よしおくんさんのレビュー一覧
投稿者:よしおくん
紙の本服従
2016/03/28 14:09
人間みな欲望には服従してしまう
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初ウェルベック。イスラム政権の誕生といったような「予言」は基本的には作品の背景であって、私には結局、人間存在そのものを問うた作品であるように読めた。
主人公は友人(そもそもいない)、恋人、両親を、そして職も失い、社会や地域とのつながりのない人間となっていく。生きることにさえ意味をなくすがセックスや食などには固執する。すべてをなくした人間に残るのは本能的な欲望だけなのだ。改宗をはじめとする行為はイスラムへの服従ではなく、欲望に対する服従だった。
2016/03/28 14:06
面白そう。でも翻訳ひどい
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「マチュピチュ探検記」が面白かったので、同じ著者の2作目。内容はきちんと取材もされているし、ロマンにもあふれ、かつ知的で、読む価値は十分にあった。しかし、とても読みにくい。「マチュピチュ」も時間がかかったことを思い出したので、よくよく注意して読んでみた。問題はあきらかだった。翻訳の日本語がひどすぎる。仕事で原稿も読んできたが、この翻訳は他人に読ませるレベルに達していない。せっかくの良い本が台無しだ。
2016/03/28 14:03
読書の快楽
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村上春樹ワールド、堪能しました。ミステリー仕立てというか、謎解きもあり、楽しんで読めました。
ただ、「1Q84」的世界が時々、顔をだしていること。また(沙羅に背中を押され、また16年が経過していたとはいえ)つくるが、珍しく積極的、能動的な主人公だったこと、作品全体が前向きになっている、16年の静止、退行から動き出したこと~などなどを考えると、「1Q84」を引きずりながらも、新たな世界への脱皮を図る作品なのかなと思いました。
まぁ、難しいこと言わず、読んでください。村上春樹には読書の快楽があります。
紙の本追跡者たち 下
2016/03/28 13:59
南アフリカテンコ盛りのクライムノベル
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南アフリカを舞台にした、テンコ盛りのクライムノベル。スパイ・探偵・警察という三つの物語が楽しめる。この三つが一気にまとまって、思いもかけない事実が姿を現すというカタルシスはイマイチ。
とはいえ、それぞれに面白く、質は高い、登場人物も魅力的でどれを読んでも満足できた。余談だが、南アでは「彼女はニッサンだ」というと、情熱的という意味らしい。「結婚するならトヨタ」という言い方もあるそうだ。ちなみに3番目の物語の主人公が惚れ込んだんはホンダの車で、日本車がこれほどまでに生活に浸透しているのかと別の感慨を覚えた。