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ベニスの商人さんのレビュー一覧

投稿者:ベニスの商人

43 件中 31 件~ 43 件を表示

バツイチという言葉は戸籍謄本が語源?

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 戸籍というと「自分には無縁」と感じる人もいるかもしれないが、意外なほど身近に必要性が生じてくるものだ。銀行への住宅ローンの申し込み、海外渡航の際のパスポートの申請、親が亡くなったときの相続、それらの手続きには必須の書類なのだ。本書には、その戸籍謄(抄)本を取りに行く場所はどこか、交付申請用紙を埋めるのはどうしたらいいかなどの実務的なことから始まって、家系図も何代か前までは戸籍を追跡すると、ある程度は作れるということも載っている。

 第一章 戸籍のキホン
 第二章 古い戸籍から今の戸籍までの見方
 第三章 昔の大所帯戸籍を分析してみよう
 第四章 転籍
 第五章 戸籍が生まれる原因、なくなる原因一覧
 第六章 養子縁組の戸籍をみてみよう
 第七章 離婚するとどうなるの
 第八章 外国人と日本の戸籍

 「戸籍の附表」なるものを知ったのは、養父が亡くなったときだった。私は次男坊だったので、子供のいない叔父夫婦に請われて、養子入りしたのだが、養母が亡くなったときには、養母名義の財産は数百万円の預貯金を、養父名義に替えるだけだったので、金融機関に戸籍謄本(除籍謄本)を提出するだけでよかった。
 ところが、養父が亡くなったときには、ささやかでも養父名義の自宅の不動産があった。登記を私名義に替えようと思ったら、「附表」を要求されたのである。「戸籍謄(抄)本」は「本籍地」の役場が取り扱っているが、証明されるものは、現時点での「本籍地」だけ。「住所」の変遷はわからない。そこで両者をつなぎ合わせるのが「附表」だ。はっきりしたことは言われなかったから、見当違いかもしれないが、「非嫡出子(権利を申し立てる人物)などが存在するか」を確かめるためだと思っている。
 “バツイチ“という言葉がある。その前からちらほら使われていたようだが、1992年の明石家さんまの離婚会見で、世間に広まったようだ。1993年版の『現代用語の基礎知識』に初掲載された。では語源は何だろう。「私達は離婚した回数で「バツイチ」「バツニ」などといいますね。なかなか「バツサン」までは聞きませんが、この言葉は離婚すると戸籍にバツがつくことからきているのだということは多くの人が知っているかも知れません」。事実、『日本俗語大辞典(第3版)』(米川明彦編・東京堂出版=2006)ではこの説を取っているようだ。

 私の生まれたときの本籍地は東京。住んでいるところもほとんど変わらない。ところが、養子に入ったと同時に、養父の戸籍に入った。それが、淡路島。相続のためにだいぶ戸籍謄本申請での手紙のやり取りが面倒だった。養父母が亡くなった今としては、本籍地を戻そうかなと思案投げ首である。

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戸籍地は、自分の“好み”で定めることができる。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 日本は戸籍に関しては、諸外国の及ばない先進国である。なぜなら、江戸時代に既に「宗門人別帳」という、今の戸籍の前身というものがあった。それどころか「無宿人別帳」というものすら存在した。「無宿」は字面(じづら)通りに“直訳”すれば、「ホームレス」だけれど、実際は「住所不定」程度だろう。その住所不定の面々の「人別帳」があったというのだから、驚くというより“あきれる”ばかりであるが、その信頼性により、ギネス記録で「最年長○○」といったようなものも、達成者が日本人ならば、すんなり認められるようだ。それほど正確な戸籍なのだから、それを読み解いて家系図をつくろうというのがこの本の趣旨。家に居ながらにして、自分だけでつくれるのだ。

