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丸善 丸の内本店書店員レビュー一覧3ページ目

丸善 丸の内本店書店員レビューを75件掲載しています。4160件目をご紹介します。

検索結果 75 件中 41 件~ 60 件を表示

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

丸善
丸善|丸の内本店

楽園の蝶 柳 広司 (著)

楽園の蝶

著者は「ジョーカーゲーム」で…

著者は「ジョーカーゲーム」で多くの読者をつかんだミステリー界の鬼才・柳広司。舞台は1942年満州国に作られた幻影城市、満州映画協会。大杉栄を虐殺した甘粕、謎のドイツ帰りの女性監督桐谷サカエ、中国人学生陳雲、倉庫を管理する謎の老人渡口などそれぞれ謎の過去をもつ個性豊かな登場人物が主人公英一をこの夢の楽園で取り囲み翻弄していく。居場所を失い迷い込んだ映画の楽園で夢を追いかけるも、物語は野望、陰謀が交錯し思いもよらぬ展開を見せ、秘められた姿を暴きだしていく。

この時代は読者にとっても謎にみち興味そそられるものがある。多くの小説で取り上げられる題材ではあるが、柳広司さんのこの作品はクライマックスの迫力、希望を心に残させるエンディング、エンターテイメントとして十分に楽しめる作品だと思う。

ぜひまた別の切り口からもこの時代をまた書いてくれることを期待したい。


(評者:丸善 丸の内本店 文芸担当 三瓶ひとみ)

丸善 丸の内本店店員

書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

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丸善|丸の内本店

クオリティピッチング 頭脳で「精密機械」はつくれる 黒田 博樹 (著)

クオリティピッチング 頭脳で「精密機械」はつくれる

MLBの名門ニューヨーク・ヤンキースに…

MLBの名門ニューヨーク・ヤンキースに所属する先発投手、黒田博樹。黒田は2013年のシーズンを通しローテーションを守り、勝ち星は伸びなかったものの実質的なエースの働きをしたと言える。普段MLB中継を観ていると、投手の失投を各打者が簡単にスタンドに放り込むシーンをよく見るが、そんな打者を手玉にとるかのような黒田のピッチングを見ることもしばしばあった。本書では、そんな彼が毎試合マウンド上でどのように考え投げているかが語られる。

印象的だったのは「コントロールがいいように見せられるようになっただけで、自分は決してコントロールのいい投手ではない」と言っている点だ。そう打者に錯覚させることで、難しいボールを打ちにいかせたり、甘いボールを打ち損じさせたりしているのだという。投手が素直にど真ん中に投げれば簡単にホームランを打たれてしまう世界だ。打者に対して心理的に優位に立ち、打者を幻惑し、打者とのかけひきの中で打ち取っていくことで、フォアボールが減り、球数が減り、長いイニングを投げることができる。その結果、MLBにおいて先発投手が最も評価される、クオリティ・スタート(6回を3失点以内に抑える)をクリアしつつ、年間を通してローテーションを守ることができた。

そんな黒田のクオリティピッチングを来年もヤンキースで見られるのか、MLBの別のチームになるのか、はたまた広島カープに戻ってくるのか、楽しみである。


(評者:丸善 丸の内本店 人文書担当 喜田浩資)

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書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

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寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち 目黒寄生虫館 (監修)

寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち

あなたは、世界で唯一の…

あなたは、世界で唯一の寄生虫博物館が東京の目黒にあるのをご存知でしょうか?そんな目黒寄生虫館が監修をつとめる、これまた世界で一冊しかない寄生虫ビジュアルブックが本書なのです。「寄生虫」だなんて聞くだけでウワッ、気持ち悪い!なんて思う方もいるでしょう。そんな人でも、この本は思わず手に取ってみたくなるはずです。まずは美しい装丁。鮮やかな黄色のページをめくると、細密な寄生虫や動植物のイラスト。そうして開いてしまったらもう、文章の内容を読まずにはいられないような興味深げな見出しが並びます。

