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一茶茂ン太郎さんのレビュー一覧

投稿者:一茶茂ン太郎

5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本極夜 カーモス

2013/04/14 21:10

極夜~カーモスを読んで

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

・北欧ミステリ流行の昨今、本書は文庫の厚さも値段も手頃なことからエドガー賞等の新人賞にノミネートされ、作者名がジェイムズ・トンプソンとかの最強ノワール作家ジム・トンプスンと同名で「フィンランド発ノワールミステリー」(帯)に惹かれ本当に北欧ミステリ?と思いつつも読むことにした。
・北欧ミステリと言えば、警察小説の名作であるスェーデンのストックホルムを舞台にしたマルティン・ベック警部(のちに主任警視)シリーズ(マイ・シューヴァル&パール・ヴァルー夫妻の合作)があげられると思うが、当時のスウェーデンの風俗・流行、政治や社会を背景に素晴らしいプロットと錯綜する事件をマルティン・ベックの捜査チームが事件を解決していくシリーズ。
・さてフィンランドと言えば、北極圏、オーロラ、北欧型の福祉国家で税金が高い、ノキアやLINUX等ハイテクを中心とする工業先進国という私の印象。
・題名の「極夜」はフィンランド語の「カーモス」と言い、1日中太陽が沈まない「白夜」に対して、1日中太陽が姿を見せないことが「極夜」で、フィンランドでは1~2ヶ月ほどあるらしい。
・扇情的な殺人、鬱症状やアルコールに依存する人達から物語から『真暗闇』を想像したが、カーモスの実際は水平線すれすれまでは太陽が昇るためあたり一面が5時間ぐらいは積もった雪のおかげもあり明るいらしい、そして午後の十数分は空も雪も全てが青くなったままの美しい時間があるそう。
・作者はフィンランド人ではなく、米国人で98年にヘルシンキに移住してフィンランド人女性と結婚、現在まで住み続けている。
・作者はカリの妻ケイトをアメリカ人にすることにより自身の経験を踏まえてフィンランドを客観的に描くことになる訳だが、「フィンランド人は無口で、話す時は独特の抑揚のない言語で不機嫌そうにしゃべる」という外国人に対してカリを通じ外国人ケイトにフィンランド人気質を分析して答えてみせる。
・最初の容疑者セッポは、かってカリの元から出て行った前妻ヘリの不倫相手で人間関係が難しい捜査を指揮していくことになるが、容疑者が二転三転して、妻ケイトの願いも空しくカリは捜査から外れるタイミングを失い・・・。
・書かれていないがソマリア移民に対する感情(タブー?)を背景にした人種差別か、性的倒錯者の犯行なのか、被害者の頬に凍って残っていた涙の意味するところは・・・、フーダニットとともにハウニダットも興味を惹かれる。
・容疑者との関係ばかりで無く民族と宗教、スウェーデン、ソビエトの支配から抵抗・独立の歴史の中での枢密国ナチスとの関係と窺い知れない歴史、妊娠ストレスの妻の関係、上司である警察長官との関係、妹の事故死と父母との関係、父母の住む小さなコミュニティの問題、売春問題(フィンランドは16歳以上の娼婦は合法!)等、優れたミステリに必要な要素が詰め込まれている。
・田舎とはいえ警察署長自ら捜査そのものに当たるとか現場で簡易かも知れないが予備的な鑑識仕事をするところは日本の警察とシステムが違い興味深い。
・重要な証拠となる車がBMW(ドイツ車)であり、世界一安全と言われたボルボ(スウェーデン車)でないのは歴史が背景と思うのは穿ち過ぎか?
・本書では極寒の屋外から自宅に帰って薄着で過ごす場面が出てくるが、本州の人によく北海道の住宅は冬なのに暑いと言われるが北海道の新しい住宅では暖房自体は大前提だが優れた断熱材・工法の住宅では、Tシャツ・裸足でも平気なくらいに生活は出来る、エネルギー節減からは好ましくないが・・。
・本書の後も3作カリ・ヴァーラ警部物は上梓され邦訳が楽しみ

