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保森 千枝さんのレビュー一覧

投稿者:保森 千枝

7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本きれいになるごまレシピ

2001/05/31 14:00

開け!ごまっ!開けてビックリのごま料理

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「ごま化す」というのは、ごまをふりかけて食べるとどんな物でもごまみたいに美味しくなるというところから来ている。確かにごまはちょっと加えるだけで香りとコクが増す魔法の調味料だ。食べて美味しいだけではなくて、中国では「食べる丸薬」と言われるほど、植物性食品の中ではトップレベルの栄養価。インドのアーユルヴェーダはごま油を取り入れた美容健康法で有名だ。あのクレオパトラは全身にごま油を塗って美肌を保ったとか。人類が使用した最古の調味料といわれるごまを、先人達は食用、薬用、化粧用、儀式用など様々に利用してきた。あんなに小さな粒にものすごいパワーがギュ—ッと詰まっていると思うとなんだかとっても偉く感じてしまう。
 この本では、な〜んて美味しそうなのと思わせるごま料理を約100品紹介。その香ばしさが料理を引き立たせるごまは、炒る、擂る、切る、練るとでは香りの立ち方、触感、濃厚さが全く違う。こんな使い方があったなんてと感心させられる斬新なごま料理の数々は、和・洋・中・エスニックと多国籍。合わせる素材や料理によって様々な形に姿を変えるごま使いの技を習得したい。普段のおかずがワンランク上のごま使いで断然コク増しの逸品に早変わりすること請け合いだ。
  
 「開け!ごまっ!」ということで、美味しいごま料理のほんの一部をご紹介。

 『基本のごまタレとソース』…豆腐やなす、竹の子、焼き魚に塗ってこんがり仕上げる田楽には「ごまみそ」。生春巻などの漬けタレや、いつでもエスニック料理を楽しめる「ピリ辛ごま酢」。本格棒々鶏に迫る「中華風ソース」はラーメンに加えてもグッド。「ごまマヨネーズ」や「ごまウスターソース」はフライやとんかつにかけてコクをプラス。定番のおかずが手軽にパワーアップする万能ソースだ。

『ごまの常備菜と保存食』…クローブ、八角、花椒、にんにくなどを胡麻油に漬け込んだ「香味オイル」は、本格中華味の炒め物などスピードクッキングの頼もしい味方。味噌にごまとねぎ、しょうがを加えた「薬味ごまみそ」はふろふき大根や田楽に。その他「田作りのごまがらめ」「ごま昆布の佃煮」「じゃこ入りふりかけ」など、日保ちがよく忙しい時でも楽勝で2〜3品出来てしまうお助けモノはぜひとも常備したい。「タレ・ソース・常備菜・保存食」を作りおきしておくだけでもごまを使ったレシピはグンッと増える。

『一品料理』は「あえもの&サラダ」「ごまのおかず」「ご飯・麺・汁」「おやつ&ドリンク」の項目に分けて食欲をそそるごま料理を紹介。「ししゃものマリネ」は揚げたししゃもを炒った黒ごま入りのマリネ液に漬け込んだダブル・カルシウムの一品。「鶏もつの八角煮」はレバーを練り白ごまと八角を加えた醤油ベースで煮込んで、もつ嫌いも納得させる味に。「にじますのムニエルごまソース」は魚に白ごまを衣にムニエルし、練りごまのソースをかけたダブルごまで濃厚な味わい。「うなぎのごまあえ」はうなぎの蒲焼を錦糸玉子といりごま入り2杯酢で合えてうなぎの脂っこさを抑えたあっさり味に。「まぐろのたたき」は白・黒ごまをまぶしたまぐろをさっとごま油でソテーしたたたき風。ごま風味の酢醤油につけてお刺身がボリュームの一品に。他にも「豚ヒレ肉のごま焼き」「はんぺんのごまソテー」「ごまクリームのカナッペ」「真っ黒チャーハン」「ごまドリア」など変り種のごま料理がずらり。市販のごま製品は多数出回っているが、手作りだからこそ、余分な添加物を加えることなく、油分や甘味も調整してオリジナルごま料理を安心して味わいたい。

