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雅孝司さんのレビュー一覧

投稿者:雅孝司

12 件中 1 件~ 12 件を表示

質的にも量的にもまちがいなくお買い得である。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 1966年にスタートしたこのシリーズが、ついに2000年を迎えた。社会現象にもなった「頭の体操」だが、その後のパズル書に与えた影響は大きい。たとえば、「奇数ページに問題、めくると偶数ページに解答」という画期的スタイルは、シリーズ第1集で創案され、以後無数のパズル書が追随した。


 本書=第22集は、「電脳空間 7つの発想」をサブタイトル(テーマ)とし、メイン出題は90問、他にサブ出題がある。最近のこのシリーズとしては、最大の収録数だ。「定価÷収録数」すなわち「1問あたり単価」を意識する読者がいるかどうかわからないが、質的にも量的にもまちがいなくお買い得である。

 さてこの巻では、シリーズ従来書に比べ、ふりがなが激増しており、低年齢層の読者にも読みやすくなっている。もっとも、出題傾向やコラム内容(ともにおとな向き)はあまり変わっていないのだが。

 出題傾向といえば、第1集以来34年間、このシリーズはほぼ一貫してひとつのカラーを保っている。マンネリともいえるが、いい意味でのマンネリだ。映画の「寅さん」、テレビの「水戸黄門」のようなもので、読者の期待を裏切らない。本書の実用性・資料性は必ずしも高くない。しかしそれは、知的娯楽書としてけっして短所ではなく、むしろある意味では長所だろう。

 ところで、本書の問44と事実上同一のパズルが、評者(雅孝司)1988年の作品『数学パズル珍問奇問105題』(日本文芸社)の問28にもある。両者の演出のちがいを見比べるのも、マニアの方には一興かもしれない。

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日本パズル書史上、最大のベストセラー&ロングセラーのシリーズ

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 ご存じ、日本パズル書史上、最大のベストセラー&ロングセラーのシリーズである。

 1966年の第1集のヒット以来、1978年の第6集までが発行された。(第1期)
 その後1984年までの6年間は発行されなかった。1985年、7年ぶりに復活、第7集が発行され、以後、毎年1集ずつ発行されている。(第2期)

 第1期が、数学・論理系問題などを比較的よく扱っていたのに対し、第2期は——本書第20集を含め——パズル界の専門用語でいうところのキャッチ・パズル(よくいえば「思考の盲点をつく問題」、悪くいえば「ひっかけ・いじわる問題」)に重心が移っている。

 また、著者以外に出題スタッフ(ブレーン)がいることは第1期から公表されていたが、第2期ではその人数が増加傾向で、さらに一般読者からの出題募集も公然と行なわれるようになった。本書でも「アイディア提供者」という形で23人の読者名があげられている。

 これらから考えて、第2期の著者・多湖輝は、実際には監修者的あるいは象徴的な役割だと推測される。

 さて本書では、シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」を題材に、読者が魔法の森を巡りながらパズルを解くという趣向だ。

「プロスポーツで、どんなぶざまなプレーをしても『やめちまえ!』といわれないのはどんな選手?」
「自分の行動の正確な時刻を絶体に記録できない場合は?」
など、おなじみ「頭の体操」ふう名調子のパズルが並ぶ。

 メイン出題は85問、ほかに TEA TIME というコーナーなどでいくつかのサブ出題がある。このシリーズでは異例だが、メイン出題には難易度が表示されている。 

 なお、本書の問48と実質的に同一のパズルが、評者(雅孝司)1988年の作品『数学パズル珍問奇問105題』(日本文芸社)の問7にもある。ご興味のある方は、比較してアレンジの妙を味わって頂きたい。

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紙の本算私語録 その1

2001/02/09 15:50

知的好奇心あふれるあなたに、お奨めの1点。

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 著者・安野光雅は画家である。そして本書は雑誌連載をまとめたものである。
 といえば、「その雑誌は美術関係か、万人向け週刊誌類か、ちょっとひねって文芸誌あたりか」と思うのがふつうだ。しかしそれは、なんと、数学専門誌「数学セミナー」なのである。

 画家と数学専門誌——意外な取り合せではあるが、著者はその職業のイメージに似合わず、数学・論理・パズル・ゲームなどに深い関心と知識を持つ。本書は、その方面のうんちくをショートコラム(およびショートエッセイ)全345編でつづったものだ。

 各編は、短いものは1行ぽっきり、長いものは数ページになるが、5〜6行以内のものが大半。よって、スピード感あふれる読書が楽しめる。ちょっとした細切れ時間を埋めるにも好適だ。