そもそも寄生虫ってなんなのでしょう? 衛生環境の改善により、わたしたちの誰もがおなかの中に寄生虫を持っていた時代ははるか遠いものとなりましたが、よく知られたサナダムシからビジュアルのおぞましさゆえゾワゾワ鳥肌必至なアニサキスまで、私たちの身近には今でも実に多くの寄生虫がいます。しかし、多くの人が寄生虫の実に興味深い一生を知らないでいると思います。

目黒寄生虫館館長の小川さんいわく、寄生虫館ができた当時より現在のほうがずっと多くの来館者があるそうです。その理由は、実物の寄生虫という「非日常」を覗きに来ているからかもしれない、ということでした。

身近なようで非日常。この本には、めくるめく不思議な寄生虫の小宇宙が広がっています。


(評者:丸善 丸の内本店 理工書担当 山口静香)

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書店員:「丸善 丸の内本店」のレビュー

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おしゃれの幸福論 光野 桃 (著)

おしゃれの幸福論

90年代、女性誌を中心に…

90年代、女性誌を中心に活躍されていた人気エッセイスト光野桃さんによる、久々のファッションエッセイです。
「この日を待っていた!」という読者も多かったのでしょう。発売して1ヶ月あまりですが、何度も刷を重ねています。

歳を重ねると、外見にも内面にも変化が訪れますよね。好きだった服がなんだか似合わなくなったり、今までと同じようにおしゃれをしていても自信が持てなかったり、買い物をしても心が晴れなかったり・・・。そんな経験のある女性には、ぜひ手にとっていただきたいです。

今書店では、スタイリストやタレントの方による教科書のようなファッション本がちょっとしたブームです。そういう本はとても役に立ちますが、流行のコーディネイトを試したり、誰かの真似をしてみても、もやもやした違和感からは救われません。おしゃれを通して、自分の内面と向き合い、一歩前に進む勇気を、きっとこの本は与えてくれます。

「私のために書かれた本。」読み終わってそんな風に感じました。たくさんの女性のお客様と、この本に出会えた喜びを分かち合いたいと思っています。


(評者:丸善 丸の内本店 文芸書担当 高頭佐和子)

丸善 丸の内本店店員

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原典でよむ日本デモクラシー論集 堀 真清 (編)

原典でよむ日本デモクラシー論集

「原典でよむデモクラシー論集」のタイトルで

「原典でよむデモクラシー論集」のタイトルで私が予想したのは、政治学者による論文集でした。予想は外れ、政治学者が書いた論文ばかりでなく、幅広いジャンルの人の文章が集められています。どの人も直接的に民主主義について論じているのではないので、「これもデモクラシー論であるのか」と素人らしく感心させられました。

民主主義という言葉は勿論、知っています。では、「それは何か?」と問われると説明はできないのです。但し、私などが言うまでもなく、民主主義とは多数決のことではありません。少数者や弱者の声が届かないからといって、見過ごしにされることは、民主主義に反します。この本には、当たり前に生きる権利を奪われた人達についての発言も少なくありません。ともすれば、片隅に追いやられ、黙殺されている人達の存在を忘れて過ごしがちですが、そんな平和呆けした自分を自覚させてくれた本でした。


(評者:丸善 丸の内本店 和書グループ1階 伊藤美保子)

丸善 丸の内本店店員

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LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲 シェリル・サンドバーグ (著)

LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲

この本は原著が…

この本は原著がずっと洋書のランキングで上位に位置していたので、これはいけると思って、はじめからおもいっきり仕入れて、店の一番目立つ所で展開した。これが大当たりで、ものすごい勢いで売れている。世界で一番パワフルな女性といっても過言ではないシェリル・サンドバーグのことを注目している人も多いのだろう。

彼女の経歴を紹介する。ハーバード大学の経済学部を首席で卒業し、クリントン政権で首席補佐官として、サマーズ財務省長官の片腕として働く。その後Googleでは副社長のひとりとして株式の上場に貢献。その功績を買われて、マーク・ザッカーバーグに請われ、フェイスブックに入りCOOを務めている。本当に凄まじい経歴である。

