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ろこのすけさんのレビュー一覧

投稿者:ろこのすけ

21 件中 16 件~ 21 件を表示

おばあちゃんの出発点は「勇気、度胸、笑い」

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

77歳のおばあちゃまの英語留学記。

やー。すごいの一語につきる。感動した!(小泉総理じゃないけれど…)
90歳、現役医師日野原重明氏に影響され、また96歳の元女医、石田文枝さんの話に頭を「ガ−ン」となぐられたような気になり発奮。76歳で留学を決意。

留学前には不登校だったお孫さんと同居し、いつしかこの孫もおばあちゃんのパワフルな生き方に感化され大検に合格、見事早稲田大学理工学部に入学したという体験もふまえた人物。

2ヶ月のサマーセミナー英語留学はカナダでの大学寮生活からスタート。
留学生活では孫のような男子学生に慕われ、未知のコンピューターにもチャレンジ、趣味の短歌を英訳し、英文推理小説を日々愛読し、最後はコース終了生代表として名スピーチをするに至った。そのスピーチではカナダの風景を詠んだ短歌の英詩訳を織り交ぜ、われんばかりの拍手に送られて卒業。

中学程度の英語力から、かくも素晴らしい成果をあげたのはひとえに努力のたまものと言えるが、やはり尽きせぬ勉学への情熱。

77歳岡崎さんからのアドヴァイス は「勇気」「度胸」「笑い」で積極的に質問し、みんなに話しかければいつのまにか日常の英語が身に付くとのこと。
「英語に自信がない」と思っているひとでも「やる気」さえあれば楽しい学生生活が送れると言う。
具体的な日を追っての留学日記なので失敗あり、喜びあり、授業風景など、臨場感があって一気に読めるところが面白い。
岡崎さんいわく:
「留学したい」と思ったら、先ず第一歩を踏み出してみること!

岡崎さんが尊敬する日野原重明先生は「新しく創(はじ)めることを忘れなければ、いくつになっても老いることはない」と提唱されている。

まさにそれを体現して実証、77歳にして老いず。
「おばあちゃん」などという形容は取り外さなければならない。

目標を見失っている若者(高校生、フリーター)、中高年の方、ひきこもり、不登校の人達にも是非読んでいただきたい。
そして留学したいと思っているあなたに一言!

先ず第一歩を踏み出してみること!

この本から幾万もの勇気を戴いた。

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紙の本いつか王子駅で

2004/02/08 23:54

文学ってこういうものだったのよね

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三島由紀夫賞受賞の「おぱらばん」、芥川賞受賞作品「熊の敷石」読了以来、すっかり堀江ワールドの虜になってしまった私。

どの作品をとってもその「文学」の品格に酔わされる。
品格ある文の運び方、プロットの組み立て方の妙もさることながら、それに相反するかのように、登場人物は下町の市井の人であったり、移民だったりと、登場人物は隣人のような温もりを感じさせ、優しいまなざしの堀江文学に読者は魅了され、いつのまにか虜になっていく。

さて、この長編「いつか王子駅で」は
正吉という「左肩から上腕にかけてびっしりと彫られた紺青の龍の刺青が湯上がりに火照った肌からひときわ色濃く浮き出し、小柄な身体を拭くために両腕を動かすたびところどころ金を蒔いたふうに龍の胴体がうなって顔見知りの常連客たちをも黙らせるほどの迫力がある…」

という昇り龍の刺青がある印章の彫師、正吉が渋い味をだし冒頭から読者への呼び水を引き出す。

そして主人公の大学講師
「私」が昇り龍の正吉さんと知り合ったのは、東京の路面電車の走る町に越してきて、ちょうど半年ほど経った春先、偶然立ち寄った、定食も出すカウンターだけの小さな居酒屋「かおり」でのことだった。食後の珈琲を頼んだ「私」に、「居酒屋で珈琲を注文するたあ大した度胸だが、もずくを食ったあとに珈琲を飲むなんて無粋な真似は控えたほうがいいな」と声がした。「珈琲アリマス」とお品書きにあったので頼んだまでの話だが、男は一目見てその筋と思えたので黙っていると、彼も珈琲を注文しており、「なあんだ、あなたもですか」と言葉を返したのが始まりとなる。

