百書繚乱さんのレビュー一覧
投稿者:百書繚乱

DAYS 1 出会い
2017/03/20 19:51
『DAYS1 出会い』
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
『週刊少年マガジン』で大人気連載中の青春サッカーマンガ
青い鳥文庫でノベライズ版がスタート
運動が苦手、弱気でパシリをさせられてきた柄本(つかもと)つくし
サッカーに天賦の才を持ち自由な生き方をしてきた金髪の風間陣
運命的な出会いをした2人がサッカー名門高校で繰り広げる青春物語
黒魔女さん、セオの石崎洋司がしっかりした文体でマンガの世界を表現
カバー、挿絵は安田剛士本人が担当、すべて書き下ろしとのこと
本書はコミック2巻12話分、公式戦のメンバー選出まで

伝えることから始めよう
2017/01/30 20:54
『伝えることから始めよう』
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
年商2億7千万円だった会社が25年で1500億円以上に
その秘密は...
商品の本当の魅力を「伝える」だけでなく「伝わる」ようにする
長期的なビジョンや目標を持ったことは一度もない
毎日、その日できることを、300%注ぎ込んで一生懸命にやる
企業にとって一番大切なのはミッション「人を幸せにする」こと
ジャパネットたかた創業者の半生と引退前の1年間に社員伝えたこと

日本会議の正体
2017/01/14 20:05
『日本会議の正体』
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
緻密な取材、インタビューを積みあげて「日本会議」の正体を明らかにし
いまの日本の政治や社会状況の問題点を捉えなおす
実態は「宗教右派団体」に近い政治集団
通奏低音のように流れているのは戦前体制への回帰願望
戦後日本の民主主義体制を死滅に追い込みかねない悪性ウィルス
反骨のジャーナリストによるコンパクトな労作

すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法
2016/09/30 20:44
『すぐやる!』
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「すぐやらない」原因は「性格」でも「やる気」でもなく
脳が「すぐやる」モードになっていないからだった
「やるべきことにすぐに取りかかる」にはどうすればよいか
じっさいの医療現場で効果のあった「脳のしくみ」に沿った方法を
リハビリの専門家で作業療法士の著者が8つの切り口で紹介する
「すぐやらない人」が「すぐやる人」に変わる
劇的な体験を、あなたも!

フツーの校長、市長に直訴! ガッツせんべいの人権教育論
2022/05/30 19:21
『フツーの校長、市長に直訴 ガッツせんべいの人権教育論』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2021年4月、松井一郎大阪市長が小学校に導入したコロナ対策に「提言書」というかたちで異議を申し立てた小学校長による“人権教育論”
1、2時間目は家庭学習、3時間目に登校して4時間目は授業、給食後に下校して午後はまた2時間の家庭学習──現場の状況とかけ離れた対策の無謀さ、無意味さと、思いあまって提言書を出すに至った経緯を淡々とつづる
センセーショナルに書きたてることなく、落ち着いた筆致で事実と思いを語る文章に、かえって市長と市教委の理不尽さが浮きぼりになる
「提言書」にかかわる部分を1、2章とすると(章番号なし)、本書の真骨頂は3章、4章にある
「ぼくが歩んできた道 教員生活を振り返って」
「今、改めて『教育とは何か』を問う」
1961年、枚方に生まれた著者が教員を志した理由、教壇に立ってからの奮闘と葛藤、人権教育担当として現場を離れた経験、管理職試験を受け校長として学校運営に携わった喜びと苦労、そして定年退職……
・なぞなぞ「パラダイス」ってなに?
・くまのプーさんは「何もしていない」をしている
・理想は、世界一平凡な学校
平和憲法をたいせつにし、常に批判的(クリティカル)に物事を見て、なによりも子どもを第一に考える立場から語られる教育論は、閉塞した学校に力を与えてくれる
教職をめざす学生、日々の授業に悩む若い先生、板挟みになって苦しんでいる管理職、教育政策・教育行政に危機感をもつ人──多くの人に読んでほしい、読後、付箋だらけになる教育書、2022年4月刊
《やっぱり教師はいい仕事だ、文部官僚よりずっといい》──前川喜平
「かまいたち」の濱家を5、6年生で担任したというエピソードも

批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く
2021/11/06 21:18
『批評の教室』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
フェミニズムの論客が「批評」の極意を明かした批評入門
第一段階「精読」
第二段階「分析」
第三段階「アウトプット」
作品を楽しく掘り下げたい、作品について他の人と考えを共有したいという人が、自分なりの視点で分析した明確な文章が書けるようになるために
《批評を書く時の覚悟として大事なのは、人に好かれたいという気持ちを捨てることです。》
副題は「チョウのように読み、ハチのように書く」
プロローグでは、副題に利用したモハメド・アリのキャッチフレーズを「批評」してみせる
必要なのはセンスではなく調査力と注意深さ
批評の第一歩を踏み出す初心者に、他人の批評の穴を見つけたい人に
ちくま新書らしい濃厚な一冊、2021年9月刊