そんな彼女がいったいどんなことを考えているのか?興味を持っている人も多いはずだ。彼女の言い分はこうだ。現実問題として世界を動かしているのは男である。世界はいまでも男女平等と言える状況にはなっていない。この状況を改善するためには、もっと男性には女性への理解を高めてほしい。そしてもっとたくさんの女性が、会社で高い位を占めるようになれば、より世界はよくなるし、女性の待遇ももっとよくなるであろうと。全体的に女性向きに書かれた話だが、ぜひとも男性にも読んで貰いたい。タイトルの『LEAN IN』というのは「勇気を出して身を乗り出そう」という意味である。女性だけではなく、男性にもリーン・インしてもらいたいものだ。


(評者:丸善 丸の内本店 ビジネス書担当 田中大輔)

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すごい宇宙講義 多田 将 (著)

すごい宇宙講義

反物質なんて、SFに…

反物質なんて、SFに出てくるような話かと思っていたが、実はすでに医療などで産業利用されているのだという。ちなみに1グラムの粒子と1グラムの半粒子をぶつけると、広島型原爆3発分という、とんでもない大きさのエネルギーになるそうだ。

著者の専門は素粒子物理学で、茨城県にある高エネルギー研究所(KEK)で素粒子物理学の研究をしている。著者が研究しているニュートリノは、パウリが予言してから26年後に見つかり、ブラックホールやビッグバンも予言されてから、それが実験で確認されるまでに、多くの時間がかかっている。

著者は言う。「科学においては、より重要なのは結果ではなく、過程のほうである。なぜか? 科学の歴史は今も現在進行形で書き換えられているから、結果はその都度修正されるが、そこに到る考えかたは応用が効くから」

この本では、人類が宇宙をどのように考え、それをどのように確かめてきたのか、その過程と結果が書かれている。


(評者:丸善 丸の内本店 語学書担当 工藤吉隆)

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西武と巨人のドラフト10年戦争 坂井 保之 (著)

西武と巨人のドラフト10年戦争

長嶋、王というスターとともに…

長嶋、王というスターとともにV9を達成し二人の引退後も球界の盟主であろうとした読売巨人軍。しかしその後に迎えた80年代は、巨人V9後に誕生した新興チーム西武ライオンズが黄金期を迎え日本シリーズでも巨人を下し盟主交代かとプロ野球ファンは思っていた・・・。西武はそれでも盟主気取りの巨人に敢然と戦いを挑み、すべてにおいて勝つことができたので黄金期を築いたのである。

強いチームには優秀な選手が必要であり、その争奪戦を制したことが特に大きい。情報操作や金銭などでの選手本人や親族、関係者の抱きこみなど選手争奪戦の舞台裏の真実を当時の球団代表と近くで見ていた記者が明かす。その戦いが江川事件の屈辱に端を発したのは驚いたが、清原・桑田のドラフトの裏舞台でも駆け引きやその執念のすごさに驚かされる。

両チームともオーナーの個性が強かったが球団フロントの体質が違い、オーナーの口だしにイエスしか言わない巨人とノーを言うこともある西武。さらに巨人には政治力があり規約も変えることができたので有利なはずであったが、それでも西武が強かったのは球団フロントのその差が出たのである。その後は巨人有利に規約も変わりフリーエージェントで全盛期の有利選手を集める巨人のひとり勝ち感が強くなってしまい残念である。


(評者:丸善 丸の内本店 2F売場長 片田英伸)

丸善 丸の内本店店員

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行って見て聞いた精神科病院の保護室 三宅 薫 (著)

行って見て聞いた精神科病院の保護室

皆さんは精神科病院…

皆さんは精神科病院の保護室にどの様なイメージを持っていますか?
それとも保護室というよりも戦前に使われていた隔離室という呼び方に聞き覚えがないでしょうか?
皆さんの中には映画やテレビドラマで観た、「部屋が薄暗い」、「壁がコンクリートで鉄格子の窓」などといった暗い、閉鎖的な印象を持っている人が少なくないはずです。また、隔離室という名前自体には何か隠されている非人道的な印象を感じます。

