サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. レビュー
  3. イッペイさんのレビュー一覧

イッペイさんのレビュー一覧

投稿者:イッペイ

20 件中 16 件~ 20 件を表示

紙の本従軍慰安婦

2006/01/19 06:44

性産業と軍隊の癒着

10人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

従軍慰安婦が性奴隷、セックススレイブ、と呼ばれることがある。しかし、本書を読んでこの認識が間違っていたことがわかる。
なぜなら従軍慰安婦は過酷な搾取を受けていた性労働者だったのである。従軍慰安婦の募集と並行して業者の募集も行われていたという。軍はセックスビジネスのノウハウも必要としていたのである。
従軍慰安婦を拘束するやり方は過大な前借金を利用する方法だったという。性労働者を縛り付ける方法は過去も現在も変わらない。戦時も平時も変わらない。
従軍慰安婦は軍に同行していたわけだが、銃弾が飛び交う中を現金の代わりに渡された紙の軍票をつめたリュックを背負って逃げ惑う様子が描かれている。リアルである。
軍票はただの紙切れになった。また奨励された貯金は未払いに終わった。外国人であるがゆえに。インフレで目減りしたとはいえ日本人の貯金は払い戻されたにもかかわらず。
産軍複合体という言葉がある。この言葉は軍幹部と産業の共同利害構造を端的に表現している。慰安施設はこうした軍とビジネスの癒着の典型であろう。
軍の予算はすべて国民の税金である。慰安所の利用に際して払うお金は兵士の給料の一部。施設の建設、業者への支払いは軍の幹部が管理している。
業者は軍から受け取った金から慰安婦に支払う。さて、最終的に慰安婦に渡るお金はいかほどか。
慰安婦たちは二重に搾取されていた。本書を読んでのぼくの感想である。性的に。そして金銭的に。
戦争というビジネスでは兵器ビジネスが最大のものであろう。しかし慰安所もまたビジネスであり軍幹部と性ビジネス業者の利権であった。
慰安婦たちは戦争という醜いビジネスの被害者であった。このビジネスは国民の税金を使ってなされたのである。このビジネスの結果に対してわれわれ国民は相応の結果責任をとるべきことは当然であろう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

燃料電池車を展望するハイブリッドという戦略思考。未来カー創造に向けた技術者たちの闘いぶりをいきいきと描く。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2003年9月、通常のガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせた画期的な「ハイブリッド車」である初代プリウス誕生から6年、未来カー・二代目の新型プリウスが誕生した。本書では新型プリウス誕生に貢献した技術者たちがひとりひとり実名で登場し、その闘いぶりがそれぞれの課題に即して語られる。

この未来カーのチーフエンジニアである井上雅央が任命されたのが、2002年4月というのだから、新車発売に先立つこと1年半を切っているという事実。現代の新車開発に要求されるスピードに驚かされる。しかも、なみいるエリートエンジニアをさしおいて42歳という、チーフエンジニアとしては異例の若さの起用である。

開発課題は、ずばりプリウスが普通の車として市場で闘えることである。車として必要な「走り」が基本であること、製造ラインも初期の手作り型から通常のラインにのせることによる「収益性の確保」が求められていることは言うまでもない。

ここで見逃せないのは、若きチーフエンジニアが自ら語る戦略思考である。評者自身、つい最近までハイブリッドは本格的な電気モーター車に移行するまでの中継ぎ的な位置にある技術と理解していた。しかし、これが間違いなのである。

トヨタが構想する燃料電池車は、燃料電池だけで走るわけではない。各種バッテリーと組み合わせたまさに「ハイブリッドな構造」として構想されているのである。新型プリウスはこうした未来の構造を先取りしたものなのである。

少なくとも、現時点においては初期の段階から燃料電池車の技術を先導してきたメルセデスなどの燃料電池一辺倒のコンセプトよりも、トヨタのハイブリッドなコンセプトがよりユーザーの要求に合致した開発戦略として評価されているのである。

