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姑獲鳥の夏 文庫版(講談社文庫)

  • 出版社:講談社
  • レーベル:講談社文庫
  • サイズ:15cm/630p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-263887-8

姑獲鳥の夏 文庫版 (講談社文庫)

京極 夏彦 (著)

  • 全体の評価 512件のユーザーレビュー
  • あなたの評価 この商品を評価して本棚に反映 評価しました! ×
  • 税込価格:84024pt
  • 発行年月:1998.9
  • 発送可能日:24時間
  • 文庫

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ユーザーレビュー- 「姑獲鳥の夏 文庫版」

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5.0
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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2004/10/15 15:21

モノクロの世界より。

投稿者:オレンジマリー(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書を兄に手渡された瞬間、微かな疲弊が過ったし、微かな落胆があった。本書の厚さに対してである。飽きっぽい性格のため、分厚い本というのはなんとなく避けて生きてきた。これまで読んで心から長かった、と思うのは谷崎潤一郎の「細雪」である。数冊に分かれていればまだ救いようがあったのに…などと思いながら沈んだままの気持ちで読み始めた。
 第一印象は、純文学的な文章だなと思っていた。古き時代に使われていた言葉・漢字が登場した。また教養深い作者なのだろう、本当に多くの歴史的書物の名前が目についたし、常人では絶対に届かないような観念が知的に響いてくる。
 なんだ、そうなのか、それもそうだと納得しっぱなしであった。
 そして中盤で私は気付いた。分厚さを感じさせない、全く先の読めない小説に出会ったのだと。元々推理やら理数やらをするようにはできていないのが私の頭だから仕方ないが、誰の言動がおかしいのか、京極堂や他の連中が何を言わんとしているのかが理解できず、心穏やかではなかった。
 みんながみんな疑わしく思えていたし、主人公ですら信頼を欠くであろう行動をとっていた。そして何よりも、真実は何なのか。
 途中、仏教や陰陽道の話が出てきたので、ああ、そういう系の本か、と考えていたのに最終的にその事自体はあまり重要でなかったりした。
 とにかく予想をことごとく砕いてくれる、頼もしいストーリーで敬服です。
 ひどく論理的で、かつ合理的で参りました。
 急展開で物事は解決に向かいますが、そこも順を追っていて気分が良かった。中には不自然な点があったりして、面白味に嘘っぽさが混ざったりするような本がありますが、本書はほぼ完璧です。
 京極堂の話が、とても深く興味をそそるものでした。それに関口くんが忘れっぽいという設定も良い点ですね。ちょっと抜けてる主人公の視点で語られるからこそ、読者をひきこむのかもしれません。
 京極夏彦は初めて手にしましたが、これからも読ませていただこうと楽しみにしています。

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/08/13 06:49

圧倒的。一つの分野を築き上げた驚異的な作品。

投稿者:たけぞう(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 単刀直入に言うと、ちょっと趣味が合わない部分がある。裏表紙の紹介で、古本屋にして陰陽師が憑き物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾とある。作品中でも触れられるのだが、一般の人は不可思議な現象に対し、徹頭徹尾超常現象として受け入れるか、科学信仰で全面否定するかの二通りに大別される。京極堂と呼ばれる探偵役は、両方とも真っ向から否定する。
「この世には不思議なことなど何もないのだよ」

 私は科学信仰派だ。漫画の設定などでは、超常的能力の世界も大好きで読むのだが、それが小説となると少し引いてしまう。私にとっての小説は、現実感を伴った高揚感がたまらないのであり、陰陽師なりが出てくると反則の飛び道具を見せられる気分だ。そういう前提で挑戦した小説はあるが、漫画と違って世界にうまく入れなかった経験がある。
 うぶめの夏は、出だしは嫌になるくらい超常現象の考え方の説明が続く。延々と続くので、第一章は少し疲れが残った。なんだか超常現象の世界を理論的に解明しようとしている。説明がうますぎるので、作中に出てくるが詭弁という言葉がぴったりくる。

 ここまでずいぶん否定的なことを書いてしまった。なぜこんなことをだらだら書いたかというと、物語の凄まじいまでの吸引力に脱帽したからである。前半に大量の紙面を割いているのは、この不思議な世界に読者を招き入れるために他ならない。奇怪なシーンや、猟奇的なものを連想させるシーンもある。作り込みが不十分だと、安物に落ちてしまうことは明白だ。
 超常現象なのか科学なのか。自分が信じる価値観を揺さぶられる展開が抜群に面白い。少しくどい感じがするものの、変人が多く登場するため六百ページ超という大作なのに飽きずに読むことができる。陰陽師などに否定的な私も、上手く世界に引きずり込まれてしまった。
 背筋が凍るほどのシーンもあるため、夏の怪談好きサンにもお勧めできるかも。基本はミステリーだが、枠からはみ出してしまっているのは明白だ。