本書は保護室の内部について詳細に書かれた初となる書籍です。臨床と教育の現場を交互に経験された精神科の看護師さんの目から保護室自体に特化して書かれていています。そのため、「保護室内部の写真やイラストを多用」したり、「患者や医療者のためにある部屋の細やかな工夫」が丁寧に書かれていて、医療現場の雰囲気を伝えることに成功しています。

部屋を観ればその人となりがわかると言いますが、本書は「保護室を観れば精神科医療がわかる」と言える1冊です。


(評者:丸善 丸の内本店 医学書売り場担当 工藤誠也)

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旅立つ理由 旦 敬介 (著)

旅立つ理由

南米そしてアフリカを…

南米そしてアフリカを舞台にした珠玉の短編を門内ユキエさんのイラストがエキゾチックに彩る。何故人は旅にでるのか。日頃のストレスをはらすため、大半の人はそんな事を考えているかもしれない。短い旅行の期間でいかに楽しめるか、快適に過ごせるかが大切なのだろうか。しかし何も考えず、旅にでる、そして思わぬハプニングに巻き込まれる、相手に苛立つ、そしてその中で妥協し友達になる。それこそ旅に出る意味があるのではないだろうか。子供を一人にしてしまった。父親は一瞬後悔するが成長した子供の姿をみてこれで良かったと思う。絨毯を売りつけられる。もちろん旅先でそんな荷物はごめんだ。彼は酷くがっかりするが、店の流れていた曲が気になった。それを買うのを手伝ってくれというと彼は元気をとりもどした。
人によって行きたい場所も長さも違うだろうが、この本を読んでぜひ自分に合う旅を見つけて欲しい。


(評者:丸善 丸の内本店 三瓶ひとみ)

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お望みなのは、コーヒーですか? スターバックスからアメリカを知る ブライアン・サイモン (著)

お望みなのは、コーヒーですか? スターバックスからアメリカを知る

スターバックスで一杯の…

スターバックスで一杯のプレミアムコーヒーを環境に配慮されたカップで求めることは、本当の自分を取り戻す安らぎの時を、途上国の環境・労働・人種問題への参画を、パッケージとして“買う”行為なのだ。現代アメリカにおいては“買う”という行為を通してしか人々のステイタス・クラス・アイデンティティを確かめる術がなくなっている。そこには国家の、そして公共の組織と人々を仲介するコミュニティの弱体化、そのことによるアメリカ民主主義を支えてきた人々の政治参加意識の後退が背景としてある。

一杯が提供する本物志向、社会への参画はしかし“真正な”それを保証するものではない。それはあくまで“マーケティング戦略”であり、企業論理が布かれている。そのことを著者自らが広く深く取材し分析、論究していくのだが、あくまでテーマはスターバックスを通して現代のアメリカにおける人々と公共の組織・現場とのつながりのあり方を照射することだ。スターバックス批判本として読めてしまう表現も多いが、著者の企図を読み間違えては、この本から得るものは少ない。


(評者:丸善 丸の内本店 宮野源太郎)

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ときめきの観光学 観光地の復権と地域活性化のために 澤渡 貞男 (著)

ときめきの観光学 観光地の復権と地域活性化のために

当たり前に観光…

当たり前に観光という言葉を使っているが、観光地の成り立ちや移り変わりについて、考えたことはなかった。
私にとって観光とは、ある目的地に行き、名所を見物したり温泉に浸かったりして、名物を食べ、宿泊をして、ご当地ならではのお土産を買うというぐらいのことだった。

この本はどのように観光地が誕生したかということに始まり、観光資源による観光地の分類、観光地の変遷と盛衰、テーマパークの明暗など、言われてみれば成程と思うようなことが書かれていて、分かりやすく読んだ。

そういえば子供のころ、電鉄系の遊園地がいっぱいあり温泉地の旅館は、部屋数が多くて、大宴会場があった。今、遊園地はテーマパークと呼ばれ、輝きを失わないのはディズニーランドぐらいだ。著者はディズニーランドの成功理由を観光学的に考察、分析していて私のような素人にも納得できた。