そして堀江ワールドの別の魅力、本に関する情報が散りばめられていて魅力。
 詩人オーデン、横光利一、ジャック・オーディベルティ『モノラーユ』、島村利正『残菊抄』『清流譜』『奈良登大路町』『妙高の秋』、マーク・トウェイン、安岡章太郎『サアカスの馬』、岡本綺堂『半七捕物帳』、徳田秋声『あらくれ』、小林多喜二『蟹工船』、絵本『スーホの白い馬』などが素材として扱われていてそれを小説にからませて進んで行くあたりはもう見事と言うほかに言葉がみあたらない。

渋い魅力の刺青のある正吉が消えてしまったままになっていて小説が終わっていて、読者は一体彼はどうなったのだろうか?と続編をつい期待したくなる。

都電荒川線界隈の描写、競馬の回想シーン、本の感想、情報などを小説の中にからませて、どこを切り取ってもそこだけでも成り立つ匠わざ。
とにかく文体に品格があって、読ませる「文」。
筆力、文章の素晴らしさに痺れてしまう堀江ワールド。

文学ってこういうものだったのよねなどと思わず独り言がこぼれてしまう。

堀江さんってどんな人なのだろうか?
あってみたい…などともう恋してしまいそう…

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紙の本100万回生きたねこ

2003/11/16 17:58

生涯忘れないサムシングを心に残すとらねこ

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客人が来るという直前に読んだのが不覚だった。
涙が溢れてぐしゃぐしゃの顔になって客を迎えるはめになった。
もう巷に出まわって久しいこの絵本は1977年に第一刷発行。以来75刷を発行するに至った。
ゆうに26年もの長きに渡って読まれ続け、感動を与えてきた絵本だ。

100万回死んで、100万回生きたとらねこのお話。
100万人に飼われ、100万人に可愛がられ、100万回死んだときには100万人に悲しがられたとらねこ。
でもとらねこは誰も好きではなく、ただただ自分のことだけが好きで死ぬのなんか何とも思わない傲慢な猫…。
しかしこんな傲慢で自分だけしか愛せないとらねこが自分以外に好きな白猫をみつけた。
白ねこと子ねこの存在はとらねこにとっては自分よりも好きな存在でいつまでも生きていたいとおもうようになる。そんなたいせつな存在を失ってとらねこは生まれてはじめて泣いた。なきがらを両腕に抱きしめ天を仰いで泣くようすが見るものの胸をしめつける。
最後のページを繰るとその結末にあっと声をあげてしまう。

最後のページは読者に別の涙を流させる。

作者の佐野洋子さんは森茉莉さんの作品「魔利のひとりごと」の本のカバーと挿絵を書いていてその独特の絵は不思議な魔力を持っている。

この絵本「100万回生きたねこ」ではさらに圧倒的な心象風景をねこに憑依(ひょうい)させているようで、愛する白ねこの亡き骸を両腕に抱きかかえて慟哭するとらねこの表情は読むものの胸をしめつけないではいられない。心にやきつく絵だ。

おとなが読んで感動する絵本。勿論やわらかな感性の子供が読んだら生涯忘れないサムシングを心に残すことだろう。

読書する素晴らしさは読みながら心の中の感動を味わうものだ。そしてその余韻から生まれるさまざまな想いはいつしか深い泉のように心の中に流れ続けて感性の糸車を回させる。

読書する幸せをしみじみ感じた日だった。

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紙の本よこしまくん

2003/10/31 22:00

邪(よこしま)な私が「よこしまくん」で大笑い!