 ああ、中身を全然書いていない書評になってしまった。圧倒的な作品の前では、凡人は口をあんぐり開けて眺めるしかない、そんな心境だ。

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2002/12/27 00:40

静→動

投稿者:T_K_C(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

おまえはこういうのをきっと気に入るであろうよ。
と,会社の同期に勧められて買って,まんまとハマった一冊。
静かに静かに,物語はユーモラスな登場人物に彩られつつも流れ,
そして,主人公・京極堂が現場に登場してから,一気に「動」へと
変化するそのシーンの「差」。とにかくそこにつきる。
周りをゆっくりとかためられ,そして中心でおきる大爆発。
その時に感じる快楽は,今までに感じたことがないもの。
小説を読んで,快楽を覚えたのは京極氏の作品で初めて知った。
京極氏の作品ではエンターティメント性においても,この作品が今のところ一番。
だと思ってます。だからこそ,初めての方はこの作品から入っていかれると
いいかと思います。登場人物はみんな一癖あって,みんなある意味かわいい。
関口くんと木場さんがお気に入りです。

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2002/07/31 19:54

その厚みが愛しい

投稿者:郁江(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 彼の本は とにかく厚い…多分 シリーズ第一弾のこの「 姑獲鳥の夏」が1番薄いくらいです。そしてシリーズを重ねるごとに驚くほど分厚くなる。だけど心配はいりません 一度読んで彼の作品 その登場人物にハマってしまえば その本の厚さが愛しくなります。2冊に分けるより 1冊でこの値段の方がお買い得だし 上下巻のように 次の発売日まで 続きを気にして悶々と過ごさなくてすむんです♪

 事件の解決も然るコトながら 私が何より好きなのは京極堂と関口さんのやりとりデス。本当にいいコンビです。

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2002/06/02 08:22

久々の衝撃

投稿者:BK8(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

おそらくこの分厚さに恐れをなして購入を躊躇している人はたくさんいることでしょう。私もその1人でした。でもある時、1冊くらい試してみようかな、という気になって買ったこの本はまさに絶品でした。
その人の作品は全部読まずにいられない、というほどお気に入りの作家に出会うっていうことはそれほどないですよね。この本を読んで、私はそんな作家に出会えたことに、久しぶりに強い衝撃を受けました。
ちょっと癖のある作家なので、好き嫌いはあるかもしれませんが、まずはこの1冊、だまされたと思って試してみて下さい。
そして、麻薬のような京極ワールドに溺れてみてください。

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2001/09/13 13:42

すぐに彼岸に行ってしまう関口君

投稿者:ちょこらんたん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ご存知、書店でおもわずだじろく分厚い本の京極堂シリーズ一作目。だが読み始めるとあっという間だ。正統派の推理小説とは違って、怪奇っぽいというかオカルトっぽいところもあり、でも人間にとりついた憑き物を理路整然と落としていく陰陽師の京極堂。
 他に、学生のことから付き合いのある文士の関口や見えないものが見えてしまう探偵の榎木津、刑事の木場修の旦那などなど、これでもかというくらい魅力的な登場人物が目白押し!
 戦後すぐというちょっと古い時代設定が、江戸川乱歩や横溝正史の世界とリンクして、また何ともいえない雰囲気を醸し出している。
 ほっておくとすぐに彼岸に行ってしまう関口を救うのが、親友である京極の役目。頼りなくて、ほうっておけない関口の存在は、このメンバーにとってお姫様(?)のよう。

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2001/06/17 02:17

関君のばかぁ

投稿者:すの(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 京極夏彦さんは、周囲の人間がやたらと読んでいて(別れた彼とか好きな人の彼女とか新友旧友etc.)、世間では大変評判がよろしい作家さんで、しかも、勧めて「くれない」のである。

 「好みがわかれるところだねぇ」

 とか言われてしまい、その厚さもあってかなり躊躇した後、文庫版で『姑獲鳥の夏』『 魍魎の匣』『狂骨の夢』を読んだ。

 かなり、はまります。

 まず、この小説のジャンルって推理小説でいいのだろうか? 『少年の時間』なんかでは言われていたが、本格物の枠から飛び出た「ハイブリット小説」に近い。

 とくに、この『姑獲鳥の夏』は推理小説と思って犯人探しなんかしてたら全然つまらないのではないかしら? すてきな世界を楽しんだもの勝ちな作品です。

 設定、キャラクターがしっかりしているので世界が自然に読めて、そして読み進むうちに、何となく黒いものが見えてくる。もやもやと…。たぶん、京極堂の言うところの憑き物が見えてくる。作品の中に。そして、京極堂が払って終了…。

 「いろいろやらかしたあげくに、忘却、思い出して鬱」という最高なキャラ、関口君が好きになれないのは近親憎悪かも知れない。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/11/15 21:20

京極堂マジック全開!