 第1章 家系図とは何か
 第2章 家系図作成の流れ
 第3章 戸籍を手に入れる
 第4章 戸籍の編製から廃棄まで
 第5章 戸籍書式の時代による違い
 第6章 改製について
 第7章 戸籍のたどりかた
 第8章 文字や地名の解読
 第9章 家系図のかたち
 第10章 さあ、家系図をつくろう

 目次を見てわかるだろうが、家系図作成は、戸籍を手に入れることとほぼ同値である。戸籍とは、各個人の家族的身分関係を明らかにするために記載される公文書。戸籍を一代ずつ遡って取ることができさえすれば、概ね、完成したようなものなのである。戸籍は、本籍地の市町村に置かれる。つまり、まず、自分の本籍地を知っている必要がある。おおかたの運転免許証には記載してあるが、最新のIC免許証では載っていないらしいし、皆が皆、免許を所持しているわけではない。そんな場合は、住民票を取り寄せ、その際「本籍地が必要」のほうにチェックを入れれば、知ることができる。
 
 戸籍を手に入れたら、今度は読み解く番。【例】のような単純なケースばかりではなく、個々に違うけれど、繰り返して眺めていれば、必ず、読み取れるはずだ。

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紙の本生きるための日本語力

2008/10/27 21:56

グレシャムは経済学の説明に使ったが、いまや日本語力にも“悪貨は良貨を駆逐する”という現象が起きている

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「日本人の日本語力の低下が止まらない。そのことが具体的に表面化しているのは若者世代においてである」。著者は若者に厳しい評価を下しているようだ。「日本語の劣化、日本語力の低下は、今や小・中・高等学校の国語科教育だけでは食い止めることができないところまで進行している」。

 文法で「呼応(の副詞)」というものがある。「ある特定の語を用いると後にそれに応じた特定の語や言い回しがくる、という表現の仕方である」。
 ◇私は決して嘘は言いません。(決して、~ん)
 ◇あれはきっとイギリス人だ。(きっと、~だ)
 ◇社長、せめて交通費くらい出してください。(せめて、~くらい)
 ◇おまけに息子まで家を出たいと言いだしてね。(おまけに、~まで)
ルールを外れた使い方をすると、日本語力の底の浅さを見透かされる、と著者は述べている。
 では、著者はどのように感じているのだろうか。本来、「全然」ときたら否定の言葉が「呼応」するべきなのに、「呼応」するべき言葉が消え、「全然」は普通の副詞化してしまい、単なる「強調」として使われている。「全然、美味しくない」のように使うべきなのに、今は「全然、美味しい」と、かなりの年代の人も使っている。それに触れていないのはなぜだろう。

 著者が学生に小論文を書かせると「~と思う」の連発だという。「~と思う」は、自信のなさの表れ。「考える」「思量する」「認める」も同様だ。さらに悪いのは「思われる」「考えられる」「思量される」「認められる」、これから述べようとする内容からさらに距離を取った言い方だから、無責任度が高いのである。

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紙の本心にしみる四字熟語

2008/01/22 20:33

受験用の文学知識では、心にしみないね

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 “座右の銘”や決意表明としてとして使われる四字熟語がある。だが、それらはともすれば使い方が上滑りして「含蓄」が感じられず、心にしみないと著者はいう。「それに対して、小説の中の四字熟語は、ときに「含蓄」に富んでいて魅力的だ、とぼくは感じる。小説には、ストーリーがあり個々の場面があり、その中で作者が描写したいこと、表現したいことがある。ある四字熟語が用いられるのは、それらを踏まえた上での選択の結果だ」。推敲に推敲を重ねて使われた四字熟語、そうそうたる文章の名手たちがどのような気持ちで選んだか。