★食・料理のページはこちらから。

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紙の本オリーヴオイルを使う本

2001/02/15 15:04

オリーブオイルを知れば誰でもイタリア料理の達人に!後編

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「レシピオリーブオイルを生かした料理」
○調味料として
グリルしたラムや海の幸のサラダに香りの良いエクストラヴァージンオリーブオイルを選び、食べる直前にタラーリとまわしかける。サラダなどにヴィネガーやバルサミコ酢といった他の調味料と一緒にかけて和えるだけというシンプルなもの。あまり手を加えずにオイルの香りそのものを楽しむのがポイントです。
○オイルに香りを移す
 保存ビンにハーブやスパイス、変わったところではレモンの皮や乾燥ポルチーニ(きのこの一種)などをオリーブオイルと一緒に漬け込み「アロマティックオイル」を作ります。「レモンのオイル」はマヨネーズを作るときや鶏肉のサラダにかけたり、「ポルチーニのオイル」はリゾットや肉の煮込み、きのこ料理などに使います。
○オイルで保存
 野菜や魚介類をヴィネガーやハーブなどで風味付けしたオイルで保存するというもの。つまりマリネですね。プレーンヨーグルトの水分を抜いたものを丸めてハーブとスパイス入りのオリーブオイルにつけ込んだ「ヨーグルトチーズのマリネ」というのも挑戦してみたい一品です。
○油として使う
 ソテーしたり揚げたりなどオイルを加熱して使うのですが、この場合も健康面、味の面でもエクストラヴァージンオイルを使用しています。イタリアの揚げ物はオイルは少な目でパン粉は細かいものを使用するので、日本の豚カツなどと違って必要以上に油を吸うこともないのでとってもヘルシーです。
○ドルチェ
 フルーツの揚げ菓子やバターの替わりにオリーブオイルを使ったケーキなどヘルシーなものを紹介しています。

 品種、実の熟成度、地域性、生産法によって外観、色、芳香、味も多種多様な特徴を持つオリーブオイルはワイン同様にとてもデリケートです。最近ではオリーブオイルをテイスティングした本も出版され、オイルと料理の相性についても解説されています。オリーブオイルのテイスティング用語も「甘く爽やかdolce e fresco」「香が高いfragrante 」「アーモンドの風味mandorlato」「フルーティーfruttato」「苦みとピリッと刺す味わいamarognolo e piccante」など沢山あります。これだけ多種多様なタイプのオリーブオイルがあるのですから、料理と相性の良いワインを選ぶように、本書でもそれぞれの料理にどのようなタイプのエクストラヴァージンオリーブオイルが合うのかについても触れて欲しかったと思います。その点が少し残念でした。
 
 しかし、本書でしょうかいされているレシピはどれも簡単でおいしそうで、体系的に分類されているのでとてもわかりやすく出来ています。約120種類ものバラエティーに富んだレシピが紹介されていますので、興味のあるものからチャレンジしてみてください。

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紙の本イタリア料理のおいしい約束

2001/02/15 14:57

これさえ守ればプロの味!後編

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 本書ではまず初めにおいしくイタリア料理を作るためにはこれだけは守らなくてはいけない、これさえ守れば美味しくできる「基本のテクニック編」として、イタリアンの基本中の基本である「ニンニクの加熱の約束ごと」をはじめ「煮込み料理を作る際の肉の扱い方」「パスタ料理のゆでかげん、ソース合わせのタイミングのとり方」など「7つのお約束ごと」を詳しく解説しています。そしてこの「7つの基本テクニック」をふまえて「料理編」ではイタリアの伝統的な家庭料理から落合シェフのオリジナルレシピまでバラエティー豊かな料理が48種類紹介されています。落合シェフの書く「料理は音、状態や香りを逃さずに感じることが大切」という点については、調理のプロセスの鮮明なカラー写真でかなり正確に知ることができます。さらにレシピごとの「おいしさ&スピーディ ここがポイント」のところでは、「香味野菜として使うセロリは叩きつぶして香を立てる」「にんにくは金気を嫌うのでつぶしてから切った方が雑味が出ない」「耐熱皿はコンロの直火で一気に熱くしてオーブンに入れると焼き時間を半分に短縮できる」や「ニョッキはまとめて仕込んでおき、提供する前は温めるだけの状態にしておく」など調理の重要なポイントと調理時間をスピードアップするためのプロならではのテクニックが解説されています。

