ドラゴンさんのレビュー一覧
投稿者:ドラゴン
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2002/12/16 00:28
「科学者の良心」の遺言
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「科学者の良心」とよばれた故カール・セーガンの残した最後のエッセイ集です。
最近のテレビ番組では超常現象などを扱ったものが目立ち、「理科離れ」などの現象が指摘されていますが、そんなときだからこそ読んでほしい本です。
友人から「じゃあどうしてUFOじゃないと言えるの?」とか、「これが超能力じゃないとしたらどうやって科学で説明するの?」といった質問を受けたとき、超常現象をあつかったテレビ番組にちょっとでも疑問をもったとき、ぜひこの本を開いて彼が自らの死を前にしてつづったエッセイを読んでみてください。
ユーモアあり、教養あり、皮肉あり…そして何よりも強く感じるのは彼の科学者としてのあふれる使命感、正義感です。研究に没頭するだけではなく、その外に目を向け、真剣に考え続けた律儀で心優しい彼の姿が見えかくれします。
そしてこの本を読み終えたら今度は、この本で彼が必死に伝えようとした、科学的に考えるという姿勢をフルに使って、身の回りの現象について考えてみてください。
それこそが「科学する喜び」であり、科学者カール・セーガンが生涯をささげたものなのです。
紙の本竜とわれらの時代
2002/10/17 23:49
こんな恐竜小説を待っていた!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
恐竜小説というと、イコール「ジュラシック・パーク」のように現代に恐竜が蘇ったり、「さよならダイノサウルス」のように中生代へタイムスリップするSF小説が思い浮かびます。
しかしこの小説はそのようなステレオタイプの恐竜小説とは一線を画しています。著者は恐竜を研究する古生物学という学問を本格的に描き出し、表舞台に登場させることによって、これまでになかった新しいタイプを開拓しました。この小説のなかであちこちにみられる古生物学的な記述は、著者が本当に熱心に取材をして、勉強しているかを物語っています。もちろんジャンルは小説ですが、この1冊を読むだけで現代恐竜学のトレンドをみわたすこともできます。まさに恐竜ファン待望の(本当の意味での)リアルな恐竜小説といえるでしょう。きちんとした正しい古生物学の知識がわかりやすくちりばめられていて、初心者への入門書にもなってしまうんじゃないかと思うぐらいです。
もちろん小説そのものでも読ませます。日本の発掘現場を中心に次々と展開していく壮大なストーリーが、最後に1点へ収束していくのはとても読み応えがあります。多彩な登場人物。奇抜なアイデア。そして落ち着いた視点。本当に守備範囲の広い小説です。
私の嗜好にぴったりとはまったので、文句なしの星5つ。
恐竜が好きな方にも、恐竜のことをまったく知らない人にも、ぜひ読んでもらいたい1冊です。
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