miyagi ayaさんのレビュー一覧
投稿者：miyagi aya
紙の本征服されざる石の伝説
2001/05/25 13:23
大団円。
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広げた大風呂敷が上手く収まってめでたしめでたし、って感じでしょうか。初めの頃ののほほんとした雰囲気と比べるとだんだん設定が細かくなって過去に遡ったりして、「ちゃんと終われるの、これ？」と途中ちょっと不安だったのですが、お見事。
何より私はマーティンが幸せになってくれたことが嬉しくて。性格悪くて冷たい魔物のくせにいつの間にかアーサーとメアリのいる日常に執着していた彼が、救われていかにも人間くさい幸福を手に入れたことが嬉しかったです。もうほんとに、ストーリー云々の前にそれ。マーティンはアーサーのことがとても好きになったんだなぁ、というのがシリーズ後半はとてもよく伝わってきました。
終わり方も、この人達こうやってずっと幸せに暮らしていくのだろうな、と思えるもので私は満足でした。できればもっと日常や、学生時代の話を読みたかったです。
紙の本真夜中の相棒
2001/05/18 21:08
とてもとても切ないお話。
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元軍人のマックとジョニーは、ベトナム戦争から帰ってきてから殺しの仕事をして暮らしている。マックが殺しの計画を立て、少し知能に障害のあるジョニーは天使のような無垢な笑顔で完璧にそれを実行する。ジョニーはマックのことを親のように無条件に慕い、マックは彼のことを重荷に感じたりどうして自分達は一緒にいるんだ？なんて思ったりもしつつ、結局、その無垢な信頼をとても必要としている。
ある事件でミスをしたことからジョニーは警官を一人撃ち殺してしまい、そのため二人は死んだ警官の同僚であった若い刑事に追われることになる。その刑事、サイモンは最初は同僚の死への怒りに燃えているのだが、気づけば殺し屋、ジョニーをつかまえることだけに執着し、保護者的存在でもあるマックを邪魔に思うようになる。サイモンはついには自分の仕事すら放棄するほどジョニーにのめりこみ……という内容。
分類するとしたら、とても恋愛感情に近い友情のお話、かな。あらすじでお分かりのように、非常にメロドラマの基本を押さえているというか、アメリカにもこういう感性の作家っているのだな、と思った本です。最初から最後までとても完成されていてドラマティックです。そして最後は切ない…。ぜひオススメしたい小説です。
紙の本あふれそうなプール ６ （ＢｅＸｂｏｙ ｃｏｍｉｃｓ）
2001/10/21 23:06
完結。
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全くタイプの異なる木津と入谷。彼らは二人とも、子供ではないが大人でもない、そんな中途半端な自分にどこか居心地の悪さのようなものを感じ、はやく地に足をつけたい、自分という存在をはっきりした形で確立したいと焦っていた。恋愛を含む人間関係によってゆっくりと変わってきた彼らが高校卒業と同時に見つけた「自分」。大人になりきれない等身大の姿を受け入れた彼らはそれまでよりも確実に一回り成長していた。
正直いえばまだまだその後が気になるこのシリーズだが、どこか硬質な印象を残す鮮やかな完結編にとりあえず満足。番外編も読み応えアリ。
2001/10/14 23:36
不器用な恋。
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さして罪悪感もないままに司馬を裏切り、彼に去られて初めてその存在の大きさに戸惑う桐原。そしてある意味とても無防備な桐原の生き方に気づき、彼を放っておけないと思ってしまう司馬。再び抱き合うようになった二人は…。
ぎこちないながらにお互いの存在を大事なものとして意識し始めた司馬と桐原。不器用でプライドも高く、なかなか一筋縄ではいかない彼らの関係が、ようやく恋愛っぽくなってきた。最初の頃に比べるとその会話の内容などもずいぶん温かいものになってきてドキドキします。完結編に期待。
紙の本フェティッシュ
2001/10/14 23:27
甘い生活。