英語独習法
2021/07/13 19:44
『英語独習法』
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
“認知のしくみ”にもとづく合理的な“英語学習法”とは
カギは「スキーマ」という認知科学の概念
主に「仕事の場でアウトプットできるレベル、すなわち自分の考えを的確・効果的に表現し、相手に伝えられるレベル」をめざす人に向けて、英語の効果的な学習法を解説する
・リスニングに時間を使うより、まず語彙を強化することと、その分野の記事や論文を読んで、その分野のスキーマを身につけることに時間を使ったほうがよい。
・自然な英語を書くには、日本語の名詞のことを忘れて、文全体で何を伝えたいのかを考えることがとても重要なのである。そのとき、まず動詞を考えるべきである。
・語彙がないうちからやみくもにスピーキング練習をしてもあまり意味がないのである。[中略]最初から同じ時間をかけて4技能を学習することがよいわけではないのだ。
・ライティングが自由にできるようになれば、スピーキングは短期間の集中的な練習で上達する。
・日本語を学習言語とする学校で学ぶ場合、日本語の基盤がしっかりしていないと学力は育たない。[中略]幼児期に他の子どもに先んじて少しの英会話ができるより、成人になってから、英語をプロフェッショナルレベルにまで極めていける術を身につけたほうが、最終的には絶対に有利なのである。
語彙を増やすための熟読法と映画の「熟見」法、オンラインツールを活用する方法など、「英語ができるようになりたい」と漠然と考えている人に明確な指針を与えてくれる
楽してではなく
合理的に
楽しみながら
英語の達人になろう
──帯の紹介文
発売してすぐに増刷
小さいうちから子どもに英語を学ばせたいという世の親にも一読をすすめたい
著者は慶應義塾大学教授
専攻は認知科学、言語心理学、発達心理学
ことばと教育に携わる人には下記の著書もおすすめ
『ことばと思考』(岩波新書)
『学びとは何か──〈探究人〉になるために』(岩波新書)
『ことばの発達の謎を解く』(ちくまブリマー新書)
『親子で育てる ことば力と思考力』(筑摩書房)

文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術
2021/04/26 22:07
『文部科学省』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
文部省と科学技術庁が統合して2001年に発足した“三流官庁”文部科学省
その特徴を「内弁慶の外地蔵」という二面性であると捉え、各種研究・データに基づき描き出す
・霞が関最小の定員
・キャリアとノンキャリアのキャリアパス
・減り続ける予算
・ゆとり教育の失敗と教員の多忙化
・頓挫した大学入試改革
統合により変容した教育政策、学術政策、科学技術政策を見れば、文科省は旧文部省の延長線上にはなく、まったく異なる組織となっており、弱体化した文科省を「間接統治」により官邸と経産省が支配するようになっている
著者は教育行政学を専門とする研究者
国立教育政策研究所在職中に身近で観察できたアドバンテージをもとに、文科省20年の歴史と現在を解説する
センセーショナルな暴露本ではなく、冷静な筆致で実態に迫った骨太の労作

自粛バカ リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋
2020/08/24 19:23
『自粛バカ』
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
新型コロナウイルスのパンデミックで炙り出された日本人の本性を喝破する
・安心と安全は別物なのに、日本人は安心で動いてしまう
・あまりにひどい出来事が起きると、日本人は「自然現象だから」とあきらめてしまう
・確固たる考えがないやつがマジョリティにつき、マイノリティを攻撃している
・人為的地球温暖化は根拠に乏しいお話だが、信じて疑わない人は驚くほど多い
・健康診断は意味がなく完全に医療利権となっているが、健康を持ち出されると簡単にコントロールされてしまう
歯に衣着せぬ物言いで政治家からネトウヨまでをこきおろす刺激的な一冊
副題は「リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋」
著者は生物学者、早稲田大学名誉教授
「ホンマでっか!? TV」にレギュラー出演する一方、Twitterやメールマガジンで「言ってはいけない本当のこと」を精力的に発信している

自己肯定感で子どもが伸びる 12歳までの心と脳の育て方
2020/03/20 21:04
『自己肯定感で子どもが伸びる 12歳までの心と脳の育て方』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「自分を表現するときに、自分の長所よりも短所ばかりを挙げる」
「自分の考えを堂々と主張することができない」
「自己肯定感」の低い日本の子どもたち、学生たちに危機感をおぼえ、脳の発達と「自己肯定感」を育む子育てとを関連づけて論述した子育て本
《「自己肯定感」を育てるために、まず大事なのは、子どもの話に耳を傾けること》──第5章
第6章、第7章では日常よくある場面がとりあげられる
・子どもがいたずらをしたとき
・子どもがうそをついたとき
・「自信がない、恥ずかしい」と言って固まるとき
・「学校に行きたくない」と言うとき
・毎朝「早くしなさい!」とイライラする
・指示したとおりにやらない、言うことをきかないとき
・子どもが勉強しないとき……
紹介される対応のヒントは、子育てに悩む親をはじめ、教師、保育士、保健師、心理士など、子どもにかかわる人たちの心強い味方になる
著者は小児科医、小児精神科医で現職は青山学院大学教育人間科学部教授
2009年に出版した『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』(光文社新書)が話題になる