あとがきに「観光とはつまるところ、訪れる人にときめきの感情を起こさせるものでなくてはならない」と書かれているが、全くもって同感である。


(評者:丸善 丸の内本店 一般書売り場 伊藤美保子)

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快挙 白石 一文 (著)

快挙

直木賞作家の白石一文氏による…

直木賞作家の白石一文氏による夫婦小説です。ある夫婦が20代で出会ってから、40代になるまでの日々が描かれています。夢を持ち、互いを支え合うことのできる時期から、希望が絶たれ、気持ちが通わなくなる時期への移行が丁寧に描かれ、裏切りと許し、挫折と再生が時代の背景と共に語られていきます。

白石氏は今までも、人はどのように生きるのか、ということをテーマに小説を書いてきた作家ですが、今回の作品も、夫婦とはどういうものなのか、共に生きていくとはどういうことなのか、という問題を中心に、一人の男性の生きざまが描かれています。小説家を目指している主人公は、作中で「快挙」というタイトルの小説を3度執筆します。テーマは同じだけれどそれぞれ違う結末の3作の小説に、自分にとって「快挙」とは何か、考えずにはいられませんでした。

一昨年発売され話題になった「翼」(光文社)は、結婚というものを全く違うやり方で描いていますが、底に流れるテーマには共通するものがあります。「快挙」を読み終わると、こちらを再読したくなりました。未読の方は、ぜひ両方読んでみてください。


(評者:丸善 丸の内本店 文芸書担当 高頭佐和子)

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空想の建築 −ピラネージから野又穫へ−展 町田市立国際版画美術館 (編)

空想の建築 −ピラネージから野又穫へ−展

球体のガラス張りの建物…

球体のガラス張りの建物や空中庭園、そういったSFに出てくる未来都市がいつか現実になるのだろうかと幼少の頃考えていた人はきっと少なくないはずだ。空想の建築、それは実は古代の頃より人々が思い描いてきたものであった。

本書は、そういった現実には存在し得ない建築を古代から現代まで集めた図集である。そこには様々に自由な建築が描かれている。荘厳な装飾をくまなく施した神殿の内部、どこまでも天井の高いパサージュ、巨大な樹木を内包したガラスの建築。何故私たちはこういった「あり得ない」建築に心惹かれるのだろうか。

それは、本書の言葉を借りていえば、「現実の建築」が創っているのは、我々の現実の「生活空間」であり、それがどんなに美しく作られていても常に「不完全」であり、「理想的」な空間ではない。だから、私たちは「建てられなかった建築」に理想的空間のイメージを重ねているのである。

理想と現実はいつもすれちがうけれど、だからこそ空想するのは面白い。本書をめくれば、どこにもない世界を旅行しているような気分が味わえるはずです。


(本書は町田市立国際版画美術館にて開催中の「空想の建築―ピラネージから野又穫へー展」をもとに構成されています。期間は2013年4月13日―6月16日まで。)


(評者:丸善 丸の内本店 理工書担当 山口静香)

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起業家 藤田 晋 (著)

起業家

若い世代に絶大な人気を誇る…

若い世代に絶大な人気を誇る藤田晋社長が、サイバーエージェントの成長と苦難を赤裸々に告白した本である。ネットバブル崩壊後、買収危機にあったサイバーエージェント。そのことは前著『渋谷で働く社長の告白』に詳しい。

その後、社長本人が自らメディア事業のトップにたち、2年で黒字化しなかったら、社長を退任するという背水の陣を引いて、メディア事業を黒字化するまでの過程が描かれている。その間に訪れた第二のネットバブル。そしてライブドアショック。盟友である堀江貴文さんが逮捕され、保釈されたときの交流の話には胸が熱くなった。

