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H2Aさんのレビュー一覧

投稿者:H2A

470 件中 46 件~ 60 件を表示

紙の本

紙の本母なる夜

2023/09/29 12:30

何という世界で彼らは生きようとしているのか

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アメリカ側の工作員としてアメリカ人でありながらナチスに迎合し、その広報官として要人にまで登りつめ、戦後に戦犯としてイスラエルで裁判を待つ身になったハワード・キャンベル・ジュニア。ナチスに対しては共感はなく、しかし様々な思想、主張がごった煮になっているアメリカの欺瞞も強烈なカリカチャーとして描いている。「まったくーこれが人間の生き方なのだ。/まったくー何という世界で彼らは生きようとしているのか!」という一節もあるように、何が何に優越しているということを彼は認めることができない。死を望んでいても、彼を諜報員に仕立てたワークネンが亡霊のように現われて彼の命を救い出す。ほんとうに彼が「スパイ」だったのかどちらも同じようなものと思えてくるような、どこでもないような境地に達してしまう。後年のヴォネガットの萌芽もここに間違いなく見える隠れた名作。

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紙の本

紙の本ギリシャの誘惑 増補新版

2023/09/23 06:55

ギリシャは幸福のトラウマ

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著者は70年代の後半にギリシャに住んだ。アテネだけでなくて無数にある島々、クレタ島、サントリニ島・・・を気ままにたずねた時の記憶を辿る。地中海という世界を巡った思考もおもしろいが、これはいい意味で池澤の「ギリシャ」を伝えてくれる。内容は全然系統立ってはいないしたぶん偏っていて、ガイドブックとして良いものとは言えないがこれは好著。ギリシャが著者にもたらしたという幸福のトラウマを味わってほしい。

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紙の本

紙の本神曲 天国篇

2023/09/10 00:27

語るに余る天界を静かに見せる天国篇

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天国篇は正直に視覚的にはイメージしづらいところが多い。それでも天界に上がって浄罪されているはずなのに堕落した俗世間への批判、フィレンツェへの怒りが最後まで語られずにいられない。天界ではヴェルギリウスにかわってベアトリーチェが、ここではもうダンテの母のように彼を導き励ます。無数の天使に出会い、フランチェスコ、ペテロたち、昇天した歴史上の聖人たちに議論さえする。至高天にいたる十の天をベアトリーチェに誘われて生きた身のままに上昇していく。至高天ではマリアに出会い、とうとう神を垣間見る。その調節的な存在が世界全体を動かしていることを語って壮麗な言葉の旅を静かに終える。当時想像し得る最高の世界像を描いたのだと思う。

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紙の本

紙の本神曲 地獄篇

2023/08/18 18:19

驚くほど平明

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世界文学史上の傑作の地獄篇。ここの部分はその後に比べればわかりやすいと言われているが、それにしてもこの平川訳はほんとうに平明で読みやすい。注釈の付け方が(単行本で読んでいるためか)ちょっと独特で、章(歌)ごとにまとめて行番号で示している。正宗白鳥、上田敏らの評もちらほら。ダンテの倫理観(彼にとっての罪深さの度合い)によってそれぞれの罪状が地獄のちがった9の圏に墜ちる。そこにダンテの知った顔もあって歴上の人物や神話上の存在もあって賑やか。ダンテを先導として同道するのがウェルギリウス。とうとう地獄を抜けて煉獄へ。

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紙の本

紙の本マシアス・ギリの失脚

2023/07/28 03:08

マジックリアリズムの傑作

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作者の小説の中ではかなり有名だと思う。ようやく読了。南洋の小国ナビダード共和国の大統領マシアス・ギリが失脚するまでを描いた政治小説、なのか島の呪術的でいて穏やかな島民たちの姿とマシアスの人生を描いた重厚な小説。ファンタジーとも言えないが、時折挿しはさまれる『バス・リポート』のキテレツさは稲垣足穂のようだったし、亡霊との会話も非現実的な印象を強める。これは傑作ではないか。

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紙の本

紙の本南の島のティオ

2023/06/23 22:18

これは快作

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池澤夏樹の少年ものは鼻に突きそうだと思って後回しにしていたのが、これはなかなかよい小説だった。どことも知れない南の島でホテル経営をする父を手伝うティオ。あまり子ども子どもしていなくて適度に大人びて適度に無邪気。出てくるエピソードが不思議な要素も使うが、狙いすぎず見事にはまっている、と思う。これは快作。

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紙の本

紙の本静かな大地

2023/06/06 02:36

曽祖父をモデルにした史伝

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明治維新の頃に淡路から北海道開拓に入った人々。その中に1人である宗像三郎がアイヌの人々とともに牧場を拓き、栄え挫折していった経緯を語る。開拓ということは無人の野を開いたのではなく、私達「和人」が先住民のアイヌ人を押しのけていったことでもある。三郎がそのアイヌに手を貸すが、周囲に押しつぶされて牧場は和人に呑まれ切り刻まれる。語りは客観的なもので盛り上がりには欠けるところもあるがそれが重厚感も出して読後の満足感は高い。ここで語り役になっているのは作者の祖母に当たるそう。史実と創作がないまぜになった快作。

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電子書籍

電子書籍荒ぶる季節の乙女どもよ。(6)

2023/05/16 11:18

もーちゃんと菅原氏

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文化祭で告白した泉はとうとう和紗と交際をはじめるが、菅原氏はそこに分け入る勢い。その流れは止まらずはじめのクールな装いはどこに行ったのかかなり暴走気味。ここまで和紗の親友というだけで脇役的な立ち位置だった百々子は結局杉本を拒絶し、自身の菅原氏への友情ではない感情に気づく。巻の後半はいわば「神展開」で、この巻は全巻中でもっともおもしろい。