 本書で最も重要視している点が、「火力調節とそのタイミング」です。全てのレシピにきめ細かく丁寧な説明が加えられています。「料理上手は火加減上手」と言われるように、火力調節とタイミングをマスターすることで調理をスピードアップすることが出来、一般の人でもプロの料理人と同じ様な味に近づけるわけです。一点だけ気になったのは、オーブンを使った調理の場合の設定温度が明記されていないことです。食材の特性によって加熱温度は変わってくるわけですから、この点については是非知っておきたいところだと思います。

 本書巻末には著者直筆による「in Bocca al Lupo !」(直訳で「狼の口に気をつけて」−狩りに行く人や舞台に立とうとしている人、難事に立ち向かう人への声援の言葉)があります。「細かいことは気にしないで、美味しければそれで良いんだから。おおらかに美味しいイタリア料理を作って」というエール(はなむけの言葉)なのです。

 これに対する返事の決まり文句は「Crepi il Lupo!」ありがとう!(直訳で狼なんか死ぬがいい!)

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基本ソースでレパートリーは10倍に!

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 赤坂「グラナータ」の料理長の時代から、在日イタリア人に「マンマの味」と絶賛された落合シェフが97年9月に銀座にオープンしたイタリア料理店「ラ・ベットラ」は半年以上先まで予約が取れないほどの繁盛ぶり。「グラナータ」へは何度も足を運び、シェフの作られるおおらかでパンチのきいたイタリア料理の数々にいつも幸せに満ち足りた時間を過ごしたものでした。まだまだ「ヌオーバ・クチーナ・イタリアーナ」全盛の日本では、ダイナミックで元気の出るイタリアの家庭料理を食べられるお店が少ない中、在日イタリア人が足繁く通うのもうなずけます。

 たいていイタリア料理の本といえば、アンティパスト(前菜)、パスタなどのプリモピアット、メインディッシュであるセコンドピアット、デザートという順番で料理の作り方を解説しているものですが、本書ではそんなことにはお構いなく、「にんにくと赤唐辛子」「パン粉」「7つの基本ソース」「冷やご飯」といったベースがまず呈示され、それらをどうやって具体的なメニューに展開していくかを解説しています。「基本を抑えれば、レパートリーは無限に」という考え方は玉村豊男の名著「料理の四面体」(文春文庫)とも共通しています。
 
 もちろん「ラ・ベットラ」ではこうしているという話も出てきますが、『もっと自由にのびのびと』という副題の通り、いかに家庭で手軽に本格的で多彩なイタリア料理を楽しむかに主眼が置かれています。

 中でもお役立ちは、7つの基本ソース。トマトソース、ラグーソース、バーニャカウダソースなどの作り方を写真付きで初心者にも分かりやすく解説した上で、それぞれ数種類のメニューへの展開の仕方が説明されています。そのアイデアには、上級者にも「なるほど」と思わせるものがあります。

 例えばペストジェノベーゼソースについて見るとパスタはもちろんのことシーフードサラダ、カナッペ、牛ヒレ肉の網焼きペストジェノベーゼ風味からチャーハンまで前菜からメインまで様々なバリエーションの料理が紹介されています。何よりありがたいのはこうしたソースは作り置きが可能ということ。冷蔵庫に今ある食材で何を作ろうかと考えるとなかなか思い浮かばなかったりしますが、トマトソースがあるけど何を作ろうかと考えてみるとペンネ・アラビアータ、肉団子のトマト煮、赤・黄ピーマンのトマトソース煮、トマトソースのボンゴレ・・・・といった具合に不思議とお料理が浮かんできます。本書はちょっとした発想の転換で変幻自在に姿を変えてくれる料理の楽しさを教えてくれます。

 手持ちのレシピがどんどん増えていってだんだんと整理がつかなくなって来ている方もいらっしゃると思います。レシピのメモをひっくりかえして、ああこんな料理もあったっけと思うことありますよね。本書にならってソース別とかポイントとなる食材別にレシピを整理し直すのも、レパートリーを増やすのに役立つ方法かも知れません。本書ではこの他に身近な食材を使ったレシピや、パン粉を使った目新しいレシピなども紹介されています。プロならではのテクニックに新しい発見がたくさんありますので、お料理のベテランの方にも是非おすすめしたい一冊です。