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真っ白なフェレットの「よこしまくん」はよこしまのシャツが大好き。
へそまがりでみえっぱりでええかっこしいだけど憎めないドジな奴って周りに一杯いるよね。
そんな典型な奴「よこしまくん」の日々とセリフが可笑しくって、お腹がよじれるくらい笑ってしまう本。
間違っても電車の中とか、授業中とか、仕事中に読んではいけません。
笑いをこらえるのが「やっとこさっとこ」なのですから!
ページを繰るたびに、にやり、うふふ、どひゃ! わは! おーおー。無理しちゃって! とか独り言が出てしまう本です。
何だか憎めない愛らしさ、すなおになれない「あまのじゃく」な面をいとおしむ気持ちが笑いと共にこみ上げてくる本。どこのページをいきなり開いても笑えます。
落ち込んでいる人、友人、病人、恋人、子供…周りの皆にプレゼントして一緒に笑いたくなる本です。

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紙の本忘れられる過去

2003/10/08 18:46

言の葉のたゆたい

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詩人荒川洋治さんの珠玉のエッセイだ。
どの言葉も詩のようで思惟に富んでやわらか。

「畑のことば」から抜粋:

年をとるとどうなるか。ことばとは別のものになる。…省略。
声をかけられて、たとえば田畑のなかから、ふと立ちあがるとき、顔がみえなくても、そこにはいわくいいがたい表情があるものである。また何もしていないときでも、そこから、そのひとから、静かな声のようなものが届けられるような、そんな感じになる。

人が放つ言葉の意味合いに荒川さんは言及する。
おとなが発する言葉に感心し、
積み重ねられた年月からほとばしる博識に感嘆する。
言葉が人間の中心にあって、主役になって働くことにたいして。

そしてさらにおとなになるとどうなるか。
つまり年をとるということ、
年をとるということは、その言葉の持つ意味合いと働きが別ものになるという。
即ち、抜粋として挙げたこととなると荒川さんは思うのである。

つまりことばよりもやわらかなもの、ゆたかなものが、新しく加えられるというのだ。
それは人生が、その仕上げに向けて創り出す光景のひとつであると。

年老いた父と母が庭でくつろいでいるときなど、互いにかわすまなざしの中にことばよりもやわらかなものをみいだすことがある。

言葉とは言の葉である。
四季の移ろいのように人生は青き春から朱夏へ、そして白秋から玄冬へとたどる道すがら、常に言葉はその中心となり主役を演じ、繁る葉であり続ける。
しかし、玄冬を迎える時、その言の葉は枯れるのではなく別のものへと昇華して行くのだろう。

もはや言葉はたんなる言葉でなく、それよりもやわらかでゆたかなものへとたゆたって行くのだ。

何と美しく思惟に富んでいる言の葉達であろうか。

3年の間に発表したエッセイの中から74編を自らが選んだものである。
どれも氏のやわらかな詩人としての言葉が紡ぎ出すもの達。
座右の友として折に触れて読みたいエッセイ。

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紙の本星々の舟

2003/09/01 13:41

乗り合せた舟の原点は?

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序の部分が禁断の恋に悩む兄妹の話で進んで行く。
徐々にこの家族(近親相姦の兄、妹、他人の夫ばかり好きになる末ッ子、居場所を捜す団塊の世代の長兄、戦争の傷痕を抱えた父、家政婦から後妻に入った母)のそれぞれの人生が開かれ、それがタイトルの星のように瞬いて「家」という舟に乗って時の海を渡って行く。
そして最後に戦前生れの父の戦争の傷が暴かれ、心の傷跡がこの家族の根源に辿りつく。
立ち木に括りつけられた八路軍の少年は15,6歳。
「お母さん」と叫ぶ少年に…重之は銃剣を‥
そして慰安婦の惨状。

文中の高校生の言葉
「どうして誰も、戦争はいやだって言わなかったんですか?」
そ「ういう時代ではなかった…」と言いかけてそれを呑み込んだ老いた重之。
「あんたらは、頼む。ちゃんと声をあげてくれ」と答える重之。
最後にこの戦争の傷跡を心に深くおった老いた重之の言葉が重い。
「足を踏んだほうはすぐ忘れるけど、踏まれたほうはそう簡単に忘れられないもんだ」
家族とは、人生とは何か?を考えさせられる作品。

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