 いまの学校では志賀直哉を「小説の神様」といって、教えているのだろうか。少なくとも私にとって、志賀を簡潔で読みやすい文章を書く作家である印象が残っている。それだから、難しい四字熟語など縁がないようなものかと思えば、きわめてまれだがあるらしい。唯一の長編小説『暗夜行路』では、「密雲不雨」と「雨奇晴好」が見受けられるそうだ(『小僧の神様』は読んだことがあるけれど、長編の文学作品はあまり得意ではないので未読)。「密雲不雨」-易経にある言葉だという。なぜ、こんな「用例の少ない」ような難解な四字熟語を志賀直哉は使ったのだろう。本書の著者は、話の流れの中で、それが“必然”だったと分析している。志賀直哉が簡潔な文章を著しているのも、決して読者のためとか、発表媒体の都合に合わせてとか、気を使ったことなどなく、自分の書きたいように書いた結果が、「小説の神様」と評されるようになったと、弟子の阿川弘之が述べている。
 「悪事千里」-「悪事千里を行く」の省略形である。この言葉がキーワードになっているのが樋口一葉の『大つごもり』である。本来の意味は「悪いことはすぐに知れ渡ってしまう」である。だが命題として考えると「真」であれば「悪事でなければ知れ渡らない」が「対偶」だから、本来、それも「真」になるはずだ。しかし、どうも違うようだ。「対偶」が絶対的な「真」ではないのだから、最初の前提となる命題も当てにはならないことになる。主人公のお峯が“悪事”と感じている自分の行為そのものは、必ずしも「悪事」とはいえないが、「千里を行く(知れ渡ってしまう)」のは時間の問題だ。だが、最後の“オチ”でお峯の「悪事」は露見しないこととなる。

 上記2人を含めて、15人の作家の四字熟語の使い方を、吟味している。

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「住所不定無職」は「軽犯罪法違反」。だからホームレスは拘留あるいは科料に科せられることも有り。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本来、法律の内容に不明確性や不合理性はないはずである。だが、実際には「何だこれ?」という法律が存在する。それは立法時には合理的だったものが、年月を経て、法律が独り歩きすることがあるからだ。それなら「手直しすればいい」と言われるかも知れない。ただ、いったん制定した法律を、一部改正するのには、新法を制定するより大きなエネルギーがいる。だから、議員とお役人は、問題にならない限り、「おかしな法律」の手直しはしない。

 いわゆる「六法」は「憲法」「民法」「商法」「刑法」「民事訴訟法」「刑事訴訟法」である。「日本国憲法」の公布は1946年11月3日、施行は1947年5月3日。基本となる「憲法」があって、あとの5つはそれに基づいて作られたと思う人もいるかもしれないが、「民法」「商法」「刑法」の3つは、形式的には明治期の「大日本帝国憲法」下に制定されたものを、改正したものである。だから、こんな奇妙な条文がいまだに残っている。「第68条 朝鮮、台湾、樺太(からふと)、関東州、南洋群島又ハ勅令(ちょくれい)ヲ以(もっ)テ指定スル亜細亜(あじあ)州ノ地域ニ於(おい)テ振出シ日本内地ニ於テ支払フベキ小切手ノ呈示期間ハ勅令ヲ以テ之(これ)ヲ伸長スルコトヲ得」(「小切手法」昭和8年7月25日制定)-著者は、〈大日本帝国復活を夢見る? 残された謎の条文〉との小見出しを立てている。この条文で挙げられている地域は、現在では他国だから、場合によっては、これが原因でトラブルにはならないか。杞憂とは思うが、改正されずに残されている理由が分からないことは確かだ。
 《第3章 理解不能なお馬鹿な法律》の最初は〈入れずみをする「正当な理由」って?〉。「第25条(入れずみの禁止) 何人も、正当な理由がある場合を除き、青少年に対し、入れずみをし、若しくは他人にさせ、又はこれらの行為の周旋をしてはならない。」(「和歌山県青少年健全育成条例」昭和53年10月19日)。「正当な理由がある場合を除き」ということは、裏を返せば「正当な理由があればOK」となる。でも、「入れずみをしてもいい正当な理由」はなに。そもそも、「入れずみ」の定義は? つまり、江戸時代には「犯罪者の印」として、腕にしたのが“入れずみ”であって、火消しなど男伊達を自慢するために絵を入れたのが“刺青(ほりもの)”であった。ま、それもいいとしよう。現在のファッションでは未成年もタトゥーが盛んだが、和歌山県では今でもこの条例が生きているだろうか。