またサイバーエージェントの経営手法にも注目だ。旧来の日本的経営を参考にし、社員を大事にすることを重視している。時代に逆行しているようにも見えるが、終身雇用を目指し、社内の飲み会を推奨する。(目標を達成した部署には飲み代が支給されて、さらに翌日の半休までついてくる!)といった、高度経済成長期の日本企業がおこなっていたような経営を実践している。こういう企業のあり方が日本のスタンダードになればもっと、皆が幸せになれる気がする。

「全ての創造はたった一人の『熱狂』から始まる」これは幻冬舎の見城社長から、藤田晋社長に送られた言葉だ。不可能を可能にするのが起業家という職業だという。この本を読んで、起業家を目指そうと思う人が一人でも増えれば、世の中はいまよりもっとよくなるに違いない。


(評者:丸善 丸の内本店 1階売場長補佐 田中大輔)

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10.8 巨人vs.中日史上最高の決戦 鷲田 康 (著)

10.8 巨人vs.中日史上最高の決戦

長いペナントレース…

長いペナントレースの最終戦で同率首位の2チームが直接対決、勝てば優勝という注目の一戦。1994年10月8日のこの試合はプロ野球中継史上最高の視聴率をマークしたが、結果的には巨人が先発3本柱を投入し中盤から押し気味に進めて6-3で快勝であった。しかし同率首位決戦であるだけでなく注目すべきドラマが多々あったのだ。

前年までは中日の4番であった落合が相手の巨人の4番という因縁のうえ、さらにホームランまで打つ。だがそれだけではなく、その裏にあるストーリーとしてこの日に対決する絶対的エース・今中との駆け引きは、試合の遥か前に始まっていたという話など関係者を綿密に取材し、「最高の試合」をスコアや記録以上の深いものにしている。

ここに登場する役者は巨人監督の長嶋茂雄、若き松井秀喜、現巨人監督の原、立浪、桑田などと役者は揃っているからドラマになることが当時もわかってはいたが、あれから18年以上たった現在だからこそこうして検証してみるとよりドラマの深さや凄さがわかる。その後、彼ら登場人物たちがさらにすばらしい成績を残して引退し、当時よりもさらに名選手、名監督として凄みを増して記憶されているからである。この時期に出して正解である。


(評者:丸善 丸の内本店 2階売場長 片田英伸)

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ビールを〈読む〉 ドイツの文化史と都市史のはざまで 森 貴史 (著)

ビールを〈読む〉 ドイツの文化史と都市史のはざまで

日本でも最近では…

日本でも最近では、地ビールあるいはクラフトビールと呼ばれる個性的なビールが各地で作られるようになり、気軽に飲めるようになってきた。ビールの本場ドイツでは、全土に個性的で歴史ある醸造所が点在している。日本でいえば日本酒や焼酎の蔵元のようなものだろうか。

ドイツでは小さな地方の醸造所であっても、中世に遡る歴史を積み重ね、地元の人に愛されるビールがつくられてきた。物の大量生産・消費、人の大量移動の現代において、小さな醸造所は淘汰され、大手メーカーに生産が切り替わってしまったブランドも多いようだ。とはいえ今も残る醸造所の建物や、ビンのラベル、コースター、そしてビールを飲む人々の記憶には各地の歴史がつまっている。

著者が各地の醸造所を訪ね、ロゴに隠された歴史を紐解きながら、ビールの狭間に埋もれているドイツの各都市の歴史を〈読む〉のが本書である。ドイツには「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」という滑稽譚があり、そのなかには主人公が醸造所でいたずらをしたり、居酒屋でビールを飲み逃げしたりといったビールにまつわる逸話がある。それだけ中世の時代から人々の日常にビールが欠かせなかったのだろう。

本書を読むに際にはビール、それもちょっと高めのドイツのビールを片手に読むことをお勧めしたい。まさに麦とホップの香り立つ一冊だ。Ein Prosit!(乾杯!)


