真 さんのレビュー一覧
投稿者:真
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紙の本アラジンと魔法のランプ
2000/09/27 17:16
本を開けば・・・、そこはめくるめく夢の世界!
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むかし、ペルシアの国に、アラジンという貧しい仕立て屋の若者がおりました。
ある時、アラジンは、魔法使いの導きで、何でも望みを叶えてくれる不思議なランプを手にします。ランプの魔神の力を借りて、美しいお姫様をめとり、豪華な宮殿で幸せな毎日を送っていたアラジンでしたが・・・。
「アラジンと魔法のランプ」といえば、言わずと知れた<千夜一夜物語>の一つ。
妻に裏切られ、世の女性すべてを憎むようになったシャフリヤール王は、一夜の妻とした女性をことごとく殺してしまいます。その王へ自らすすんで仕えた賢い娘シャハラザードは、王に毎夜おもしろい話を語って聞かせたのでした。話のつづきを聞きたい王は、娘を殺さずにおき、千一夜の後、心の傷がいえた王と娘とは、共に幸せな余生をおくったということです。
王の心の傷さえいやしたおもしろいお話が、イメージの魔術師ル・カインによって、すばらしい絵本になりました。
シンガポールに生まれたエロール・ル・カインは、幼少時代に日本や香港、サイゴンなどを転々とし、インドに5年ほど住んだとか。生涯をとおして東洋のエキゾチズムに惹かれたル・カインが、華麗な文様を駆使して描いた名作絵本。
本をひらくと、まるで夢の玉手箱を開けたように、繊細で優美な幻想の世界が広がります。
さあ、今夜はゆっくり身を横たえて、贅沢なアラベスクの夢を見ることにしましょう!
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紙の本ローワンと魔法の地図
2003/07/09 13:29
これぞ冒険ファンタジー!
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ある日、リンの村を流れる川の水が止まった。
川の水しか飲まない家畜のバクシャーを救うため、そして、村人の命を守るため、川の水が止まったなぞを解かねばならない。そのためには、おそろしい魔の山へ、誰かが行かねばならないのだ。
バクシャーの世話係ローワンは、人一倍からだが小さくて弱虫。大切なバクシャーのためとはいえ、とても魔の山へ行く勇気がない。ところが、不思議な力をもつシバばあさんからさずかった魔法の地図には、ローワンにしか導き出せないことばがあった。勇者の一員として魔の山をめざし旅立ったローワンだが・・・。
個性的な7人の勇者たち—双子のヴァルとエリス、男勝りのブロンデン、快活なアラン、理知的なマーリー、みんなのまとめ役ストロング・ジョン、そしてローワンは、はたしてそろって頂上にたどり着くことができるのだろうか?
魔法の地図をたよりに旅は進むが、行く手をはばむのは巨大なクモの群れや、底なし沼。次から次へと魔の試練が勇者たちをもてあそび、ハラハラドキドキのしっぱなし。そして冒険のラスト、山の頂上で待つのは、恐ろしい竜との対決だ!
ファンタジーに欠かせない要素がすべて盛り込まれた大サービスのストーリー。
だけど一味ちがうのは、勇者の中に、ひとり弱虫がまぎれ込んでいること。
弱虫ローワンは、バクシャーと村人の命を救い、真の勇者になれるのか?
1993年のオーストラリア最優秀児童図書賞を受賞した冒険ファンタジーがついに日本上陸。著者エミリー・ロッダは、今やオーストラリア児童書界のヒットメーカーだとか。今後の邦訳も待ち遠しくなる注目の一冊!
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紙の本タコボー
2001/01/29 18:36
読めば読むほど味が出る、井上洋介のナンセンスワールド!
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『タコボー』って、すごいインパクトあるタイトルでしょ?
インパクトがあるのは、タイトルだけじゃないんです。中身だってすごいんです!
