二十三さんのレビュー一覧
投稿者:二十三
2001/08/25 18:26
ファンタジー風SF
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SFなんだけれどもなんかファンタジー風味がすると思ったら、トールキンの名作「ホビットの冒険」SF版であった。とは言っても別にホビットを読んでおく必要はない。けれどもあとでホビットを読むと、おおっ、ここはおんなじとか、楽しみは倍増する。主人公のノービットは決して冒険者ではないのだけれど、なぜか冒険にでてしまうという、引っ込み思案のお宅族にとって最高のシチュエーションではないかと思う。けっこうハラハラドキドキしましたね。トールキンファン(そういう人たちがいるのかどうか知りませんが)も納得するであろう一作。
紙の本大豪快。
2001/03/13 23:36
これは自宅でひっそりと読みましょう
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通勤電車の中で読んで、思わず吹き出してしまい、あわてて本を閉じて顔をひきしめました。これは家で子供のいないときとか、思いっきり笑っても大丈夫なときと場所を撰んで読まないと、人格を疑われてしまうのではないかと危惧する次第です。
紙の本トールキン小品集
2001/09/09 17:43
これはメルヘンです
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大人になっても、おめめがキラキラしてメルヘンなあなたにぴったりの珠玉の名品集です。表紙にはじまり、中の挿絵が雰囲気をより引き出しています。やっぱり昔のヨーロッパには山奥に竜が住んでいたんだと思わず納得してしまう語り口は満員の通勤電車の中で読んでいることを一瞬忘れさせてくれます。
紙の本抜目のない未亡人
2001/06/03 20:43
ルネッサンス時代の吉本新喜劇
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多少上品か、大阪の下町かの違いはあるものの、一人の女性をめぐって男たちがあの手、この手で言いより、最終的に女性が賢い選択をして、観客を安心させるという点で、ゴルドーニと吉本は合い通じるものがあると考えるのは強引であろうか。読んでいて、おっ、これは吉本やないかと思ったものである。もっとも、当時のヴェネチアと日本の違い、国際色豊かな都市となかなか国際的にならない日本では相手役の男性が国際的にならず、せいぜい色んな地方から来た男が方言をしゃべる程度にしか翻訳できないかもしれない。少しも古くささを感じさせない洒落た一品である。
紙の本ふりだしに戻る 上
2001/03/14 22:40
不思議なSF
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これはSFではない。主人公の心の旅であり、ちょっと日本の私小説的な雰囲気がある。添えられた写真がまた、いい。昔のニューヨークはよかった。行ったことはないけれど、ついそう思ってしまう。ちょっと甘酸っぱい香りを漂わせて、楽しく、それでいて、最後はどうなるのかと、はらはらしながら先をいそいで読んでしまった、そんな作品である。
紙の本鬼の探偵小説
2001/09/29 21:28
田中啓文の本格推理小説
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あの変態作家、田中啓文が本格推理小説に挑戦。構成、人物像などなどしっかりとした骨太の作品に仕上がっている。やればできるんだと納得させられる。と、思ったらやはり田中啓文は変態駄洒落作家だったのだ。しょーもない(つまらない、あるいはくだらない、とるにたらないの意)駄洒落を一発かますために手段を選ばず、とうとう本格推理小説を一冊分書き上げてしまうという暴挙に出たのである。なんと非道の作家であろうか。ここまでくると駄洒落の鬼とむしろ賞賛すべきなのだろうが、脱力感の方が強く、これ以上評することはできない。
紙の本サキ傑作選
2001/07/15 10:02
シニカルな落ち
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短編の面白さはオチにあるといっても過言ではないだろう。最後の一行で大どんでんがえしがあって、読むものをびっくりさせる。それがじつに辛辣なのである。いかにも英国人が好きそうな、香辛料のよくきいた話がつまっている。英国人の知り合いはいないが、なんとなくそうではないかと思う。中によく出てくるクローヴィス青年はとりわけサービス精神が旺盛で、いろいろとやってくれる。サキの翻訳はあまり出ていなので、希少な一冊といえよう。
紙の本新フォーチュン・クエスト 1−7 待っていたクエスト エピソード2
2001/07/01 17:46
今度のクエストは一味ちがうぞ
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前回のクエストで大富豪になったと思ったら、大貧民になってしまうという悲惨な事件があって、今回のクエストがある。あっ、言ってしまった。ま、これくらいなら大丈夫(何がじゃー)。で、そのクエストとは、レベル18のパーティでも解けなかったというものすごくハイレベルなもの。RPGだったら、トレーニング場で地道にレベルを上げてから行くことができるが、本作では、無謀にもレベル4(パステル)のまま出かけるという、若くなくてはとてもできないお話である。どうなるかって? わからん。はやく続きをだしてくれー。気になって眠れんぞ。