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「エゴイスト」の古谷と白井のその後と、白井の若い頃のお話など７編を収録したこの番外編。二人が出会った当初からは想像もつかないほど甘い雰囲気の日常を送っている二人が見られます。
しっとりと落ちついた文章は美しく、彼らの成長ぶりが嬉しい感じ。他の２冊を読み返したくなりました。
2001/10/14 15:36
すれ違う心が少しずつ近づいていく。
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学生時代からのライバル同士であり、互いに決して弱みを見せられない相手であったはずの司馬と桐原。桐原の弱みを目の当たりにした司馬は彼を出抜こうと考える反面その脆さが気にかかるようになってくる。
ギリギリの線で仕事をしながら決して愛情のみではない様々な感情に揺れる司馬と、根本的に人間としての感情が欠落している桐原。彼らの不安定な関係が今後どうなるのかとても続きが気になります。
2001/10/14 15:29
短編集。
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短編集です。高校生同士の恋愛ものと、会社員とレンタル屋さんでアルバイトしている学生のお話、マフィアのお話、どれもほのぼのしてカワイイ雰囲気ですがその他に一作だけ異色な「契約」というお話が混ざっていて、おそらく読み手によって好みは分かれるところながら面白かったです。読後のダークな余韻が上手い！
2001/10/14 15:17
もしかして…天然？
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紳士服の老舗ブランド、ヴェルヌの販売員である薫の職場にはおそろしくキレイなマネキンが一体ある。そのマネキンのディスプレイを任された薫だが、気づけば「彼」は人間になっていた…。
魔法でマネキンに変えられちゃった王子様と、現代のブランドメーカーの販売員。ちぐはぐな組合せのようで可愛らしい雰囲気が楽しいです。特に何も考えずマネキンに話しかけてしまう薫の天然ぶりがおかしくて、いつになったら王子様のサードが人間に戻れるのかそのあたりも気になる感じ。
紙の本強運恋愛契約事情
2001/10/13 21:28
コメディタッチの鬼退治もの。
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祖母の家の蔵の中に怪しげな祭壇を見つけた勇気。好奇心から開けてしまった御神体からは、おそろしく美形の男が現われた。彼、千波矢は勇気が『契約者』であり共に鬼を退治するよう求める…。
軽いです。うっかり契約を交わしてしまった主人公の勇気も「しょうがないちょっとヒーローやってみるか」的に軽ければ、五十年ぶりにこの世に出てきた美形も周囲の人達とその経歴に似合わないほのぼのとしたコミニュニケーションなど取っていて、全然重苦しい感じがありません。むしろコメディ。千波矢と勇気の掛合いにはクスリと笑わされるシーンも多く、とても楽しく読めました。実はかなり続編希望かも。
紙の本福音 （花音コミックス）
2001/09/21 00:56
『追われていないと寂しい』
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恩師に頼まれ、暴力団事務所の顧問弁護士になることを断れなかった荻原は、これまで縁のなかった世界で垣間見る暴力に怯えていた。しかし社長の高木は、淡々と仕事をこなしながらも決して打ち解けない荻原をなぜか気に入り、連れ回す。自分のものになれ、と持ちかけられた荻原は…。
ヤクザと弁護士。なんとなく展開の見えそうなこの組み合わせだが、この話は一味違う。暴力的で残酷な男に見えた高木は荻原にごく普通のあたたかな恋愛感情を抱いている様子で、彼に対して強く出られない。優しい外見と言動で、暴力を嫌う常識的な一般人に見える荻原には、高木の愛情を全く理解しない冷たい面がある。
この二人のアンバランスな関係。一見しただけでは理解できないような繋がりが、この物語の強烈な魅力になっている。どちらかというと絵は粗めで、主役二人はともかく脇役はもう少し美形の方が、なんて注文もあるが、登場人物は脇役に至るまで面白いタイプが揃っているので退屈しない。異色だけど面白い本です。
紙の本三千世界の鴉を殺し １
2001/09/05 19:35
まさにまさに「お笑い軍隊もの」