 扱う話題は多岐に渡るが、いくつか上げると、まず占い・迷信・超常現象ネタ。著者はそれらを認めない立場だが、けっして大上段にふりかぶるのではなく、軽やかにしなやかに、そしておもしろく否定する。「日常の素朴な疑問」ネタも多い。「地図はなぜ北が上か」「季節の野菜の幅は何か月」「日本の土地を日本人全員で均等に分けたら」など。

 もちろん、「数学セミナー」らしいネタ(とくに作図法や展開図)もあるが、数学苦手な人にも許容できる範囲である。いや許容できるどころか、思わずうなずいたり笑いたくなる題材がいっぱいだ。知的好奇心あふれるあなたに、お奨めの1点。

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墓場へのロードマップ

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 近年、インターネット上の「自殺方法を紹介するサイト」が問題になっている。一方、本書のサブタイトルは「健やかな死への道しるべ 42の死にかた全解説」である。
 これらを照らし合せると、まるで本書が自殺方法を紹介しているようなイメージだが、じつはそうではない。健康や医療に関するきわめてまじめな警告書、かついい意味の実用書だ。
 著者=メディカル・ブレインとは、医師・看護婦・薬剤師などの集団である。巻末に個人名や略歴も列記されており、「どこのだれが書いたのかさっぱりわからない」というあやしげな本ではない。
 ガン・心臓病・脳卒中など、日本人の主要死因をとりあげて、その発病過程・発見法
・治療法・予防法・症状の経緯を解説する。
 そして、生命の最終段階のようすも、医療現場の人間ならではの具体的な描写が行なわれる。死の描写は一種のタブーになっているが、著者はそこにも踏込んで行く。
 すごいのは、「ヤブ医者にかかって死ぬ」という章があることだ。起こりやすい(あるいは実際に起こった)医療事故を紹介している。医者が書いた本はたくさんあるが、間接的とはいえ同業者を告発するものはきわめて珍しい。
 また、精神病を扱っているのも、この種の本としてはたいへん異例である。
 さて、著者によれば、延命治療が進歩して、人は「死ななくなった」のではなく「死ねなくなった」。その結果、全身にチューブがまとわりつく「マカロニ(あるいはスパゲティ)症侯群」というあらたな“病気”をつくりだしてしまった。どうすればよいのか?
 著者はこの状況を踏まえて、ガン告知や安楽死・尊厳死についても具体的な提言をする。高齢化社会で、もはや避けては通れない問題だ。読者はどう考えるだろうか。
 健康を考えることは生を考えること、生を考えることは死を考えること———ふだん目をつぶりがちなその真理に、読者を向き合わさせる本である。

(雅孝司/小説家・ゲームクリエイター・パズル作家/)http://www.puzzle-j.com/)

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紙の本第三の理 ハノイの塔修復秘話

2001/03/01 15:37

第三の理

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 著者・根上生也は横浜国大助教授の数学者である。そして、本書のキャッチフレーズは「本邦初の数学小説」である。
 文系ならまだしも、理数系の現役学者が小説を書く(商業的に発表する)ことは、きわめて珍しい。評者(雅孝司)が知る限り、脇英世『悪魔のパスワード』(1985年・講談社)だけである。海外では、SF作家を兼ねる科学者が何人かいるようだが。
 本書は一人称形式で書かれており、主人公「私」は、なんと根上生也自身だ。しかもその職業は横浜国大助教授……そう、本書は、形態的には私小説でありときにはエッセイでありコラムであり、さらに論文や評論であったりもする。著者のあとがきによれば、「8割がた本当のこと」なので、残り2割がフィクションということになる。
 そのフィクション部分だが、謎の人物からの「私」への電子メールで始まる。「ハノイの塔が崩壊した」という内容だ。数日後、「ハノイの塔の修復方法を見つけてください」というメールが続く。
 ハノイの塔とは、「64枚の丸い板と3本の棒を使って、ある規則に従いながら、板を塔のように積み上げる」という、広い意味のパズルである。「私」は、教え子やベトナム人留学生と協力しながら、ハノイの塔を数学的に解明していくが、たんにそれだけでは終わらない。留学生の語る伝承によれば、3本の棒は、第一の理=物の理、第二の理=人の理、第三の理に対応している。この第三の理とはいったい何か? この謎が全巻を貫くテーマとなる。
 数学者が書いたものだから謎があっても最後は合理的に解決するのだろう、と思うと、意外にもそうではなく、ファンタジーやオカルトの要素を含む作品だ。その一方、数式やコンピュータプログラムリストも現われる。(ただし、それらを飛ばして読んでもストーリーをつかめるようになっている)
 一般の小説の定跡を、よくも悪くも超越している点が多く、小説としての好みと評価は分かれるかもしれない。しかし、知的読み物としてはたいへん面白いし、数学者の日常行動・思考・発想などが描かれるのも舞台裏を見るようで興味深い。