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四季のある日本だからこそおいしいイタリアン後編

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 本書は春夏秋冬と四季別にレシピを解説しています。
 「秋編」秋といえばキノコ
 色々な材料をベシャメルソースと型に流してオーブンで焼いた料理が「スフォルマート」。さつまいも、しめじ、クルミを使った「さつまいもと木の実のスフォルマート」は日本ならではのベストマッチな組み合わせ。ゴルゴンゾーラを入れたところが斬新。
 「冬編」冬は根魚(磯場の魚で泳ぐのが下手なカサゴ、オコゼなど)がおいしい季節。
 「魚介の煮込み」は、コーンミールをまぶして焼いた魚をブイヤベース仕立てに。コーンミールが美味しいだしを吸ってくれてスープごと味わえる。計算しつくされた満足の 一品。パーティー・シーズンにぴったりの身も心も暖まる料理も多数。
 「春編」自然の息吹がもっとも感じられる季節。
 「野草のリゾット」は春の七草のリゾット。七草ってお粥以外で食べたことあります? リゾットとおかゆって遠い遠い親戚みたいな感じだけれど、これは考えつきそうで考えつかない。逢えて良かったねって感じです。
「夏編」真っ赤なトマトやバジルがわんさかと畑を賑わします。
 トマトとモッツアレッラを重ねたカプレーゼは定番のアンティパスト。確かに美味しいけれど、もうだれも驚かない。グリルしたナスを重ねドレッシングをかけた6段重ねの「米なすとトマトのカプレーゼ」が豪華。バジルが使い切れないほど採れたからって、シャーベットにするって発想はふつうでてきませんね。でも作っちゃいました「バジルのソルベ」。

 初めて著者の料理を口にしたのは数年前に通っていたモンテ物産主催のイタリア料理教室。その時の講師の一人が山田シェフでした。人なつこい笑顔と軽快な話術が「なんかイタリア人みたい」と生徒の間でも人気急上昇。何よりも料理がとにかく感動的に美味しい。自称「都会嫌い」の著者が、緑豊かな土地で店を構えたいと思う気持ちが、本書を手にして初めて理解できた気がします。都会では新鮮な食材が手に入りにくい。ならば自分で作ろう。「でもこんなことイタリアでは当たり前のことだよ」と全くの自然体。その日出逢った素材と相談しつつ生まれる独創的な料理。日々土にふれ、自身で育て上げた食材に愛着を持てるからこその結果かもしれません。イタリア料理の本なのに、なぜか「日本人に生まれて良かった。四季折々の旬が味わえる日本はすばらしい」と思ってしまいました。

 新鮮な旬の食材を使った季節のイタリアンを楽しんでみてはいかがでしょうか。生パスタやフォカッチャ生地の作り方は初心者の方には解説が少し足らない気がしますが、その他はレシピ通り作れば美味しく出来ると思います。素材同士の意外な組み合わせも参考になります。巻末にドレッシング、ブロード、トマトソース、ボロネーゼソースなど「基本のブロードとソース」の詳しいレシピがあります。これをマスターできれば鬼に金棒。是非チャレンジしてみて下さい。

インタビューはこちら

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紙の本イタリア料理教本 下

2001/02/15 14:25

イタリア食の悦楽イタリア語に翻訳したらイタリア人シェフも飛びつくんじゃないの?後編

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 下巻は「肉」「畜肉加工品」「乳製品」「豆」「きのこ」「野菜」「香草」「スパイス」「果物と菓子類」について、上巻同様に詳しい解説が施されています。ひとくちに「肉」といっても、その種類と部位、成長の度合いによってもかなりの数で分類されますので、その料理のバリエーションは数え切れないほど。肉の歴史の部分では「えっ!」と驚くような動物の肉を食べていたりして、食文化の違いに驚いてしまいます。扱い方の注意点や付いた料理名の由来などの解説もあり、「肉」だけで100ページも割ていることからも、内容の密度の濃さがおわかりいただけるのではないでしょうか。巻末の「イタリア各州の特徴と料理」では、気候、風土、産物、料理の特長、代表的な料理、祭りなどの行事、ワインなど、イタリアの食文化を語る上で欠かせない詳しい資料もあります。