つきよに たこが はまべに あがる
つきの ひかりで おどって みたが
おきの くじらが みてるだけ
「ふむふむ…。なんだ、こりゃ!?」と思ったら、ぜひぜひ読んでみて。
読み始めたら止まらない、不思議でたのしいナンセンス!
五七五のリズムに乗って、たこが踊るよ楽しいな。
あっ。いけない、いけない。
『タコボー』を読んだ後は、ついつい言葉が七五調になっちゃって。
子どもから大人まで楽しめる、井上洋介のナンセンスワールド。
みんなで読んで、楽しんで!
2000/11/28 15:02
大人気絵本『よるくま』の続編は、サンタさんからの贈り物!
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クリスマスの前の夜、サンタさんは来てくれるかな、と思っていたら…、なんとやって来たのは、よるくまでした!よるくまは、とってもかわいいぼくの友だち。夜みたいに黒くって、胸にはお月さまが光っているくまなんだ。
よるくまは、サンタさんって、知らないみたい。だから、ぼくがよるくまのサンタさんになってあげたんだ。サンタさんになったぼくは、よるくまに、おもちゃの飛行機をあげたよ。夜の空を、二人で飛行機に乗って、飛んだんだよ。なんてすてきなクリスマスの前の夜!
ママにいっぱいしかられちゃったぼくは、サンタさんが来てくれるかどうか、心配で眠れなかったんです。そんなぼくがサンタさんにお願いしようと思っていたのは、やさしいママにぎゅっと抱きしめてもらうことだったのかもしれません。
どんな子でも、クリスマスにおもちゃをもらえなくたって、いっぱいママにだっこしてもらえば、うれしい気持でいっぱいになります…よね!?
夜の黒と月の黄色が印象的な、すてきなクリスマスの絵本。
私は、サンタさんよりも、よるくまに来てほしいな!
紙の本ブループリント
2000/11/28 14:49
あなたはわたし=わたしはあなた
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クローン暦32年6月、スーリイは手記『ブループリント』を書き終えた。
「ブループリント」−白い紙にじかに焼きつけられた、青い色のコピー。
スーリイ(SIRI)は、イーリス(IRIS)のクローンとしてこの世に生み出された、クローン人間第1号だった!
類まれなピアニスト、そして作曲家として活躍するイーリスは、31歳で不治の難病におかされると、自分のクローン人間をこの世に残すことを思い立った。自分の才能、知識、財産を受け継いでくれる人間の中で、生き続けることを望んだのだ。
こんな馬鹿げた望みが、「馬鹿げた」ことでありつづけることを願わずにはいられない、おそろしい近未来小説の登場!
もしも自分がクローン人間だったとしたら、「わたし」は「わたし」の中に、「あなた」ではない「わたし」を見出すことができるだろうか?
紙の本かってなくま
2000/10/31 17:36
クマって、こわくて・・・、だけど、やさしい!
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ある日、くまが草むらを耕しはじめました。
種をまいて、水をやり、さてさて何ができるのでしょう?
そこへ、森の仲間がつぎつぎとやってきて、たずねます。
「ねえ、何しているの?」
だけどくまは、そっけない言葉でみんなを追い払ってしまいます。
「かってなくま!」
みんな、あいそをつかせてそっぽを向いて行ってしまいました。
だけど、もうちょっと気を長くもって、待ってみてください。
ほら、クマがまいた種が、畑一面を花でおおってくれましたよ。
くまって、見かけがこわいでしょ。だから、ちょっとばかり損をしているみたいです。
冷たいことを言われても、通り過ぎずに立ち止まって、そっと見守ってあげてくださいね。
じっくり時間をかけて付き合えば、くまのやさしさが、きっとわかるはずですよ。
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2000/10/31 17:25
もしもペットが恐竜だったら?
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カースティとアンガスの姉弟が、嵐のあとの海辺で拾った、不思議なたまご。
持ち帰って、湯ぶねに入れておいたら・・・、なんと、生まれたのは、恐竜だった!