 なお、本書には「違憲の疑いがある」とか「運用に問題がある」といった、意見が分かれるようなものは取り上げられていない。

 

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紙の本広告放浪記

2008/04/21 20:05

電○や博○堂だけが広告代理店ではない

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 テレビなどで題材として取り上げられる“広告業界”は、ほとんどがクリエイターサイド。だが、広告代理店がクリエイターと発注者とを結び付けなければ、いい広告は生まれない。したがって、テレビドラマの主役になる“コピーライター”の陰には、十年一日の如く泥沼を這いずり回っている、多くの営業マンが存在している。

 本書は著者の略歴からして、ほぼ自伝と思っていいのだろう。関西の私立大学を卒業して、いくつか試験に落ちた末に、小さな広告代理店に就職する。漠然とマスコミ志望だったから、広告代理店はまんざら無縁でもないと決めた。というより、そこしかなかった。
 しかし、広告代理店は所詮マスコミではなかった。普通の営業マンは売るべき品物が明確だ。ところが、広告代理店の営業マンは売るものがない。あえて売るものと評するならそれは「広告スペース」である。「これこれのスペースが空いていますけど、何か広告したいものはありますか?」-御用聞きである。それも飛び込みで、なんのコネもない、なんの約束もなしで注文をとれという。
 無理だ。いつしか、営業に行くという口実で会社から出かけ、暇つぶしをして戻るのが常態になる。注文が取れないということでは、まじめに飛び込みをやっても、結果は五十歩百歩。客観的に評価すると主人公(著者?)は、ダメな会社員である。会社から見れば月給泥棒といってもいいかもしれない。でも、自分がその立場に置かれれば、けつを割りたくなるかもしれない。
 だが、主人公は割らなかった。それは新たな目標ができたから。広告業界にはコピーライターという仕事もあって、彼らは営業マンと違い、服装も自由だし、第一、クリエイティブな仕事だ。そのための勉強をして、いつかは東京に出る。
 この中には、失敗談ばかりが書かれているが、後半部分ではいくつかのヘッドハンティング話が出てくるから、実際にはそれほどのダメ社員ではなかったのかもしれない。

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やり方によっては、「すっごい得する」。しかし、全員に当てはめられるのではない

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 かつては一旦会社に入ったら、定年まで無事勤め上げるのが、常識であった。しかし、世情は変化した。1990年代からリストラの風が吹き荒れ、ここに来てようやく風が収まったと思ったら、企業ブームが台頭。インターネットでは転職紹介サイトが誘っている。いまや、会社を辞めるのにあまり抵抗がなくなったようである。ならばどうせ辞めるのだったら、少し工夫をしたらという手引きである。
 「会社都合」と「自己都合」は大きな違いがある。会社都合ならば「私はもっと働きたかったのに、会社の都合で辞めざるを得なくなった」と主張してそれが認められれば、失業給付の期間が早く、長くもなるが、自己都合ならば「勝手に辞めたんでしょう。そこまで面倒見切れません」とばかりに、給付が待たされ、期間が短くなる。だから、絶対に会社都合が得だ。そのためには衝動的に辞表を叩き付けないで、会社都合と役所に認められるような環境作りが大事だという。実際には自己都合でも“環境作り”によっては、会社都合と認められるそうだ。環境の作り方の例は本書に書いてある。穏便な退職手法と、攻撃的な退職手法と−。
 また、時期も大事。ボーナスをもらって、有給を全部消化して、というのは、割とわかっているようだが、在職日数(年数)で、大きな違いがある。わかりやすい例だと、在職10年以上は失業給付の給付日数が倍になる。だから9年11カ月より、もう1カ月待って10年にしたほうはるかに得。
 後半は無事に? 退職したらどうすればいいのかが書かれているが、こちらは事務手続きのような話で終始していて、大事なことは自分から積極的に、かつ迅速に行動することくらい。“ウラ技”はないといってもいい。ただ、お役所の常道でそちらから能動的に教えてくれないことだけは、注意したほうがいい。失業給付も自分のほうから手続きに行かなければ、そのまま受け取れる期間が過ぎ去ってしまう。そして手続きした日ではなく、退職した日が起点だというのも、もたもたできないのだ。