(雅孝司/小説家・ゲームクリエイター・パズル作家/)http://www.puzzle-j.com/)

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クイズは創造力理論篇

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 頭がいいとは、具体的にどういうことか? アンケートをとればいろいろな回答が出るだろうが、上位にくるのは「ものしり」であること、つまり知識の量が多いことだろう。そして知識の量を競うゲームが、クイズである。
 ———と評者は思っていた。しかし、本書を読んで、その単純な認識を改めることになった。
 著者は、名番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」の優勝者である。他のクイズ番組でも多数の優勝経歴を誇る。彼によれば、クイズとはもっと奥が深く論理的で、しかも夢のあるものなのだ。
 本書は、〈理論編〉と称している通り、さまざまなクイズ出題形式を分析し理論化する。たとえば、「音楽の三要素といえば、リズム、メ」で答がわかるという。この場合、出題文後半は「……リズム、メロディとあと一つは何?」となるのがクイズの“文法”だ。(答はハーモニー)
 一方、ボタンの押し方や読み手の音声分析にもさまざまなノウハウがあるという。このように、基本原理から高度なテクニックまで、クイズ理論がつぎつぎと紹介され、勉強法・練習法・必勝法が展開される。さらに、クイズには、理論を越えた要素すら存在する。生身の人間と人間の戦いである以上、そこには心理戦やかけひきが絡んでくるし、体力勝負の面も無視できない。
 本書は、広い意味ではハウトウ書である。だがそれだけでは終わらない。著者が10年以上をかけて追い続けた夢(ウルトラクイズ優勝)に挑みそれを実現するドキュメントでもある。
「たかがクイズ、たかが遊び、たかがハウトウ」であるはずなのに、いつのまにか著者に感情移入し、自分もクイズ番組で戦っているような気になっていく。スリリングな展開に一喜一憂し、興奮・安堵・くやしさ・おどろきなどが交錯する。そして、クイズが単純なゲームではなく「競技」であることを思い知らされるだろう。
 なお、姉妹書として、同じ著者による〈応用編〉〈問題集編〉もある。

(雅孝司/小説家・ゲームクリエイター・パズル作家/)http://www.puzzle-j.com/)

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紙の本探偵小説の「謎」 新版

2001/03/01 15:35

探偵小説の「謎」

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 ミステリー(推理小説)に興味のない方でも、「アリバイ」「密室」「トリック」ということばを、そして江戸川乱歩という作家名を、ご存じだろう。本書は、乱歩が古今東西(といっても、もちろん執筆時点で)のミステリーのトリックを分類・集大成したものである。
 たとえば、密室だと「(1)犯行時、犯人が室内にいなかったもの (2)犯行時、犯人が室内にいたもの (3)犯人と被害者が室内にいなかったもの」と著者は大分類し、さらに細かく分けて紹介・解説して行く。
 本書の原型は1940年代〜1950年代に執筆され1956年に発表されたものだが、いま読んでもさほど古さを感じさせない。それどころか、あらためて、「トリックは当時すでに出尽くしていたのか」との印象を受ける。
 もちろん、トリックの小道具は時代とともに変化している。同じ密室トリックでも、かつてはラジオやレコードを使っていたものが今ならテレビや携帯・PHSやMDになるわけだ。しかし、アリバイトリックというアイデア自体は、20世紀前半から現われていたのである。
 本書はさらに、狭い意味のトリックだけではなく、意外な犯人、異様な犯罪動機、犯罪心理、暗号、法医学、指紋など、広い意味のトリック——というよりミステリーのテーマ———にも触れる。それらがまたおもしろい。
 中でも興味深いのは「プロバビリティーの犯罪」である。たとえば、団地の階段の踊り場にビー玉・パチンコ玉などを何個かおいておく。だれかが通りかかり、玉に気づかず踏んでしまい、足をすべらせ階段を落ちたとしよう。最悪の場合は死ぬこともあるが、これを犯罪・殺人といえるだろうか。いえるとしても、現実に事件としての捜査が行なわれるだろうか。おそらく、「だれかが玉を落として行った。運悪くそれを踏んだ」ということで捜査はすぐ打ち切られるだろう。
 それを含め、本書を読むだけで、古典・名作ミステリー100冊以上を読んだような“効果”がある。トリック通になれる。ただし、いいかえれば全編ネタバレでもあるので、その点にはご注意されたい。

