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久生十蘭短篇選 みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー27件

みんなの評価4.4

評価内訳

27 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

明るい話は一つもありません。男は女を弄び、女は男を騙す。苦くて、人間はそんなに悪くはない!って思わず言いたくなってしまう。でも、ふ、と思うんです。もしかすると、これって本当かもって。信じたくはありませんけど・・・

2009/10/16 23:03

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

時代の影響をモロに受ける自分が情けないのですが、久生十蘭は私にとって神のような存在で、それは彼の小説を三一書房版の全集で初めて読んだことによります。先日も新たに国書刊行会から出版された久生十蘭全集に三一版には未収録の作品が多数あると知り激しく心揺さぶられましたが、我が家には三一書房版があるから、と無理矢理欲望を押さえつけたばかり。

そんな時、あの岩波文庫で久生の短篇集がでる、というのですからジュウラニアンの端くれと思っている私が飛びつかないわけにいきません。「黄泉から」「予言」「無月物語」「黒い手帳」「母子像」は全集やアンソロジーで再読しているものの有名な「ハムレット」ほどは内容を覚えていません。国書刊行会版は途中で止めてしまいましたが、今回の完読という目標はラクラククリア。

早速、カバー表の言葉のことばから愛でていきましょう。
             *
現役の作家のなかに
も熱狂的なファンの
少なくない、鬼才、
久生十蘭 (1902-57)
の精粋を、おもに戦
後に発表された短篇
から厳選。世界短篇
小説コンクールで第
一席を獲得した「母
子像」、幻想性豊か
な「黄泉から」、戦争
の記憶が鮮明な「蝶の絵」「復活祭」など、巧緻な構
成と密度の高さが鮮烈な印象を残す全15篇。
             *
まずは、この本の成り立ちが面白いので、解説の川崎賢子の言葉を引用しておきます。
             *
本短編集は、原則として初出紙誌を底本にした。
十蘭は執拗な改稿癖で知られ、異本が多いが必ずしもあとのものが完成形かというとそうともいえず、それぞれが独自の価値を持つ。
             *
がそれで、予想外です。何を底本とするかは全集の編集員たちがいろいろ苦労するところですが、「初出紙誌を底本」というのは珍しい。これは久生だからできることだと思います。要するに初出の時点で完成度が高い。だから改稿されたものは、単なる加筆修正ではなく、別の作品として受け止めることができる、そう川崎は考えました。

これはコロンブスの卵です。と同時に見識でもある。おまけに「初出紙誌を底本」という方針で臨めば、校訂作業がなくなるのですから一石二鳥。ついでに書いておけば、川崎の解説は実に丁寧で内容が濃く、これだけで久生文学がどういうものかが理解できる優れものです。逆に言えば、ここまで書かなければその意義が理解されないような知名度のない作家、とも言えます。

ジュウラニアン、ジュラニアンが「選ばれた幸福な少数者としての久生十蘭の小説の美技に魅せられた読者」といった言葉の説明から、十蘭が森鴎外、三島由紀夫と繋がる文学の流れに位置付けられることとか、中井英夫が十蘭を敬愛してやまなかったこととか。実は、それってまさに三一書房版全集のコンセプトなんです。私が三一版を宝物扱いする所以でもあります。

ということで以下簡単に各話の紹介。勿論( )内は、底本と成った初出誌です。内容紹介、とあっさり書きましたが十蘭作品は短篇といえどもおいそれと要約できるようなものではありません。あくまで表面的な一部とご理解ください。