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紙の本鬼平の給与明細

2010/06/01 20:55

「火付盗賊改」は、割に合わない役職

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 早い話が、江戸時代の“国家公務員”は、いくら給料を貰っていたかという本。「鬼平」は“つかみ”のようなもので、徳川家直属の、旗本、御家人の全体としての懐具合が記されている。

 1.鬼平の懐事情~金策に苦心する
 2.金品が飛び交う江戸の武家社会~給与の表と裏
 3.御家人の生活簿~武士の財テク
 4.旗本の家計事情~農民への借財
 5.武士の消滅~消え行く家禄

 長谷川平蔵(鬼平)が就いていた「火付盗賊改」は、町奉行所の補完的役割を担っていた。町奉行は、いまでいう都知事兼警視総監兼最高裁判所長官の役目。時代劇では、捕り物ばかりがクローズアップされるが、実は、犯罪を検挙する町回り同心は、20人ほどしかいなかった。かといって、定員を増やすと、それだけ人件費などが膨れる。それじゃあというので、奉行とは別に、犯罪探索専門の「火付盗賊改」を任命した。
 奉行所からは、与力、同心への俸給は与えられるし、奉行所の場所もある。しかし、「火付盗賊改」の場合は、任命されっ放しで、仰せつかった旗本は、自宅に牢を作り、探索のための配下も自分で雇わなくてはいけない。奉行所なら、警察の役割だけではないので、節季ごとの贈り物(ご機嫌伺い)をもらえるが、「火付盗賊改」はそうもいかない。「火付盗賊改」それ自体、独立して見ると、貧乏くじを引いたともいえる。
 しかし、通過点としてみれば、無事に勤めあげれば、出世が待っている。実際、鬼平の父親の宣雄はわずか1年の在任で、京都町奉行に栄転した。だが、鬼平は報われなかった。為政者の松平定信が、鬼平を嫌っていたらしい。約8年務め、定信のお声がかりで創設した、人足寄場を軌道に乗せたにもかかわらず、褒美でもらえたのは大判5枚だけ。冷遇である。結局、鬼平は「火付盗賊改」のまま終えたそうである。

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文法先行でないとダメなのかなあ。むしろ、習うより慣れろではないかな。

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 中学時代は割と英語の点は高いほうだった。ところが悲しいことに、そこがピークだったようで、下降線をたどってしまった。これではならじ。これから飛躍的な伸長は望むべくはないだろうが、とりあえず、中学時点まで戻そうではないか。

 まず、一通り読んでみた。難しい単語もなさそうだ。Step1~3までは「be動詞」。まだこの順序で習うのか。この本だけでは、それほど役に立ちそうもない。しかし、私の中学時代と決定的に違うのは、本書の付録としてCDが付いていて、本書の英文をネイティヴによって読み上げられていること。それも、一語一語、丁寧にではなく、普通の会話のリズムだ。
 私は中学時代に、ザ・ビートルズの楽曲に夢中になっていた。ビートルズの詞は、あまり小難しくない。それが形を変えた、本書のCD代わりになっていたのかもしれない。それゆえ得意だったのか。
 閑話休題。CDを繰り返し聞いて、それらの意味が頭の中で、自動翻訳されるようになったら、あとは単語数を増やすだけ。そこからは、本書の手には負えない。