めんどくさがりなきみのための文章教室
2020/03/15 19:39
『めんどくさがりなきみのための文章教室』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
子どもたちに絶大な人気を誇る児童書作家が贈る文章読本
文岡健(ふみおか たけし):作文が書けない中学2年生
マ・ダナイ:文章を書くのが得意な10万回くらい生きた猫
健の家に居候することになったダナイが、健に作文のヒントを与えながら文章を書けるようにしていく、という設定
トレーニング編として
・たった200字の日記を毎日書く
・書くことに気づくコツは「視る、聴く」、など
「うまい文章」をスラスラ書く方法として
・「目」と「耳」と「鼻」と「舌」と「肌」で書く!
・表現を豊かにするたとえは連想ゲームで、など
子どもの世界をよく知るはやみねならではのネタと小ネタと遊び心
健とダナイのコントのようなやりとりを、ふんだんなイラストと横書きレイアウトで読みやすく編集
《直木賞作家 朝井リョウ氏 推薦》
朝井リョウははやみねかおるの大ファンで、「名探偵 夢水清志郎」シリーズを読んで育った世代
《はやみねさんの本を読み、文章を書くことが大好きになりました。》──朝井リョウ
本書を読めば、あなたもいつか小説家!?
ちなみに、主人公の「文岡健」を読み替えると……

伸びる子どもは○○がすごい
2019/11/06 20:37
『伸びる子どもは○○がすごい』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
・注意をするとひどく落ち込む
・注意にムッとして反発する
・我慢ができずすぐにあきらめる
・周囲の状況におかまいなしに有給を申請する
・ひとつの指示から仕事の流れが想像できない
こういう若者が職場に増えてきた原因は子ども時代の育ち方にある
想像力が豊かで心の折れない子を育てるにはどうしたらよいか
学力や仕事力に大きく影響する非認知能力を高めるにはどうしたらよいか
○○とは何か、は本書で
《今流行りの子育て法や教育法をむやみに信奉しない方がよいということは改めて強調しておきたい。》
著者は心理学者、MP人間科学研究所代表
「ほめる子育て」に一石を投じて話題になった『ほめると子どもはダメになる』(新潮新書)など著書多数

5Gビジネス
2019/07/15 20:25
『5Gビジネス』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「スマホが速くなる」「映画が数秒でダウンロードでる」などの変化がもたらされると喧伝されている「5G」(ファイブジー、第5世代移動通信システム)
本書では
5Gとは何か
5Gによって生活やビジネスがどう変わるのか
技術や通信ビジネスにくわしくない人にもわかりやすく解説する
本書の肝を要約すると、キーワードは「センターB」
《5G環境の構築と5Gサービスの創出の好循環を実現するためには、B2B2Xの成功モデルを早期に構築することが必要です。》
《4Gから5Gへの革新において、最も重要な変化は技術よりもむしろ、ビジネスモデルにあるといえます。》
《5G時代にビジネスモデルをB2B2Xに転換するということは、これまで主役であった通信事業者が裏方にまわり、センターB事業者が通信の主役になるということで、これは革命的なことです。》
《5G時代の主役はセンターB事業者です。》
《5Gによる変革を受動的に待つのではなく、能動的に5Gを活用しようとするセンターB事業者が、新たな時代の勝者となるでしょう。》
そしてB2B2Xで期待される大きな有望なテーマは「自動運転」
そのココロは、本書にて

コヘレトの言葉を読もう 「生きよ」と呼びかける書
2019/04/27 19:35
『コヘレトの言葉を読もう』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
《空の空、空の空、いっさいは空である。》
で知られる旧約聖書「コヘレトの言葉」(「伝道の書」)
懐疑的、虚無的という「コヘレトの言葉」の伝統的な解釈を、「ダニエル書」に代表される黙示思想と対比して新たな視点で読み解いたコンパクトな解説書
《コヘレトは生きることにこだわります。今、生きている時を全力で生きよ。「コヘレトの言葉」が指し示す生き方は、今日、なお光を放ちます。》
『信徒の友』2017年4月号~2018年3月号の連載をまとめたもの
愛する妻と共に人生を見つめよ
空である人生のすべての日々を。(コヘレト9・9)聖書協会訳
愛唱聖句の有力候補

へいわとせんそう
2019/04/16 22:05
『へいわとせんそう』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
へいわのぼく・せんそうのぼく
へいわのどうぐ・せんそうのどうぐ
へいわのぎょうれつ・せんそうのぎょうれつ
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見開きの左右に対照して配置される白黒のシンプルな線描のイラスト
同じ人・もの・ことを比べると、平和と戦争の違いが見えてくる
後半の「へいわのよる・せんそうのよる」のページに圧倒され
「みかたのあかちゃん・てきのあかちゃん」のページにうならされる
詩人谷川俊太郎とイラストレーターNoritakeのコラボ作品
子どもから大人まで手にしてほしい“これまでになかった平和絵本”