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紙の本

勝負に出た特集、そして

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ジェルジ・リゲティ特集とは攻めてる内容だ。それですごく久しぶりに買ったのだが、特集は面白く読んだが、なんとあと2ヶ月で休刊になると書いてある。以前の分厚かった、でもちょっとマンネリ気味のレコ芸を覚えているので寂しい限り。各社の発売点数も少ないほんとうに少ないのだろう。とはいえ、これまでの長の年月に渡って、クラシックファンの渇望を満たしてくれたこの雑誌には感謝を述べたい。そして季刊でもいいから復活を願うばかり。

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紙の本

出版社の現在

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水声社の社長である鈴木宏氏が零細出版社の経営状況を赤裸々に語る貴重な対談。大企業のサラリーマンとは根本的にちがう。斜陽産業のように言われる出版業界で、30年以上も人文・芸術系中心の零細出版社を続けるのは並大抵ではないことはよくわかる。水声社は自分が最も贔屓にする出版社のひとつで、書肆風の薔薇の時代から、外国文学や思想・芸術書の数々の珠玉の一冊を次々に世に問うてきた。少数のコアな読者、研究者たちに支えられて堅実経営、と思いきや全然ちがう。まずその年商を聞いて驚き、著者への稿料の金額と支払実態に驚き(税務調査のエピソードなど興味深い)、もろもろのその規模の小ささに驚く。と同時に現在の人文知の置かれた環境は厳しさを増し、文化政策の衰微ぶりには暗澹とする。そんなことを言えるのは自分がいかに経済的に守られ人の心配ができるほど結構なご身分だということなのかもしれない。

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紙の本

リヒャルト・シュトラウス伝記

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ここのところリヒャルト・シュトラウスが気になっていて、以前にも『第三帝国のR.シュトラウス』を興味深く読んだ。それはツヴァイクの台本作家として起用する際にいかにナチスと渡り合ったかを主軸に取り上げた好著であったが、こちらはその生涯自体を追った労作。序盤からクラウス・マンやクレンペラーの悪意ある評価を引くが、この著作を読めばそれが一面だけを誇張した謬見に過ぎないことがわかると思う。巨悪と闘うために自らも完全に白とは言えないにしろ、息子の嫁アリーチェや孫を収容所送りから逃がすために既に年老いた大作曲家がいかに粉骨砕身していたかをよく描いている。それに引き換えてマーラーの悪妻アルマの喧伝の何と卑しいこと。シュトラウスが被る悪評の数々はむろんアルマ・マーラーだけではなく方々で残っているが、その評価が覆るにはまだまだ時間が必要だということになりそうだ。
マイナーな作品まで取り上げていて、オペラなどは全作品あらすじなども書いてくれているのでその意味でも助かる。シュトラウスの再評価をこの著作をきっかけに進んでくれれば。

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紙の本

紙の本アトミック・ボックス

2023/03/03 13:16

予期せぬ傑作

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癌で早く亡くなった猟師であった父から託されたCD。そこに隠されたのは極秘の原爆開発プロジェクトの存在。その極秘資料を策された大学講師の娘である美汐は資料を携えて逃避行に出る。追うのは公安と地元警察。両サイドからの視点が交互に語られスリリング。その知略も人間離れしていなくてちょうどいい加減。美汐の人物像も勇ましすぎず、大胆すぎず好ましい。逃避行の舞台になった瀬戸内の各所も総じて明るく鮮やかで明るい印象。最後にある大物と対峙しても美汐は悪びれず自分を貫く。
 この原爆開発計画は戦後に現実にも存在していたということをNHKで見たのでそれほど驚かないが、ここでは驚愕の真実として描かれた。池澤の戦後史観が洗われているのか。小説の方はよく書かれていておもしろいと思った。

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紙の本

紙の本赤い百合 上

2023/01/21 21:27

不倫と嫉妬心

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テレーズ・マルタンはパリ社交界の花形。政治の時局も織りまぜそのサロンに集う政治家、芸術家、その家族を丹念に描写。テレーズはル・メニルと不倫関係にあったがそこに飽き足らず、たまたま知り合った彫刻家ドシャルトルに惹かれるようになり、友人の詩人ベル嬢を頼ってフィレンツェに滞在しドシャルトルと逢瀬を重ねるようになるところで終わる終わる。訳文は少し古風だが艶やか、それに鮮明。

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紙の本

紙の本赤い百合 下

2023/01/09 09:51

男の嫉妬心

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下巻はフィレンツェが続き、パリニ戻る。逢瀬を重ね愛し合うテレーズとジャックだが、ジャックの強烈な嫉妬心は暗くくすぶり続け、あることをきっかけに爆発終わらせてしまう終わらせてしまう。ジャックの嫉妬心による苦しみが強烈なタッチで描かれ、今読んでも迫力がある。小林正の訳文はちょっと古いのはともかく素晴らしく艶やかで品がありこの本の価値を高めていると思う。再刊を願ってやまない名作。

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紙の本

50年前に書かれたが古びていない

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1972年だからちょうど50年前に出された著作。論理哲学について書かれた本として当時は貴重だったはず。著述スタイルは非常に簡潔で、200ページ少しの中に様々なトピックを折り込み、さらに自身のスタンス、見解もしっかり述べている。新書という制約の中でもこれは立派で、今となってはもっとかみ砕いた本もあるだろうが、今になっても大変な好著。

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