花梨さんのレビュー一覧
投稿者:花梨
紙の本虚航船団
2001/06/30 20:30
異常
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作者が、およそ6年、他の仕事をほとんど断って取り組んだという「純文学書き下ろし特別作品」シリーズの一冊。文房具たちが登場する第一部、ある惑星の歴史がつづられる第二部。両者で戦闘が起こる第3部と、いずれも異常な内容で、それを乾いた淡々とした文体で展開するものだから、読んでいるこちらの頭がおかしくなってきます。傑作だと思いますが、あまり人にはお勧めできません。覚悟のある人だけ是非。
紙の本翻訳はいかにすべきか
2001/07/06 13:03
戦闘的
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「フィネガンス・ウェイク」や「ユリシーズ」などの翻訳や、軽妙なエッセイで知られる著者が、堅い題名の本を出しました。内容も実に本格的で、さまざまな本訳書への具体的な批判、著者への反論への再反論なども含みつつ、翻訳はいかにすべきかを高らかに宣言しています。
紙の本クリント・イーストウッド
2001/06/28 12:50
内輪受け
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イーストウッドは、多くの大衆に支持されてきた映画人ですが、同時にフランスの批評家からアーティスティックに持ち上げられている人でもあります。ここに収められた座談会やエッセイの発言者たちは、イーストウッド自身よりも、彼の作品から何を受け止めたのか、非常に難解で観念的なお話をするのが好きなようです。
紙の本花右京メイド隊 1
2001/06/23 14:23
意外と清潔
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TVアニメ化されて、人気急上昇中のマンガです。母親に先立たれた太郎君、会ったことのない祖父の元をたずねると、待っていたのはウンカのごときメイドさんの群れ。家督を譲られた太郎君は、可愛い女の子に囲まれ嬉し恥ずかし共同生活。男の子の夢をそのまま絵にしたような話ですが、絵柄にもお話にも、オタクっぽい癖がむしろ少なく、清潔な感じがします。他愛無いマンガですが憎めません。
2001/11/20 18:27
フェミニズムSF
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SF漫画の大家による連作「コンプレックスシップ」シリーズの一作。敬虔な修道女たちが、信仰ために娼婦もかねる「バビロンまで何マイル?」が秀作。
紙の本翻訳という仕事
2001/09/25 19:56
文章読本
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ミステリー翻訳の第一人者による翻訳をめぐるエッセイ集。良い翻訳とは、語学力もさることながら、文章の内容を理解すること、すぐれた日本語を書くことだということが、よく解ります。
2001/08/29 17:13
必須
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首都圏の主だった劇場の地図や席配置を収めた一冊。コンサートや舞台に通いつめている身としては、本当に重宝している一冊。
紙の本ノーストリリア
2001/07/31 18:43
残酷な詩編
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SFというマニアックなジャンルの中でもさらにマニアック受けするカルト作家の唯一残した長篇です。と言っても、決して難しくない。きらびやかなイメージの洪水と、二転三転するストーリー、魅力的なキャラクターに引っ張られて最後まで読まされてしまいます。しかし、後に残るのは、人間に対しての冷酷で厳しい視線です。
紙の本唐沢なをきのうらごし劇場
2001/07/19 12:50
オタクによるオタクのための
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マニアックな作風で知られる著者による、アニメ、特撮、時代劇をめぐるエッセイ集。一応、一見さんにも判るような書き方を心がけてはいるのですが、書いている内容が内容だけに、素人には目のくらむような世界です。ディープにはまれる人は、是非。
紙の本アリーテ姫の冒険
2001/07/11 20:23
窮屈な作品
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王子様を待つお姫様という典型的な物語を逆転させた作品です。
そのためお話の展開は容易に読めてしまうし、作者の言いたいことも初めから見当のつく通り。批評としては鋭いですけれど、単純にお話を楽しむという風に読めないのが窮屈。
紙の本東京ミュウミュウ 1
2001/07/11 19:47
大きなお友達向け
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「カードキャプターさくら」がマニア層に大うけしたのに気を良くしてか、なかよしの次なる新作は、猫耳つけてメイド服という、いかにも狙ったような外見。お話は恋愛プラスバトル物という大定番で、極めつけ、正義のせりふは「お礼にたっぷりご奉仕するにゃん」と、ほとんど18歳未満お断り状態。敵に奉仕してどうするかね。子供が読んで大丈夫なんでしょうか。
2001/07/08 11:13
ベストセラー
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社会現象を巻き起こした大ベストセラーだそうです。数億年かかる地殻変動が数年で起こったら、という思考実験のもと、日本列島の壊滅をリアルな筆致で描いたパニック小説として、その迫力は減じてはいない様です。文化論、文明論としても読めますが、これらの点については、小松さんの他のSF作品に、さらに良いものがあると思います。
2001/07/07 21:10
人と社会の関係
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個人として生きること。社会の中の一人として責務を果たすこと。独立心を失わないこと。優しさを持つこと。そんな困難な事柄について、非常に明解にメッセージを送ってくる本です。寓話という形をとることで明解になること、絵に描くことで鮮明になることが、つまっています。
2001/07/07 20:59
貴重な話
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最近はそうでもないけど、インタビュー嫌いで知られるアレン監督が、全作品を回顧した貴重な本です。ビョークマンは「ラース・フォン・トリアー」も手掛けた評論家ですが、よくも悪くも生真面目で、もう少し柔らかい質問もすればいいのにと思ってしまいますが、アレンは気に入ったようで、自作について厳しく、あれは失敗作と簡単に言ってしまうところなど、かなり正直に心情を吐露しているようです。