(雅孝司/小説家・ゲームクリエイター・パズル作家/)http://www.puzzle-j.com/)

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数のパズルはおもしろい

2001/02/09 16:10

パズルの、そして数学の、意外な楽しさ・面白さを発見し満喫することができるだろう。

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 パズルといってもさまざまな分野があるのだが、その中で花形ジャンルとされるのが数学パズルである。

 本書は、図形パズル等をはずしているものの、数学パズルのきわめて広い範囲から名作・新作・大作・小品etc計196問を集めたものだ。

 こういうものを解き慣れていない読者は、1問解くのに何時間も何日もかかることがあるだろう。全問ではいったいのべ何日になることか……その意味では、本書は一生物、末長く楽しめる(悩まされる!?)傑作パズル集なのだ。

 その証拠に、本書=日本語版は1958年以来数十年に渡る超ロングセラーとなっている。(原書=英語版は1955年発行)18章立ての章タイトルから一部拾ってみると——
推理パズル・虫食いパズル・暗号パズル・年齢パズル・河渡りパズル・時計パズル・相続パズル・鉄道パズル……

 問題を具体的に2〜3紹介すると——
 「湖の水面で砂利を積んだボートがひっくり返った。水面は上がるか下がるか」
 「JUNE+JULY=APRIL を正しい数式に」
 「時計の長針・短針・秒針の長さが同じなら、それらの頂点が正3角形をつくるのは?」
 など、パズルファンならこれらを見ただけでわくわくしてくるだろう。

 率直に言って、「パズルや算数・数学は死ぬほどきらい」という読者にはお奨めしにくい。が、「多少とも好き/一部は好き」という人なら、ぜひ1度読んでほしい。パズルの、そして数学の、意外な楽しさ・面白さを発見し満喫することができるだろう。「ちょっと好き」が「大好き」になるだろう。

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これを読んでないパズルファンはモグリだ!——といっていいほどの、定番シリーズ。

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 これを読んでないパズルファンはモグリだ!——といっていいほどの、定番シリーズ。1966年の第1集以来、33年目の第21集=本書は、マジックをモチーフにしている。

 著者はもともと「専門は心理学、趣味はマジック」であった。心理学とマジックには、重なる部分が少なからずあり、マジックとパズルには共通点がきわめて多い。つまり、この著者、この分野、このモチーフは最適・最強の組合わせだ。


 本書のメイン出題は80問、他にサブ出題がある。

 しかし本書には、それら出題のほかにも意外な魅力がある。プロローグや各章コラムで展開される、マジックのネタばらしだ。中には、いわゆる超能力現象の解明もある。

「パズルより、そっちのほうがおもしろい」と言ったら著者は喜ばないかもしれないが、多くの読者がそのネタばらしに「な〜るほど」と深くうなずき感心するだろう。極端な話、パズルに無関心な読者でも、マジック解説部分だけで十分楽しめる本である。

 ところで、これまでに20集出ているということは、平均80問として1600問の過去問題(出題ずみパズル)が存在するということだ。それらを避けながらまったく新奇なパズルを続々考案する——というのはさすがにむずかしいらしい。「20集までに出たのと同一アイデア」とか「他のパズル書と似た内容」も、たまに見られる。

 たとえば、本書問78は第6集の問25と基本的に同一である。もちろん、それは本書の価値を低くするものではない。同じ素材でも料理人の腕前によって、また調理のしかたによって、飽きずに何度でも楽しめる(客は、場合によっては、同一素材であることに気づきさえしない!)のだから。

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紙の本中山道算学奇談

2001/02/09 15:57

本書は、小説として面白いのは当然だが、暗号解読以外にも、数学的要素とパズル感覚があふれる作品だ。

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 「時代小説」ときいてあなたはどんなイメージを持つだろうか。剣豪? 捕物? 武将?……

 本書は、それらイメージのどれにもあてはまらない、まったく新しい時代小説である。著者は、本書刊行の前年に、「算学奇人伝」で第6回開高健賞を受賞した。本書は事実上の〈受賞後第1作〉なのだが、受賞作も本書も、和算(日本の伝統数学)と和算家を直接間接に扱った時代小説である。つまり著者は、「時代数学ミステリー」とでもいうべき、まったく新しいジャンルを開拓したのだ。ちなみに、他の著者から、同ジャンルで追随する作品もいくつか出た。

 江戸時代末期、主人公の加藤曳尾庵(かとう・えびあん)は板橋宿で寺小屋と町医者を兼業している。彼はある診察先で奇妙な掛軸を見かけた。30字ほどのひらかな(および漢字1字)が「金」の字型に配置されているのだ。