 昨今、本国イタリアでは、優れた料理学校がない現状と、基本的な料理についての歴史を理解している料理人が少ないということから、レストランのレベルの低下に危機感を募らせています。イタリアで初めてミシュランの三ツ星を獲得したグァルティロ・マルケージは、雑誌のインアビューで「基本を学んでいないシェフの作る自分流の料理はとてもおかしな料理になっている。優れたプロの料理人達が創作に走り、ふわふわとした風船の様にどんどん高く飛んでいってしまうのを、たまにはひもをもって地上に下ろし、現実を見極めさせることが大切だ」と答えています。彼はイタリア料理界にヌオーヴァ・クチーナ・イタリアーナの一石を投じ、その高い評価の裏側ではイタリアの伝統料理をないがしろにしているとの批判も浴びていましたが、芯のところでは伝統料理を重んじる巨匠の真価が垣間見えます。

 今、イタリアでは「クチーナ・クレアティーヴァ(創作料理)」から「クチーナ・ディ・テリトリーオ(地域料理)」へと移行しつつあります。これは、古典料理へ逆行しているのではなく、心あるプロの料理人達が新鮮な素材を求め地元に目を向けた結果、その土地に根ざした郷土料理にヒントを得て伝統を守りつつ新しいイタリア料理を構築しようというものです。

 本書はイタリアン初心者の方にはレシピの部分がちょっと難しいところもあるかも知れませんが、調理技術面以外のところでも、ぎっしりと情報が詰まっていますので、これからイタリア料理を学びたい方にも是非持っていて損はないはずですし、イタリア料理にのめり込めば遅かれ早かれ欲しくなる本だと思います。本書はタイトル通り結構お堅い本です。値段も安くはありません。でも、何しろバイブルですから一生ものです。是非、上下巻合わせてお手元において頂きたいと思います。

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紙の本イタリア料理教本 上

2001/02/15 14:21

イタリア食の悦楽イタリア語に翻訳したらイタリア人シェフも飛びつくんじゃないの?前編

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 下巻は「肉」「畜肉加工品」「乳製品」「豆」「きのこ」「野菜」「香草」「スパイス」「果物と菓子類」について、上巻同様に詳しい解説が施されています。ひとくちに「肉」といっても、その種類と部位、成長の度合いによってもかなりの数で分類されますので、その料理のバリエーションは数え切れないほど。肉の歴史の部分では「えっ!」と驚くような動物の肉を食べていたりして、食文化の違いに驚いてしまいます。扱い方の注意点や付いた料理名の由来などの解説もあり、「肉」だけで100ページも割ていることからも、内容の密度の濃さがおわかりいただけるのではないでしょうか。巻末の「イタリア各州の特徴と料理」では、気候、風土、産物、料理の特長、代表的な料理、祭りなどの行事、ワインなど、イタリアの食文化を語る上で欠かせない詳しい資料もあります。

 昨今、本国イタリアでは、優れた料理学校がない現状と、基本的な料理についての歴史を理解している料理人が少ないということから、レストランのレベルの低下に危機感を募らせています。イタリアで初めてミシュランの三ツ星を獲得したグァルティロ・マルケージは、雑誌のインアビューで「基本を学んでいないシェフの作る自分流の料理はとてもおかしな料理になっている。優れたプロの料理人達が創作に走り、ふわふわとした風船の様にどんどん高く飛んでいってしまうのを、たまにはひもをもって地上に下ろし、現実を見極めさせることが大切だ」と答えています。彼はイタリア料理界にヌオーヴァ・クチーナ・イタリアーナの一石を投じ、その高い評価の裏側ではイタリアの伝統料理をないがしろにしているとの批判も浴びていましたが、芯のところでは伝統料理を重んじる巨匠の真価が垣間見えます。

 今、イタリアでは「クチーナ・クレアティーヴァ(創作料理)」から「クチーナ・ディ・テリトリーオ(地域料理)」へと移行しつつあります。これは、古典料理へ逆行しているのではなく、心あるプロの料理人達が新鮮な素材を求め地元に目を向けた結果、その土地に根ざした郷土料理にヒントを得て伝統を守りつつ新しいイタリア料理を構築しようというものです。

 本書はイタリアン初心者の方にはレシピの部分がちょっと難しいところもあるかも知れませんが、調理技術面以外のところでも、ぎっしりと情報が詰まっていますので、これからイタリア料理を学びたい方にも是非持っていて損はないはずですし、イタリア料理にのめり込めば遅かれ早かれ欲しくなる本だと思います。本書はタイトル通り結構お堅い本です。値段も安くはありません。でも、何しろバイブルですから一生ものです。是非、上下巻合わせてお手元において頂きたいと思います。

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