花梨さんのレビュー一覧
投稿者:花梨
紙の本ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事 (Mag comics)
2001/09/26 12:02
天才的明朗活劇
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戦前のマンガが復刻されたかのような錯覚を起こすレトロな画風に、凝りに凝った映画的なアングルが素晴らしい。天才、高野文子による初の長編作品。読み終わって幸せな気分になれること請け合いです。
紙の本風の谷のナウシカ(アニメージュコミックスワイド判) 7巻セット
2001/07/31 12:18
傑作
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アニメ映画でも知られる宮崎駿、畢生の大作。人間と自然、科学と生態系、差別と権力闘争など、多面的に展開される思弁的なSFファンタジーの傑作。
紙の本地獄の季節 改版
2001/06/23 13:46
ポケットに入れて持ち歩きたい
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フランス文学にも詩にも詳しくないけれど、ランボーは気になる。とても美しいフレーズがたくさんあって、ポケットに入れて持ち歩きたくなる。映画でレオナルド・ディカプリオが演じていたけど、夭折というのもロマンティックだ。晩年は詩に興味を失い、賛美者をすべて跳ね除けたという。こんなミーハーな読者は相手にされないだろう。でも良いものは良いということはわかる。これは素晴らしい本だ。
2001/09/17 15:41
カリスマ誕生
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「CURE」「回路」などで国際的に注目されるようになった「第二のクロサワ」こと、黒沢清監督の初エッセイ集。デビュー前からの映画評論を多数収録。本作完成後、Vシネマの大量生産によって新境地を開くことになるのですが、映画に対するナイーヴとも取れる愛情や、屈折した達観など、さまざまな感情が感じ取れます。
2001/08/24 18:14
基礎教養
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マンガのパロディ、同人誌の二次創作、マンガ評論など、作品の引用について考えなくてはならない状況が多々あります。本書は、いしかわじゅん、夏目房之介、とり・みき、高河ゆん、と言った作家たちや、弁護士による、著作権をめぐるシンポジウムを採録したもので、この問題に関する基礎的な知識を得ることができるでしょう。
紙の本十二世紀のアニメーション 国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの
2001/08/24 11:57
画期的な研究
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絵巻物をモンタージュ理論から読み解く試みは、すでに絵本作家の長谷川集平氏が試みていますが、本書はアニメ演出の第一人者である著者が、豊富な事例を元に精密な分析を行い、いかに当時の作家が静止した画面の中で動きを表現しようとしていたかを解き明かしていきます。
2001/08/24 10:39
充実
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『新世紀エヴァンゲリオン』を中心にした画集です。CG導入前の作品も多く、非常に見ごたえがあります。作者解説も興味深いです。
紙の本新編美女と犯罪
2001/08/12 19:48
伝説
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伝説の名評論集が、その後「ミステリマガジン」に掲載された「Part2」も含めて、大幅に増補改定されて再刊されました。この人にしか書けない愛情にあふれる評論を心ゆくまで楽しみましょう。
紙の本ノミ、サーカスへゆく
2001/08/02 18:37
待望
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これまで、出ていなかったのがおかしい、金井姉妹による豪華な絵本。残酷でノスタルジックで可愛らしくてクールで暖かくて魅惑的でユーモラスで幻惑的な、要するにすばらしいとしか言い様のない世界がここに閉じ込められています。
紙の本こんちりさんのりやく
2001/07/31 17:44
キリスト教の理解のために
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江戸時代、キリスト教禁教のなか、口伝や筆写によって弾圧を乗り越え守り伝えられた教義を、クリスチャンである絵本作家が丁寧に現代語訳し、懇切な解説をつけました。小さな本ですが読みごたえ十分です。
2001/07/11 20:05
センスのよい本
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マンガ家のイラストアンドエッセイ集です。堅苦しい議論はなし、女性映画ライターにありがちな、ひがみっぽい悪口もミーハーな賛辞もなし。センスのよい友人の話を聴くような感覚で楽しめます。
紙の本ヘルボーイ 1 滅びの右手 (小プロ・ワールドコミックス)
2001/07/01 20:18
陰影と愛嬌
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悪魔の子供(?)らしいヒーロー、へルボーイが活躍するシリーズ。独特の陰影のある画面作りがすばらしく、一齣一齣が、優れたイラストレーションとして成立しています。お話も面白く、無骨だが世話好きでユーモアのセンスのある主人公がとても魅力的で、外国のコミックを読み慣れていない日本の読者にもお勧めできます。
2001/07/01 20:08
懐かしい味
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銀河の彼方から地球を征服するためにやってきたカエル型宇宙人、こころならずもふつうの家庭に居候するはめになる。登場人物の立て方といい、藤子不二雄を彷佛とさせる懐かしい味のするマンガですが、「機動戦士ガンダム」のパロディなどマニアックな隠し味もあります。
紙の本山寺宏一のだから声優やめられない! 声優・山寺宏一と30人の声の役者たち
2001/06/23 13:14
ミーハーに読める真剣な言葉
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TVの子供番組やドラマなど「顔出し」の機会も増えている山ちゃんが、声優雑誌に連載していた対談企画が単行本化されました。そこで、先輩や同輩たちと語っているのは、まず声優という以前に、俳優として社会人としての、苦労だったり、喜びだったりなのです。もちろん、声優という特殊な技量を要求される仕事へについてのさまざまなエピソードもあって興味津々な内容になっています。芸を極めるってとても大変なことだと、改めてわかりました。
2001/06/23 13:00
楽しい科学
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「利己的な遺伝子」や「ブラインド・ウォッチメイカー」など、遺伝子に関する研究で知られるドーキンス先生が、科学の楽しさを教えてくれます。
タイトルは、ある詩人が虹の構成を分析したことについて、科学者を夢が壊れると非難したエピソードに基づいています。もちろん、先生は、それがいかに間違った考え方であるか、科学には科学の想像を書き立てる力があることを、力を込めて説明してくれます。そして、世間にあふれるエセ科学には、そうした魅力がないと遠慮なく叩きます。単に間違っているとか言うよりよっぽど説得力あります。難しい本ですけど、読む価値のある本です。