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紙の本卵をめぐる祖父の戦争

2013/04/07 03:42

不思議な冒険物語

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1942年のナチス・ドイツのレニングラード(サンクトペテルブルグ)包囲戦の最中の祖父レフの不思議な冒険物語。
略奪罪で銃殺刑を逃れるには「卵1ダース」を1週間以内に調達、持ち帰ること!臆病な少年レフの相棒はこれまた、脱走兵で銃殺罪を逃れたいコーリャ。
死刑を逃れるのが「卵1ダース」を持ち帰ることって!戦争中になんて馬鹿馬鹿しい命令。
包囲戦(=兵糧攻め)のため大飢餓のピーテル(レニングラード)の街を「卵」を探し歩く二人。命令を出した大佐さえ調達出来ない?!のに簡単に見つかる筈も無く。
騙されて人肉ソーセージを売る鬼畜夫婦に材料にされそうになる二人、卵を産む雌鶏を守るため何も食べずに鶏小屋を守る餓死寸前の少年との遭遇、後にその鶏はメスでなくオス?だった。
市内での卵調達が無理と判り、ナチスの前線(包囲網)を越え、ドイツの占領地内へと卵探しに行くことに。
途中慰みものにされた少女達がナチスに囲われた農場である逃げた少女は捕まり、少女達の見守る中見せしめで両足を切り落とされる話を聞き、パルチザンとの関わりが出来、やがて武装親衛隊と対決する羽目に。
凍結した川に身包みを剥がされた死体、戦車を攻撃するために地雷を括り付けられた犬達、立て看板にされた凍りついた兵士の死体等々と遭遇しながら厳寒の中、卵調達のための行進が続きやgて、ナチスの捕虜に。
戦争のリアル、残酷なエピソードが胸くそ悪くならないのは本書が馬鹿馬鹿しいとも思える物語の設定と感情を込めない冷静な表現だけではなく、敵味方関係なく取込んでしまうキャラクターであり物語の推進役のコーリャの存在によるところが大きい。
コーリャの能天気、超ポジティヴな発言や下ネタが主人公レフの臆病さを和らげるとともに物語が都合良く進むと感じさせない展開を納得させてしまう。
レフは極限の中にいてもコーリャとの漫才みたいな会話だけでなく、恐怖と関係ないことを考えたり好きになったパルチザンの女狙撃手を夢想したりすることこそが余計にヒトとしてのリアルさを感じさせる。
訳者あとがき、解説によると作者デイヴィッド・ベニオフは他にも曰く「変な小説」長編『25時』、短編集『99999(ナインズ)』が訳出されているので読んでみたいと思う。
兎に角、戦争の残酷さ、愚かさ、極限での人間性の崩壊、人種差別をひいては国内外情勢を考えさせられながらも読後に厭な後味を残さない不思議なファンタジーと言えるのではないか。

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紙の本死者を起こせ

2013/04/02 00:55

失業中の歴史学者達が隣人の失踪事件を探偵する

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

失業中の歴史学者3人が金欠のため共同で借りた一軒家の隣人が失踪した。
研究する時代が中世専門のマルク、先史時代専門のマティアス、第一次大戦専門のリシュアンの主人公達とマルクの伯父の元警視アルマン・ヴァンドスレールが事件解決に挑む。
主人公達の職業はユニーク、各々のキャラクターがハッキリ区別が付き、その四人の行動・言動に引き込まれて物語が進行していく。
作者によればミステリは、読者の実生活と違って最後には問題が解決され「不安の解消」を楽しむものと考えていることもあって血なまぐさいバイオレンスはない。
個人的には女流作家的展開と思う・・「何が」はミステリなので言えないが。
シリーズものなので今後、2作目以降どう事件と出会うのか?そうそう、ご近所さんに事件が起こると偶然は無いだろうから、そこも楽しみ?
本書は非常にユニークな主人公達に同調し易く面白く読め、安心して読後は安らかに眠れます。

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紙の本32台のキャディラック

2013/03/02 16:37

ダン・カーニー探偵事務所シリーズ

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’98年9月に出版されて直ぐに購読した。
ジョー・ゴアスの「32台のキャデラック」の題名でダン・カーニーって思い出したので私の記憶も満更ではない?
舞台はニューヨーク、東海岸では無く確かサンフランシスコの筈。
自動車ローンの滞納者や盗難車の追跡調査及び、回収を業務とするダン・カーニー探偵事務所シリーズの長編。
題名通り、32台のキャデラックを回収する話だがストーリーは忘れている。
キャデラックの他にも沢山のクルマが登場する、クルマ好きにはたまらんでしょう。素人にはカタログ写真があれば楽しめる。
ダン・カーニー・シリーズは絶版なのでジョー・ゴアスの供養も兼ねて是非、再版して欲しいな。版権はまだ角川書店かな。
これより前に新潮文庫から短編集が出ていたが、持っていたかな?本棚を探してみるか。

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デュレンマットを読もう!!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書を読んで、こんな面白い作家を知らなかったなんて、損してたな。
まだまだ素晴らしい作品で好みに合う作家は沢山居ると思うけど(笑)
さて短編が4つ収録されている。
1.「トンネル」・・最後はどうなるうだろうと読み進んだ。書かれた背景、意味するところが判らず、解説を読んでなるほど。訳者がデュレンマットを卒論に選んだ(留学して)だけのことはあり、翻訳と解説とも素晴らしい。
2.「失脚」・・・・今でもありそうな状況の国があると思わせる。ソ◎◎◎だけじゃなく、近い国もね。しかし登場人物がA~Pで表記されていて斬新なのか?私の理解力じゃ確認するのに付いている栞(登場人物記載)は必需品!
3.「故障」・・・・主人公は最後どうなるんだって読み進めさせられる。このオチ、想像と違ったな、色んなオチがありえるなと思った。ウ~ン、清廉潔白なんて無い、正義なんて見方、立場でで変わる、グレーを知ってしまった現代に生きてることを考えさせられる。
4.「巫女の死」・・・オイディプス王のお話、ギリシア神話に疎いので大変面白く読んだ。蜷川さんの舞台はネットで見たんだけど。望んだ正反対の結末とは皮肉なのか悲劇なのか。
兎に角、デュレンマットは読むべき作家と思う。
初読みで直ぐに他の作品も読みたいと思った作家は久し振り、取り合えず書店にあった『判事と死刑執行人』(同学社)を入手、早速読書中。また、リサイクルで『約束』早川文庫)を入手しました。古本屋さん回り復活!!

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