新車開発の物語の中に、新しいエネルギー革命の息吹きを評者は垣間みたのである。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

アメリカはイラクで勝つことはできない。イラクへの自衛隊派遣という約束を破ることは日本の国益に大いにかなっている。正気を失った日本の「保護者」にこれ以上従う必要はない。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は小泉さんが自衛隊のイラク派遣の「基本計画」を決定した矢先の緊急出版である。20世紀の経験がわれわれに教えているのは戦争を仕掛けることの愚かさである。現ブッシュ政権はこのことを全く理解していないと著者は言う。

評者もおもうのだが、そもそも9月11日以降、アメリカは誤りに誤りを重ねてきたのである。なぜなら世界貿易センターの崩壊はこれまでの形の軍事力信仰では米国市民を守りきれないことを教えたのだから。軍事力信仰を反省し大胆な平和外交に転換すべきなのに、逆に「軍事力の神話」にすがり続けているのがアメリカを指導している現ブッシュ政権なのだ。

著者の ウォルフレンはうまいことを言っている。大国がその力を本当に維持するためには、その力を実際に使ってはいけないというのである。いじめっ子のように力を振り回し、あまつさえその限界を露呈してしまっては、その尊厳を失ってしまうのである。

あまりにも大きな政治的な誤りは悲劇的だ。ブッシュ政権がイラクに留まる道を選んでも、この泥沼から逃げ出す道を選んでも、いずれにしても、イラクの混乱と中東地域のさらなる不安定化という悲惨な事態に立ち至ると著者は予測する。

特に、著者は外交政策に関してアメリカのマインドコントロールにかかったままの日本の現状を憂慮しているのである。イラクに自衛隊を送ることで、北朝鮮問題での見返りを期待する日本政府の甘さも指摘している。

ウォルフレンは既に『ブッシュ/世界を壊した権力の真実』で現ブッシュ政権の無知が世界を混乱に陥れると警告している。日本の自衛隊派遣はこうした世界の混乱に拍車をかけるものであり、平和国家日本の選択としては完全に間違ったものなのである。

憲法問題についての著者の見解は議論のあるところだが、アメリカから独立することで、日本は世界の信頼を得ることができるという著者の見解を今こそ傾聴すべきであろう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本中国は日本を併合する

2006/08/14 18:24

アジア人同士戦うべからず。中国は狡猾かもしれないけれど、白人たちの狡猾さは数段も上である。経験も豊富。実力(ゼニ、武力、情報)も備えている。白人たちの挑発に乗ってアジアの人びとに銃を向けてはならない。