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もう少しまとまったほうがよかった

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

小学校のときに、理科の実験で火を使うとき、ガスバーナーまたはアルコールランプと切り離せない道具が、石綿付き金網だった。そして、江戸時代、平賀源内が発見して幕府に献上した火浣布もそれである。さらに、日本最古の物語である『竹取物語』に登場する“火にくべても燃えない「火鼠の皮衣」”も、当時そういうものが実在したとすれば、正体はこの石綿であったろうと言われている。1970年前後まで、石綿(アスベスト)は奇跡の物質として、むしろもてはやされたのである。
 それが一転して、危険となった。肺は入り口だけで出口がない。アスベストの粉末を吸いこむと、高い確率で癌の一種である中皮腫に罹るリスクがあることがわかった。クボタの旧神崎工場周辺では、罹患者が多い。いわゆる、クボタ・ショックである。クボタも全くの知らぬ顔の半兵衛を決められないということで、見舞い金を出したが、はっきりした責任は認めない。
 会社側の立場に立てば、当時の法律にしたがって操業したのであり、また株主の存在もある。賠償しろと言われてもすんなり肯けない。 

 8月7日神戸地裁で、原告(患者側)勝訴の判決が出た。対して被告(クボタ)は即控訴した。公害なのだから、政府がなんとかならなかったものだろうか。

 マンガとして、アスベストの恐ろしさを、違った角度から描いている。ある章はドキュメント風、またある章はキャラクターやストーリーを創ったフィクション(ただし、構成が変わっているだけで、でっち上げという訳ではない)。全9章あって、作画する人も9人いる。私としては、なんかとっちらかっている印象である。

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紙の本文字・文・ことばの近代化

2011/07/05 20:43

“資料”としては、整理されている

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 ちょっと、詰め込み過ぎた感がある。そのため、著者の主張するところが、見えなくなってしまっている。「文字」「文」「ことば」、どれか一つに絞って、話を開陳すれば、よかったのではないか。

 1 文 学
  第一章 漢字をめぐる諸問題
  第二章 維新期における文学事情
  第三章 文字雑談
  第四章 当用漢字・常用漢字
 2 文・文体
  第一章 文体の変遷
  第二章 仮名遣いと敬語
  第三章 文字・ことばにみる男女差
  第四章 漢文体・文語体・和語
 3 ことば
  第一章 ことばをめぐる議論
  第二章 世界の言語とその状況
  第三章 外来語
  第四章 いろいろな用語

 約200ページの中に、全12章が詰まっており、各章ごとに、2~4、平均して3つのテーマに分かれている。つまり、1つのテーマで使える紙幅は5~6ページ。中身を充実しようとすると、いきおい、著者の意見を述べることができなくなるわけだ。だから、最初は、著者の主張を読み取ろうと努力したが、1/3ほどで諦めた。ただ、他者の著作の引用がかなりあるが、対立する文献は並立していないから、そういう意味で、引用=著者も同意、ということも、考えられるか。

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紙の本中高年、鼻で確かめる消費期限

2011/06/28 22:37

中高年の女性以外には、若干、辛い

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 綾小路きみまろの著書の出版数は、本書以前に累計70万部にも及ぶというが、実は、綾小路きみまろはの本を私が読むのは初めてである。もちろん、ライブにも出かけたことがない。そういう意味で、熱心なファンではないが、その代わり、「極めて面白い漫談家」という先入観もない。割と、冷静に、“面白さ”を評価できるものと思う。

 綾小路きみまろは、いわゆる“お笑い番組”には、出演しない。それが、正解だろう。中途半端にテレビに出捲くったおかげで、一発屋というレッテルを貼られた芸人が、どれだけいるものか。その点、綾小路きみまろは、ライブ主体で稼いでいるから、このような著書も出版できる。「太く短く」でなく、「やや太く長く」を目標にするのが、賢い処世術。