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挿絵につられて手に取ったら、笑えて美形でかっこよくて味のある主人公に遭遇。作者様いわく「お笑い軍隊もの」だというこの小説、まさにそんな感じです。シリアスとコメディとの間を行ったり来たりしながら気がつけば続きを探して本屋をさ迷うことに。重くない程度に張り巡らされた伏線がどのあたりで明かされるかも気になります。
紙の本君を抱くまなざし
2001/08/30 19:43
目的のある男はカッコイイ。
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海洋遺跡の調査のために沖縄を訪れた一之瀬大河。彼はそこで海底トンネル工事を指揮する司馬北斗と出会う。お互いの立場や利害の不一致から反発すると同時に惹かれあう二人だが、そこに中央官僚である司馬の友人、堂島の思惑が絡み…。
トンネル工事にプライドをかける司馬や彼の部下たち。調査のためなら周囲にどれだけ妨害されても諦めない大河の情熱。そして悪いことしてるくせに堂々と偉そうに謀略を巡らせる堂島。三人三様だが自分の目的をはっきり持っている男達はカッコイイ。
2001/08/29 18:17
女王様ぶりが最強！
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男としか関係を持たないが、マジメな恋愛をする気などさらさらない巽は、イトコであり自分の上司の立場にいる隆文をはじめ何人かとつきあっている。新人として現れたカイに興味を持った巽は彼をあっさりと誘惑してしまうが、自分に真剣なまなざしを向けるカイのことが気になってきて…。
なんて書くと「甘くてラブラブなオフィスラブ？」と思いますが何だか違う。甘々というには巽があまりにも俺様すぎ。だけどこの貞操観念ゼロで好きな相手がいようといまいと誰とでもお楽しみな巽が、恋愛の自覚もないまま巽を気にしているのがカワイイんだなあ…。
そして、とりあえずカイと巽は両思いなものの、微妙なのが隆文の存在。案外巽に本気っぽいのに上手いこと本題に入ることをかわしてしまうあたりがクセモノで、巽は何かあるごとに隆文を頼るし彼も何の遠慮もなく巽にべたべたするしで、そこに本命のカイが混じって微妙な面白さでした。隆文がカッコイイとかカイの健闘ぶりが良いとかいう以前に、まず巽の女王様ぶりが最強。楽しかったです。
紙の本幻惑の鼓動 ７
2001/08/29 18:08
謎が謎を呼び…。
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「塔谷」家の牢から脱出した晃一だが、同じく塔谷から自由になった葉月に弟の淳を人質に取られおびき出されてしまう。友人でもある晃一を取り戻しに来た塔谷は葉月と全面対決することに…。
いつまでたってもなかなか全貌が見えてこないこのシリーズ。麗しい絵柄とあいまって内容も面白いので、とにかく続きが気にかかる。あまりにも謎が謎を呼びすぎて（というか意味深なセリフをしゃべる登場人物が多すぎて？）こっちの頭がパンク気味なので、この辺で一度すっきりと話を整理していただきたいなんて、思ってしまったり…。
紙の本リスメイヤ 邪姫流離編
2001/08/21 14:25
笑いのツボがヲトメ向け（笑）
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主人公のリスメイヤはとある南の国の王女様。子供の頃起こったクーデターのために日本に亡命してきたすごい美少女。現役高校生で人気の同人作家（しかもや○い系／笑）。彼女は日々、他人の迷惑はかえりみず楽しい毎日を送っているのですが、同時にクーデターを起こし両親を殺した将軍と副官への復讐を誓っています。そしてその将軍と殺し屋が彼女を狙って日本にやって来たことを知ったリスメイヤは…というような内容。
とにかくリスメイヤがパワフルです。国を追われた薄幸の美少女どころか、クーデターを起こした将軍への嫌がらせのために彼を主人公にしたホ○小説は書くわ（しかも楽しみながら…）、敵味方関係なく妄想の対象にするわ、敵につかまっても原稿を日本に送らせろと文句を言うわ。だんだん悪役が気の毒になってくるほどに元気。軽い文章で読むのが全然苦にならないので、何も考えないで笑いたい時に読むといいです。笑いのツボが腐女子向け。