(評者:丸善 丸の内本店 人文書担当 喜田浩資)

丸善 丸の内本店店員

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奇跡の音8000Hz英語聴覚セラピー 篠原 佳年 (共著)

奇跡の音8000Hz英語聴覚セラピー

売れている。当初の予想を…

売れている。当初の予想をはるかに超えて売れている。

本書は、従来の英語の発音やリスニングの本とは異なる。著者の本業は医師であり、モーツアルト療法の専門家でもある。その現場で実践する聴覚セラピーが、英語学習にも有効らしい。英語が聞き取れないのは、ネイティブが早口だからではなく、日本語と英語では、使っている音の周波数帯域が異なるためだという。我々は、母国語を聞き取りやすくするため、その周波数の範囲に耳をチューニングしており、ほとんどの日本人はチューニングの合わないラジオ(耳)で、英語を聞いているのだ。これでは聞き取れないわけである。

ここで聴覚セラピーの出番だ。本書付属のCDで8000Hzの高周波音を聞くことで、耳そのものを生まれたときの状態にリセットするのだ。
8000Hzは、胎児がおなかの中で聞くお母さんの声と同じ周波数でもあり、癒しの効果も期待できるらしい。
リスニングに多くの時間を費やしてきた人たちにも受けているようだ。


(評者:丸善 丸の内本店 語学書担当 工藤吉隆)

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謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア 高野 秀行 (著)

謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア

未確認生物を探し…

未確認生物を探し求めたり、アヘン王国に潜入したり、異端ノンフィクション作家高野秀行の最新刊は本のボリューム以上に内容の濃い傑作だった。ソマリランドと聞いても殆どの人はピンとこないだろう。紛争の耐えないアフリカのエチオピアの北にある崩壊寸前の地域に平和を維持している『地上のラピュタ、ソマリランド』がある。
嘘のような話だが、もちろん著者はあまり情報も集まらないまま事実を確認すべく出発した。

あまり興味のない人でも複雑な氏族を日本の平氏や藤原氏などに置き換えてわかりやすくしてくれる。この置き換え手法は隣接するこの地域の関係をわかりやすく解説するのにも役だっている。著者が出逢うソマリ人も個性の強いおかしな人びとがいて、大いに楽しませてくれた。
かなり危険な状況に陥っているのに、不謹慎にも読んでいて笑いが出るのは不思議だ。そして平和なソマリランドだけでは書けないと『海賊国家プントランド』『戦国南部ソマリア』にも行ってしまうがまだまだ高野秀行のソマリランドの探求は終わってない。次作を楽しみにしたい。


(評者:丸善 丸の内本店 三瓶ひとみ)

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世界の美しい鳥 上田 恵介 (監修)

世界の美しい鳥

表紙を見た瞬間、色彩豊かな…

表紙を見た瞬間、色彩豊かな着物を身にまとったかのような鳥の姿に目が釘付けになった。中を開いてみると、まるで架空の生き物のように美しい180羽の鳥たちがいた。

はっとするほど鮮やかで、思わず笑みが浮かんでしまうほどに愛らしい。仲良く寄り添っていたり、鋭い視線で空を見つめていたり・・・。やわらかく可憐に彩られたライラックニジブッポウソウの羽毛の繊細な美しさ。豪華なストールのようにきらびやかな羽を広げたインドクジャクの気高さ。真っ赤な嘴をしたヤマショウビンのおどけたような表情の愛らしさ。世界各地の鳥たちの見事な色あわせと羽が織りなす微妙なグラデーションにすっかり心をつかまれてしまった。

なぜこの鳥たちはこんなに美しいのだろう? 監修者によると、それは「捕食者に対する警告の信号」なのだという。なんとも言えない生命の不思議さに驚かされた。鳥にはあまり興味がなかったのだけれど、もっともっと彼らのことが知りたくなってきた。

世界にはこんなに美しい生き物たちが確かに存在し、しかも自由に空を飛んでいる。そう思っただけで心の中に灯りがともったように暖かな気持ちになる。直接見ることのできない鳥たちの存在が、なぜだか世界を身近にしてくれて、大切な人に見せてあげたいなあなんて、思ったりもしてしまう。


(評者:丸善 丸の内本店 文芸書担当 高頭佐和子)

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