紙の本ゴルドーニ傑作喜劇集
2001/07/01 17:31
ルネッサンス時代の松竹新喜劇
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二つの作品が載っている。一つ目の「扇」はお嬢様がポトリと扇を落とすとどうなるかというお芝居である。それが、村中が大騒ぎになってしまう。事態はややこしくなるばかり、というお話。ふたつめの「コーヒー店」のマスターには今は亡き藤山寛美にやらせたい。当然、最後は「なにをゆうてまんねん。そんなことばっかししてたらあきまへんがな」と、お説教が始まる。これぞ松竹新喜劇の真骨頂、みたいな。両作品とも、人情は時代が違っても、お国がちがってもかわらないと共感するものである。
紙の本スノウ・クラッシュ 上
2001/06/20 10:39
ラップを聴きながら読もう
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サイバーパンク・ヒップホップ・ラップSF(自分で言っておきながら意味不明)の頂点とも言える作。とにかくスピードがあっていい。読んでいくと光景が目に浮かんでくる、視覚に訴える作品(因みに挿絵はない)。「バック・トゥー・ザ・フューチャー」で主人公がスケボーを乗り回すシーンがあったが(あったような気がする)、あんなもんじゃない。人の車にくっついてサーフィンするのである。よく怪我しないなあと感心する。舞台がアメリカということもあって、状況が自然でSFという感じがしない。今のアメリカはすでにそうだと言われたら納得しそう。世界観というか構成がきちっとできてるんだ、きっと。文章は軽いが、緻密な設計のもとに計算されたプロの作品。
紙の本妖魔をよぶ街 上
2001/06/03 20:57
新シリーズとなるか
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あのランドオーヴァーのテリー・ブルックスが現在の世界を舞台にファンタジーを描いた。これを読むと、そうか、アメリカでは今でも田舎の方では妖魔が出てこないように監視している人たちがいるんだという気になってしまう。なかなか大変な仕事(当然ボランティア)で、主人公のように若くて元気がよくないと勤まらない、ハードな仕事である。これはシリーズ化してほしいと思いつつも、難しいかなと、作者でもないのにあれこれ次の展開を考えてしまう、発展性のある作品である。
紙の本くたばれスネイクス!
2001/05/27 22:42
ほのぼのSF
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ホーカ・シリーズ第2弾である。第3弾、第4弾とでてほしいのだが、この巻で終わりとか。とにかく惑星トーカのホーカ人はかわゆいのである。それと、主人公、その妻、息子が昔のよき時代のアメリカの家族なのが、ホッとさせる。「パパはなんでも知っている」、「名犬ラッシー」、あの頃のアメリカのTVドラマは楽しかった。そういえば西部劇も流行っていたなあ。「ローハイド」、「コルト45」、「名犬リンチンチン」、なつかしーい。話を本作に戻して、今風に言えば癒し系SFと呼べるのではないと思う。心を和ませてくれる作品である。
2001/03/14 21:54
深沢美潮ワールドに新しいテーマパーク誕生か
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フォーチュンの深沢美潮がミステリーに挑戦。いやー、驚きました。主人公のキャラはかなりはっきりさせていますが、脇役の方はまだぼんやりとしています。これはシリーズ化を狙っているな。だから小出しにしているんだ。そう思わせるような、というか思わせぶりの展開です。これから先、主人公のご近所に次から次へと事件が起こるとなると、東山町内は日本でも有数の事件発生地区になるんじゃないか。はやく次回作が読みたーい、そんな第一作です。
紙の本壁抜け男
2001/05/27 23:10
哀愁のSF
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フランスはパリの人々の日常生活をこまやかに描いた作品。味付けはSFで、しかもそれがちっとも不自然でない。ごく当然のこととして受け入れられているのである。壁を通り抜けても誰も驚かない。主人公も控え目で、そんなに大それたことをするでなし、なぜか哀愁が漂っている。ここらへんがフランス風味なのであろう。静かな秋の日の夕暮れにでも読むとますます味わい深くなろうという一品である。
紙の本蒼白の城XXX
2001/08/25 18:49
もう許さんぞ田中啓文
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なんという無茶苦茶な話を作るのだ。ずぇったいに許さないぞ、田中啓文。いたいけな少年少女になんてことをするのじゃ。えっ、高校を卒業しているからいいんだって? そういう問題ではない。なんでこういうあぶない話をするのか理解できない。ならば問う。おぬしは何故にこのようなものを読むのかと。そ、それは…。ムハハハハ、嵌ったな。ホレ、こうしてくれるは。ククッ、無念なり。というわけで、自分もその気になってしまうからこころして読む必要あり。