 お笑いを活字で表現するのは、なかなか難しい。例えばキャイーンのウド鈴木の言動を、活字で表しても、面白くないはずだ。それは、ライブで感じるような「間」が、ないから。綾小路きみまろは漫談家である。一人で演じるだけ、「間」の大事さを知っていてはずだ。そういう観点で、本書を評すると、いささか緩い。喋る言葉をそのまま活字化した語り口。ライブなら、お客は「笑おうと思って、詰めかけている」のだから、少々のことでも笑ってくれる。集団心理もあるだろう。だが、普通は読書は一人でするもの。江戸川柳で「屁をひって 可笑しくもなし 独り者」とあるように、何人かが集まっている場合は「おなら」が“笑いのタネ”になるかもしれないが、一人でおならをしても、単にそれだけである。期待しただけ、残念だった。

 本の構成(編集)が、面白さを妨げている面もあるかもしれない。「小見出し」は、その節の、いわばダイジェスト。普通の本ならそれでいいかもしれないが、本書はお笑いの本的要素がある。お笑いで、一番やってはいけないことは、オチを先にいうこと。ところが本書では、例えば「WカップはBカップではありません」という見出しの後に、Wカップをブラジャーのカップと間違える話を、展開されても笑えますか? 

 

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《浦島太郎の真相》、《桃太郎の真相》、《カチカチ山の真相》、《さるかに合戦の真相》、《一寸法師の真相》、《舌切り雀の真相》、《こぶとり爺さんの真相》、《花咲爺の真相》の八つの話が載っている。分類としてはミステリ作品となるかも知れないが、「この作品は、ミステリ部分、昔話の新解釈部分、昔のテレビ番組などのなつかし話部分と、三つの要素から成り立っていますが、その三つがお互いに少しも関連していないという珍しい構成をとっています」というのが、カバーの折り返しにある「著者のことば」。
 舞台は「森へ抜ける道」という名の日本酒バー。登場人物は常連の僕・工藤(職業・私立探偵)、山内、マスター・島の「ヤクドシトリオ」と美人大学院生・桜川東子。ヤクドシトリオが毎回、酒の肴代わりに、昔のテレビ番組などのなつかし話を語る。その話の接ぎ穂で、昔話の“新解釈”が話題となり、「そういえば…」といった風で工藤(僕)が、解決に苦労している事件を東子に話すと、彼女がアームチェア・ディティクティヴよろしく、鮮やかに解決する。
 もっとも、著者が一番書きたかったのは、最後の「昔のテレビ番組などのなつかし話部分」かもしれない。〈アニメ〉、〈映画〉、〈プロ野球〉、〈時代劇〉、〈ホームドラマ〉、〈バラエティー〉、〈フォーク〉、〈ラジオ〉、どれも昭和40年前後のなつかしい話。ただし、必ずしも40年前後と限ったわけでない。例えば、映画のところでの口開けの話題がライザ・ミネリの「キャバレー」はいいが、「ライザ・ミネリといえば…」で彼女の母親のジュディー・ガーランドに繋がり「オズの魔法使い」に広がる。「オズの魔法使い」は戦前の作品だから、ロードショー(封切り)では絶対見られないが、映画の場合はいわゆる名画座でリバイバルで見られる。
 リバイバルで見られない生のバラエティーは、ヤクドシトリオの記憶があやふや。「小せんとか夢楽とか柳昇とかが出てた番組なかったけ」「なんかあったね」と、解答が出ない(ちなみに正解は「お笑いタッグマッチ」)。続いて「それと、小円遊とか円楽が出てた『笑点』みたいな番組なかった?」「『笑点』だよ」-小円遊にポイントを置けばそれでもいいが、「みたいな」に注目するなら、「笑点」の前身番組の「金曜夜席」です。

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