・黄泉から(「オール讀物」1946年12月号):死んだ女の想いを初めて知った男の心もようと、男の身に起こる妖かし・・・

・予言(「苦楽」1947年8月号):拳銃で死ぬ、といわれた男の必死の抵抗の成否は・・・

・鶴鍋(「オール讀物」1947年7月号):自分の池の鯉を食べ尽くす鶴、その仕返しに男が考えたのはその鶴を捕まえて鍋にすること・・・

・無月物語(「オール讀物」1950年10月号):己の欲望のためであれば、妻の土地を奪うことも子どもの養育を拒むことも厭わない男の一生・・・

・黒い手帳(「新青年」1937年1月号):賭け事に必勝の法則はあるのか。欲に憑かれた男と夫妻の熱い思い・・・

・泡沫の記(「別冊 文藝春秋」1951年12月号):ルウドヴィヒ二世と人工楽園、病を得た王の死の顛末・・・

・白雪姫(「オール讀物」1951年7月号):妻の我がままに振り回され、その妻を氷河に嚥み込まれた夫の告白・・・

・蝶の絵(「週刊朝日 記録文学特集号」1949年9月号):家族の間で大切に育てられた温厚な青年が戦地から復員して・・・

・雪間(「別冊 文藝春秋」1957年2月号):夫に殺されると恐れる妻、その妻の不貞を周囲に言いふらす夫の真意は・・・

・春の山(「新潮」1956年4月号):義姉の家をアトリエにして制作に励む男を連れ出そうとする男たちの狙いは・・・

・猪鹿蝶(「別冊 文藝春秋」1951年3月号):結婚をさせまいと相手を死んだことにした当の女が男の前に姿を見せて・・・

・ユモレスク(「オール讀物」1948年3月号):身体があいたから、とそれだけで巴里にやってきた女・・・

・母子像(「讀売新聞」1954年3月26-28):美貌の母親に恋した少年が知る女としての母の姿・・・

・復活祭(「オール讀物」1949年5月号):復活祭のパーティで昔の知り合いの年の離れた男と話しているうちに自分の思いに気づいた女は・・・

・春雪(「オール讀物」1949年5月号):戦時中、大森の工場に働きに出た娘の不審な行動・・・

 解説 川崎賢子

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紙の本

美しく静謐、幻想と怪奇ただよう短篇集

2016/06/18 14:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:弥生 久 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「小説の魔術師」と評される久生十蘭の傑作短篇選。
 収められているのは、ぼくが愛してやまない「黄泉から」、第二回世界短篇コンクールで第一席を獲得した「母子像」、読後の奇妙な味わいはミステリにも通ずる「黒い手帳」など、全十五編。
 中でもぼくが偏愛する「黄泉から」について、ここで書こうと思う。あらすじはいたってシンプルだ。
 戦後、盆の頃にフランスから帰国した魚返光太郎は、大戦中ニューギニアで命を落とした従妹、おけいを迎え入れる準備をしていた。そこに、おけいと共にニューギニアで従軍していたという娘が訪れ、おけいの最期を語る──
 この作品には全編を通して言いがたい郷愁がただよう。敗戦間もない日本の寂寥感、そして作品全体をおおう戦時中とは対比的な穏やかさ。西日と蟋蟀の声のなか、失ったひとを追想する主人公の姿は静謐ながらも鮮烈だ。もうここにはいないけれど、生者は死者をおもうことが出来る。
 最後の台詞と一行は、忘れがたい余韻をもたらすだろう。

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紙の本

美しい

2016/01/31 22:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:狂人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

久生十蘭の書く小説は、内容が悲しくても、辛くても、はたまたえげつなくても…上品で美しい香りが漂うのが不思議だ。そのギャップが十蘭の魅力だと思う。

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紙の本

全く古臭くなっていない

2019/01/28 12:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

恥ずかしながら久生十蘭という人の名前は全く存じ上げなかった。何かの雑誌に、短篇の名手と書かれてあったことを記憶していて岩波文庫から短篇集が刊行されていることを知り購入した。この短編集は昭和20年以降のもの、すなわち戦後まもなくの時代に書き上げた作品なのであるが全く古臭くなっていない。戦後という時代の惨めさ、辛さが全面にでている短篇の私小説をいろんな作家を通じて何度も読んでいるのだが(私はその空気感が気に入っているし、読んでおかなければならないとさえ思っている)、その作品群には、戦後の惨めさには程遠くただただ妖しいのだ。とくに「蝶の絵」に登場する花世の妖しさは比肩できない凄みがある。オラウータンの件は秀逸だ

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2010/02/15 18:15

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2010/04/06 15:47

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2010/06/09 11:56

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2010/12/14 00:43

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2010/08/09 04:26

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2011/04/13 23:05

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2011/03/04 01:13

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2011/04/26 23:39

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2010/07/05 01:57

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2011/08/02 19:13

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2012/11/03 15:58

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