。今回の主人公はガラゴ。ガラゴは、おきゃくさんの希望にあわせて、どんなかばんでもだしてしまう、かばんやさんです。でも、ガラゴがかばんを持ってたびをするのは、暖かい季節だけ。寒いのは嫌いだから、寒くなると家に帰ります。さて、家に帰ったガラゴはさっそく、だいすきなおふろのじゅんびを始めました。すると、げんかんのとびらをたたく音が…。たびするざっかやのとらちゃんが来たのです。すると、次にはピーナッツうりのらくちゃん。その後も、おきゃくさんがどんどんきます。ガラゴは、みんなとおふろに入ることにしました。おふろで遊べるように、おもちゃもいっぱい用意して。
 げんかんのとびらをトントンとたたく人があらわれるたびに、ガラゴはそのおきゃくさんを気持ちよく家にまねきます。そして、みんなとおふろにはいってるあいだに、ガラゴは気持ちよくなって寝てしまうのですが…。
 とびらをあけるたびに、とってもかわいいおきゃくさんが登場するので、「トントン」という音のたびに、とてもワクワクしてきます。そして、ガラゴの家にあふれる、数々の雑貨のユニークさといったら! 子どもたちは、すみからすみまで実によく見つけ出します。文章で書かれているお話以上に、このガラゴの家にはいりこんでいきます。魅力のある絵が、このシリーズの強い人気のひみつと言えるのではないでしょうか。細部までアイデアに満ちていて、登場人物たちにはやさしさがあふれています。『うちにかえったガラゴ』には前作として『かばんうりのガラゴ』があります。出会うおきゃくさんがほしいなぁと思うかばんを見事に出してくれます。気の弱いライオンには、強く見えるたてがみのかばんとか。どんなことでもかなえてくれるすてきなかばんやさんなのです。前作とあわせて読むのをぜひおすすめします。

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楽しい言葉遊びの本3冊がミニブックセットとなって登場。贈り物にいかが?

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子どもたちの大好きな言葉遊び。でも、最初は大人から差し出さなくてはおもしろさは広がらない。はじめのとっかかりさえ手渡すことができれば、あとは自分たちでいくらでも楽しめる世界だ。この本は以前にも出ていたが、今回はサイズを小さくして、セットとなって登場した。「お江戸はやくちことば」「お江戸決まり文句」「お江戸早口言葉」の三冊である。<お江戸>というくくりがあることからもわかるように、昔から伝わってきているなぞなぞや決まり文句、早口言葉が紹介されている。それぞれに、説明もあるので、現在では使われていない言葉の意味や、いわれもわかる仕組みになっている。手のひらにおさまるサイズなのもいい。子どもたちはなぞなぞが大好きだが、その中でもふつうのなぞなぞには少し飽きてきている高学年の子どもに薦めてみたい。
「お江戸決まり文句」では、「驚き桃の木山椒の木」や「こんなところは牛とキツネだ」などなど。そして、その決まり文句の説明や使い方がおもしろい。江戸時代の笑いのセンスに感心してしまう。そして、いつ使おうか考えてしまうだろう。相手と場面を想定して、思わず練習してしまうかも!ちなみに「こんなところは牛とキツネだ」の意味は知っているだろうか?鳴き声をその動物のことばにあてはめてみてください。<こんなところには、モウ コン(もう来ん!)>である。その発展として、「この服似あうかい?」の問いに「いや、猫と犬だ。」といった答え。もう意味はわかることだろう。そして、次には友だちとの決まり文句のようなものを作りたくなってくるのでは?
イラストレーター、アートディレクターとして活躍している藤枝リュウジの絵が、楽しい雰囲気を出している。このセットになって、ポストカードが3枚ついている。新たななぞなぞや決まり文句、早口言葉が一つずつあり、誰かに送って言葉遊びなかまを増やしてみるのもいいのでは?

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