道南さんのレビュー一覧
投稿者:道南
2020/04/04 20:37
元裁判官のオーラル・ヒストリー
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
先日、初刊本のレビューを書いたばかりだったところ、偶然にもほぼ同時に岩波現代文庫版が刊行されました。
貴重な内容だった本書も初刊本は入手困難になっていたとのことで、文庫化は喜ばしい限りです。
今回、まえがきと門野元裁判官の解説も加えられ、読み応えもアップしています。
内容についても増補修正が加えられたとのことで、実際、あまり裁判制度に詳しくない人には多少の誤解を招くかもといった箇所が削られ、後日思い出したと思われるエピソードがインタビューの時に語ったかのように加えられているのを発見したりしました。
紙の本刑法総論講義案 4訂版
2017/03/11 20:07
信頼の講義案の改訂版
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
裁判所職員用の教材として書かれただけあり、刑法総論分野の理論的対立にとらわれることなく、実務で運用されている刑法を学べるとして、各種受験生にも愛好者の多い講義案の最新改訂版が出ました。
はしがきにもあるように、もともとは杉田宗久氏が若き研修所教官だった頃に講義用に書かれたものがもとになっています。
よくあるような定年退官後ではなく、杉田氏は裁判官の任期をまだまだ残しながら法科大学院教授に転身されたのですが、ほどなく若くして亡くなられたのは残念なことでした。
でも講義案の方は後を継ぐ教官達により最新の法改正や判例動向を反映させた改訂が続けられています。
紙の本裁判の非情と人情
2017/03/04 14:46
読み物・刑事裁判
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
量刑の分野にも事実認定の分野にも専門的な著書のある元裁判官の著者ですが、本書は雑誌「世界」の連載をまとめたものとのことで、岩波新書にしてはややくだけすぎかなというくらい、刑事裁判全般に関する楽しい読み物となっています。ただし、その背後にはものごとに向き合う真摯な姿勢があることが感じられます。
紙の本民事訴訟法概論
2016/03/19 08:55
著者待望の一冊本
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
著者には、重要論点ごとに詳細に論じた上下巻の『重点講義民事訴訟法』がありましたが、薄手とはいえ民事訴訟法全体を俯瞰した一冊本が出たのは、高橋ファンには待望のことと思います。
2016/03/11 00:09
20年を経ての文庫化
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
最初の版は、著者も関わられたイギリスBBCとの共作のNHKスペシャル「大モンゴル」の放映にタイミングを合わせて角川選書として出たものです。入手困難となった時期もあったと思うのですが、文庫化により参照しやすくなったのは何よりと思います。
紙の本民事執行法
2016/01/23 00:33
実質的には現代法律学全集本の新版
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
残念ながら完結が断念された現代法律学全集で増補新訂六版まで出た中野貞一郎先生の名著『民事執行法』の実質的な新版です。
その意味では同じく青林書院の現代法律学講座で第四版まで出た元最高裁判事藤田宙靖先生の『行政法1』が単発本の『行政法総論』として甦ったのと事情が共通しています。
全集としての改訂ではなくなったのは少し寂しい気もしますが、名著がこうして残っていくのは喜ばしいことなのでしょう。旧著では豊富に載っていた参考文献が凡例掲記のものに限られてしまったのも惜しまれます。
2021/01/01 07:45
初心者目線を忘れず
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
SF作家の著者による囲碁エッセイです。
初心者だった頃に何がわからなかったか覚えているのが強みとお書きになっているとおり、囲碁の知識がなくても楽しむことができます。
私にとっての意外な発見は、川端康成『名人』のモデルとなった引退碁の対局相手が木谷明元裁判官のお父上の木谷實氏であったことが、本書によってわかったことです。
文庫化にあたり追加された還暦夫婦対談と文庫版あとがきに、御主人が定年を迎えられた後の暮らしぶりやコロナ禍の現下の情勢が反映されています。
紙の本日本憲法史
2020/09/16 21:32
名著が講談社学術文庫で復活