だけどこの恐竜、おじいさんのガミーに言わせると、スコットランドの伝説の中で「ケルピー」とか「水馬」とかよばれている精霊なんですって。
子どものころに夢見ばなしに聞いていた恐竜に出会えて、ガミーおじいさんは大感激。
いつもガミガミ言って、「ガミー」なんてあだ名が付いたガミーおじいさんが、すっかり気のいいおじいさんになって、メロメロになって世話をしている始末。
カースティーだって、アンガスだって、恐竜がかわいくって、仕方がない。
だけど、ぐんぐんぐんぐん大きくなって、人間の手には負えなくなって・・・。
皆さん、覚えているでしょ? あの、ネス湖の恐竜、○○○ー。
あれですよ、この恐竜って!
今でも、カースティやアンガスたちに付けてもらった名前を覚えているかもしれませんよ。
もし、ネス湖に行く機会があったら、湖に向かって大きな声で呼んでみてください。
「クルーソー!」って。
大きな水しぶきでこたえてくれるかもしれませんよ!
作者は、『ゆうかんなハリネズミ マックス』や『ゴッドハンガーの森』で知られるイギリスの児童文学作家、ディック・キング=スミス。
動物へのまなざしのあたたかさが伝わる楽しい作品。
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紙の本透きとおった糸をのばして
2000/09/29 15:44
友情について考えたこと、ありますか?
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中学2年生の香織(かお)は、ちなみといると、とても楽しい気分になれた。
しっかりしていてテニスがうまくてかわいいちなみは、何でもできる、頼りになる友だち。何をやってもそこそこの香織にとって、ちなみの親友であることは、誇りだった。
そしてちなみも、香織をかけがえのない友だちだと思ってくれていると、香織は信じていた。それなのに・・・。
あることをきっかけに、もつれてしまったちなみと香織の友情の糸。
ちなみの心を理解できない香織は、父の転勤に連れだってイギリスにいる母にも、いっしょに暮らすいとこの大学院生、知里(ちり)にも相談できず、一人思い悩んでいた。
そんなある日、香織と知里のおだやかな生活に、突然嵐が迷い込んだ。
知里の高校時代の友だち、るう子だ。なんと彼女は、ふられた恋人を追って上京してきたのだった。
それから、なんとも奇妙な三人の共同生活が始まった。
読み終わったとき、充実感でいっぱいになった。
香織、知里、るう子・・・。
登場人物がみな魅力的。迷いながら、模索しながら、それでも前を向いて生きている彼女たちの姿に、元気づけられる読者も多いはず。
第40回講談社児童文学新人賞受賞作ということだが、無理のない、のびのびした描きぶりで、著者の今後を期待させるみずみずしい作品。
とにかくオススメの一冊。
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紙の本夏の終わりに
2000/09/21 14:07
思い出の夏がここにある
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ヘイヴンの15歳の夏休みは、最悪な幕開けだった。
ママと離婚したばかりのパパが、お姉ちゃんとあまり年のかわらない若い相手と結婚することになった。ママと暮らすヘイヴンと姉のアシュリーも、二人の結婚式に親族として出席しなきゃいけないのだ。
おまけに、お姉ちゃんの結婚式もせまり、このところお姉ちゃんはヒステリーをおこしてばかり。ママは、お姉ちゃんのご機嫌をとるため毎日オロオロ。
そしてなによりユウウツなことは、毎日ヒョロヒョロ伸びつづける私の背だ。
自分の意志に関係なくぐるぐる変わっていく生活の中で、ヘイヴンの不満は、もう爆発寸前! さあ、この夏休みはどうなるの?
少女と大人の間のわずかな時間が凝縮されたこの一冊を、今年の夏を思い出しつつ読んでみてはどうでしょう? よい思い出がなかった人はなおさら、この本を読めば、たちまち今年の夏がすばらしい思い出の夏となることでしょう。
1997年アメリカ図書館協議会の最優良図書(ヤングアダルト部門)に選ばれただけあって、読み応えも充分。忘れられない夏の思い出のように、心に深く沁み入る一冊です。
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