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

いま日本は既に米国に併合されているとの認識に立てば、将来中国が日本を併合するということは、米国が中国との取り引きの結果として日本を捨てる日が来るということか?
ぼくが本を読むのは著者の主張に共感するから、とは限らない。著者の立論の仕方、また裏づけデータも大いに興味のあるところである。意見の異なる人から(こそ)学びたいと思うからである。
本書は題名から想像されるような無責任なアジテーションの書ではない。データにもとづいて建国初期の核開発から近年の海洋進出にまでいたる中国の軍事戦略とその展開を歴史的に跡づけている。
米国はもちろん当時のソ連が中国の核開発を阻止するために猛烈な恫喝(どうかつ)を加えていた。毛沢東は核開発戦略と人民戦争戦略を巧みに使い分けてこれをはねかえす。軍事リアリストならではの迫力ある記述である。
中国の軍事戦略は単に軍事一辺倒なのではなく、政治経済とも一体化した先見性のあるものだと著者は言う。文化大革命の十年を「空白の十年」とよぶのは大間違いで、国際社会への復帰をも果たした「実りある十年」だと。
人民戦争は前近代的、貧乏国に何ができると中国を見くびったツケが今回ってきていると著者は言う。中国脅威論の台頭である。軽視もいけないけれど、過剰反応もまたいけない。
中国の軍事力の弱点は何か。兵器システムのロシアへの依存とリスクはどうなっているのか。エシュロンをはじめとする圧倒的な諜報システムを掌握している米国への依存とリスクはどうなっているのだろう。本書では触れていない。
かつて米国大統領ニクソンの電撃的大陸訪問、国民党(台湾)から共産党(北京)への乗り換えは日本政府の頭越しに行われた。併合とまではいかなくとも、中国の日本に対する影響力の行使は現代の超大国米国の了解無しにはあり得ない。
ある元外務官僚は2005年に多発した反日デモは米中合作による舞台回しだと指摘している。アジアにおける日本の影響力の拡大阻止という一点で米中の利害は一致しているというのだ。そう,国際政治はしたたかなゼニカンジョウで動いているのだ。同じカンジョウでも感情で動いているのではない。勘定で動いているのだ。
さて、本書にもどろう。中国は日本を併合する。帝国の国家意志の分析としてはそんなに間違ってはいない。併合といってもやり方はいろいろあるだろう。いずれにせよ、こちらは未来の話。主語を入れ替えると、日本は中国を併合する。こちらは既に歴史になっている。満州国を建国し、南京政府まで樹立している。日本は韓国を併合する。36年の歴史がある。日本はアジアを併合する。これは大東亜戦争そのものだ。戦争の惨禍。大日本帝国の無残な結末は周知の通り。
白人たちの帝国主義諸国の仲間入りを果たそうと、黄色い白人としてアジアの人たちに銃を向けたのが大日本帝国であった。その上行き詰まり、挙げ句の果てに白人たち(米英)と戦う羽目となり自滅した。白人たちから見れば計算通り、見事にはめられたわけである。
アジア人同士戦うべからず。中国は狡猾かもしれないけれど、白人たちの狡猾さは数段も上である。経験も豊富。実力(ゼニ、武力、情報)も備えている。白人たちの挑発に乗ってアジアの人びとに銃を向けてはならない。
同じ敗戦国でありながらドイツは30年以上も前に、冷戦下でまだ西ドイツの時代に東方外交と称してソ連やポーランドとの敗戦処理を済ませている。今やヨーロッパ連合の主役として揺るぎない地位を確立している。
日本は未だドイツのような担保を手にしていない。本書の著者も指摘しているのだが、世界トップクラスの日本の経済力と科学技術の力をアジアの人びとのために有効に活用すべきであろう。狡猾であることは悪いことではない。米国に半ば併合された状態にありながらも、相対的自立の道を進み、将来に備えるべきであろう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本中国の宿命

2006/02/05 21:38

「統一」は中国人を呪縛する謎の思想−台湾人から見た中国像

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中国と呼ばれる国、またそこに生活する人びとの考え方や行動の仕方は古来より変わっていないと著者は主張する。それらは世界にとって、とりわけ隣国である日本にとって非常に危険なものだという。
全体として情に流されていると思われる表現が本書には目立つ。しかし、著者は自らを台湾人と規定している。台湾の人びとがおかれた大陸中国との緊張関係を考えると著者の情にも肯ける部分がある。台湾に対する武力解放を排除しないと中国政府は常々公言してはばからない。
台湾人から見たとき、最も危険なのは統一は無条件に善とする古来からの中国の思想である。この思想には残念ながら日本の知識人も相当に毒されている、と著者は嘆くのである。統一という思想はまさに帝国の武力支配の思想である。統一ではなく、地方の自立のほうが人びとを幸せにするのだ、いや幸せにしてきたと著者は言う。
統一という思想の批判は日本人にとっては耳の痛い話である。著者は全く触れていないけれど。大東亜戦争を戦った日本帝国は樺太、朝鮮、満州、そして南方の各地を支配して神社までも作り、統一という思想を鋭意追求していた。そして崩壊の憂き目を見たのである。
中国と呼ばれる国の危険性を認めた上で、帝国には帝国の論理を対置したのでは問題の解決にはならない。むしろ、政治的、経済的、そして文化的にも、過熱する中国を賢く軟着陸させるために知恵を結集すべきときであろう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

20 件中 16 件~ 20 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。