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この分野の数少ない専門的な著作ですが、法律書の出版社から刊行され、15年ほど前に版が改まったものの、最近は入手困難となっていました。
今回入手しやすい文庫版で再刊され、加筆訂正や参考文献の追加がなされたのは嬉しいことですが、事項索引や人名索引は頁数の関係で割愛されたのが惜しまれます。
2016/07/09 20:01
最新情報でリニューアル
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
JR編、私鉄編、関西編…等と続いてきたシリーズが最新の情報でリニューアル。所要時間や沿線周辺の土地柄まで充実の内容です。
東京勤務時代に満員電車での通勤を経験しているので親しみをもって読みました。かつて2冊に分けて出た私鉄編のリニューアルも待たれます。
2016/02/19 00:21
SFマガジン連載を単行本化
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
SFマガジンが隔月刊化されてからだったでしょうか、3回くらいに分けて巻頭特集で連載されたのを、その資料価値に惹かれて毎号買い求めたものでした(函館蔦屋書店で買った号があったような記憶も甦ります。)。本書はその単行本化です。
連載がほぼ忠実に再現され、これならSFマガジンを買うまでもなかったかなあとも思ったのですが、一冊の本にまとまるのは、やはり嬉しいことではあるのです。
紙の本条文の読み方 第2版
2021/10/30 14:47
法制執務のミニテキスト
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
初版は衆院法制局のメンバーが法学教室に連載したコラムをまとめたものという性格が強かったのですが、今回の改訂により法制執務の体系がコンパクトに示され、法制執務のミニテキストと言ってもいい内容となりました。
2020/03/29 14:31
裁判官のオーラル・ヒストリー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
周防監督の映画のモデルともいわれる裁判官のオーラル・ヒストリーです。
生い立ちから学生時代、裁判官任官後の各任地における経験から現在に至るまでが余すところなく語られており、聞き手の先生方の丁寧な準備がうかがわれます。
若き日、福島裁判長の陪席として平賀書簡問題を間近に見たこと、白鳥決定の原々決定に関与されたことから、調査官時代の最高裁判例の生成過程に至るまで、これまであまり知られることのなかった実状が語られ、大変興味深いです。
紙の本首都圏沿線格差 生活しやすい沿線・メリットの多い沿線はどこ? 2019
2019/03/21 00:10
わかりやすい首都圏沿線模様
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
このジャンルのムック本には根強い人気があり、様々な出版社から定期的に類書が出ていますが、まず大切なのは最新のデータに基づいていることで、その点は合格。
各駅の乗降客数、混雑率、家賃相場など、多様な切口が面白いですが、意外と大切なのは。路線の形状を図示していることと、駅間の所要時間や料金を明示していること。具体的なイメージがわきます。
また、首都圏の沿線をまんべんなく取り上げながらも、記述の濃淡にはメリハリをつけているのもよいのですが、自分に親しみのある路線が簡単に済まされている読者には不完全燃焼感もあるかもしれません。
紙の本憲法 第7版
2019/03/16 19:20
4年ぶりの改訂
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
コンパクトにまとめられた芦部憲法の名著が高橋先生の補訂により今なお最新の内容を保って生き続けているのは嬉しいことです。
今回の高橋先生のはしがきでは、晩年の芦部先生の御発言から9条に関する改説をお考えだったのだろうかとの迷いが披瀝されています。
これまでの版のはしがきも収録されているのでいいのですが、今回のはしがきからは芦部先生の地の文と高橋先生の補訂部分の見分け方の説明などがなくなっています。
2019/03/10 15:17
緊急出版
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
著者逝去による緊急出版です。
著者の明治ノンフィクションが盛んに出版されていた頃は喜ばしく感じていましたが、健康を害され晩年は少しお寂しいものだったようです。
NHKの大河ドラマ「いだてん」が始まり、天狗倶楽部の面々にも光が当たろうという時に残念でなりませんが、少しレアだった出版物が甦りました。