 その一方で曳尾庵は、一万二千両の埋蔵金の噂をきく。その場所は、暗号文書としてどこかに残されているとか。

 彼の頭の中で、両者が結びついた……かくして、一万二千両をめぐる争奪戦が始まる。謎の数学塾教師や歴史上の実在人物渡辺華山(わたなべ・かざん)などが入り乱れ、静から動のストーリー展開となる。

 その中で、キーマンならぬキーガールとなるのが、8歳の天才少女、お春だ。数学と論理に非凡な才能を発揮するお春——読者のあなたは、彼女よりも先に暗号を解くことができるだろうか。

 本書は、小説として面白いのは当然だが、暗号解読以外にも、数学的要素とパズル感覚があふれる作品だ。もちろん、計算がぞくぞく出てくるというわけではないので、「私は数式を見るだけで頭が痛くなって……」という読者にも、十分楽しめる。

 余談ながら、お春の天才ぶりを示すため冒頭(5〜11ページ)のエピソードで使われる2つのパズルは、評者の作品「面白くてやめられない 直感パズル」のものが引用されている。巻末の参考文献にもあげていただき、光栄である。

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紙の本あるなしクイズ小学生 上級編

2001/02/09 15:53

小学生のこども(あるいは孫!)がいたら、ぜひ読ませてみてほしい。

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 1991年〜1992年、日本テレビ系「マジカル頭脳パワー」などの番組がきっかけとなり、「〜にあって〜にないものは?」というパズルが一世を風靡した。もちろん、出版界もそのブームを見逃すわけはなく、“あるなし問題集”を競って刊行した。とうぜん児童対象のものもあり、本書はその1点である。

 じつは評者(雅孝司)は当時「マジカル頭脳パワー」の常任出題者だった。つまり、評者はあるなしブーム仕掛け人の1人なのだ。ただし、このパズル形式自体は、評者の創作でもなく番組のオリジナルでもない、古くから存在するものである。

 いずれにせよ、なつメロが若者には新鮮にきこえるように、このパズルも初めて接したら、とても新しい——というより必ずひっかかる衝撃的なものだろう。

 この書評を読んでいるあなたはたぶん児童ではないだろうが、小学生のこども(あるいは孫!)がいたら、ぜひ読ませてみてほしい。あなたにとっては「流行遅れの遊び」にすぎないとしても、こどもは夢中になるだろう。そして、親に「ねえ、これ分かる?」と出題してくるだろう。そう、親子の対話の絶好のネタとなるのだ。さらに、こどもはみずから新しい問題を作りだそうとするかもしれない。なみの作文や計算を越える、きわめて知的・創造的な作業である。

 本書の内容は、児童書としてとうぜんながら、カラーページを交えてビジュアルに楽しく構成されている。問題はおおむね易→難と並び、むずかしいものにはヒントがついている。また、あるなし以外のパズルもときどき現われるが、単調さを避けるために役立っている。

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人間の目がいかにだまされやすいか、視覚がいかに頼りにならないかを、一問一答形式であばいていく

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 「この目で見なければ信用できない」「この目で見たから信用できる」
 人はよくそう言う。「百聞は一見にしかず」ということばもある。しかし、視覚はそれほど信用できるものなのか。いつもそんなに正しいのか。本書は、「目の錯覚を楽しむ」というコンセプトで、人間の目がいかにだまされやすいか、視覚がいかに頼りにならないかを、一問一答形式であばいていく。

 直線がゆがんで見える/同じ大きさがちがって見える/凹凸が逆転する/1つの絵が2通りに見える/グラフで人をだます……etc、古典的なものから新しいタイプまで、さまざまな錯視が紹介される。

 錯視は学問的には心理学などのテーマだが、著者はデザイン学科教授でありそれ以上にグラフィックデザイナーである。本書にはデザイナーならではの視点がいっぱいだ。つまり、理論やデータ先行ではなく、広義のデザイン分野における実用性が重視されている。

 プロの画家・イラストレータ・各種デザイナーにはとって、さらには一般市民がちょっとした図をかく時などにもおおいに役に立つ内容だ。フォント・レタリング・パース等にかかわる人にも参考になるだろう。

 もちろん、実用面など考えず、たんにながめているだけでも十二分におもしろくて意外性に富む、ビジュアルな本である。その一方、視覚の不確かさを思い知らされるので、聴覚など他の感覚も含めて、一種の不安と自身喪失を招かぬようご用心。
 ちなみに、巻末の参考図書には、評者(雅孝司)の著者が2点あげられている。

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