投稿者:道楽猫(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「この世には不思議なことなど何もないのだよ」

いやぁ、痺れます。
この世界観、たまりません。

正直なところ、ミステリとして読めば、こじつけめいた部分が多く突っ込みどころはいっぱいある。
しかしだね、冒頭から京極堂の語りのみでどんどん主人公を、そして読者を別の世界へと引き込んでゆくこの魔力は圧倒的。
認識論と量子力学を駆使して、脳が見せる仮想現実の世界、この世の不確実性を関口相手に滔々と語って聞かせる。

キミが今見ていると信じている世界は果たして現実に存在するものなのか?と。

それを聞かされる関口は、次第に現実と虚構の境目に自信が持てなくなってゆき、ついには我が身の存在自体にさえ疑問を持つに至る。
否、そう誘導されるのだ。

それにしても関口君は京極堂マジックに簡単に引っかかり過ぎだなぁ。
なんだか読んでいる間ずっと、「動物のお医者さん」の二階堂を思い出してしょうがなかったよ。
そりゃあ人をあんなに簡単に操れるなら楽しいだろうな。
京極堂はとても魅力的だけれど、あまりお近づきにはなりたくないなと思う。

その京極堂の語る様々な薀蓄の中でも「憑物筋」の解釈は殊に面白かった。
「座敷童子」が、富の隔たりを説明するための「民族装置」であるという説など、なるほど大変に説得力がある。
人は何にでも意味を求める生き物だものね。で、その理由はたいてい後付けなんだよね。
幽霊も妖怪も、現われるべくして現われ、時がくれば自然に消滅する。
人は、見たいもの、その時見る必要のあるものしか見えないものだからね。

そしていよいよ京極堂の圧倒的な憑き物落としのクライマックス。
黒の着流しに晴明桔梗の五芒星を染め抜いた黒の羽織姿で颯爽と登場する京極堂。
絶妙のタイミングで鳴り響く風鈴の音。

最高です。

私も関口君のことを笑えないなぁ。
京極堂マジックにすっかり惑わされ、あのようにしれっと語られる"密室の謎解き"も「そんなムチャな」と呆れつつついつい許しちゃうんだから。
納得いかんよ。開いた口が塞がらんよ。でもそういうところ大好きだ。

それにしてもそれにしても。

"見えない"関口と対比する形で"見える"榎木津を配置することで
巧妙に罠を張り巡らせ、読者をミスリードする作者の手管には素直に「参りました」と言わざるを得ない。

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/08/11 14:09

面白いけれど・・・・

投稿者:もここ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

皆さんが書いておられる通り、とても厚く始めの方はかなり話の流れが緩やかです。赤川次郎氏などの話の展開が早く、文章自体の表現(使っている漢字等)が分り易いものに慣れている方は読み進めることがかなり大変かと思います。事件の展開が急に進むのは、350ページを過ぎた辺りからです。それまでは、かなり長い前振りといいましょうか、心理学的といいましょうか、学問的といいましょうか・・・・。京極堂を知るためには、必要なことなのですが。又、事件解決にも必要だとは思うのですが。あの講釈は、ある意味シャーロック・ホームズのようでもあります。 じっくりと、読む時間が作れる方は、この作品を通して京極堂の人となりを自分なりに作り上げて次の作品にチャレンジするもよし、、ストーリーに興味はあるけど時間が無い方は映画で・・・・と言うのも手だと思います。

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2001/05/07 06:58

完成された物語

投稿者:呑如来(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これが処女作とは…。ボリュームもすごいですが、内容もまたすごい。
 人間の正気と狂気の境目とは何なのか?真実とは?と考えさせられます。見たいものしか見てないのに、見ているものが真実で正しいと思い込んでしまう愚かさ。自分の深層心理を相手の心理と感じとってしまい、解釈してしまうことの身勝手。
 鮮やかな謎解きはカルチャーショックをもたらし、終わりも爽やかではありませんが、純文学とはまた違った精神の運動を体験できます。妊婦やその夫は読まないほうが良いかもしれません。



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