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東京バンドワゴン みんなのレビュー

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みんなのレビュー249件

みんなの評価4.0

評価内訳

249 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

虫干しされてみようじゃないか

2008/11/25 09:13

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

サザエさん』が『男はつらいよ』風になって、彼らにミステリーを展開させたらこんな感じ・・・かもしれない。
明治から続く由緒正しき古本屋その名も『東京バンドワゴン』。そこには笑いあり涙ありのどたばた悲喜劇がくり広げられ、なんとも個性豊かな面子を揃えた大家族が店を切り盛りしている。
伝説のロックシンガーは愛(LOVE)を語り、他界した祖母は未だこの世で彼らを温かく見守り、子供たちと孫たちとその家族たちはサザエさん顔負けの賑やかな毎日を盛り立て、世代も感覚も性格も皆が皆、いい味を出していて飽きることないホームドラマ。
堀田家9人。主要メンバーだけで9人!顔と名前を覚えるのが苦手な私にこれが区別できるのか?実はそれが一番の難関となるかと思っていたのだが、読んでみればその不安は見事解消した。
挿絵がある絵わけでもなし、顔を拝見したことはない彼らだが、私の目にはありありと其々の個性を醸し出した顔が、イメージが出来上がっている。
パーツごとはてんでバラバラな9つの柄が、全体では見事にまとまり良い味を出しているパッチワークを見ているような、そんな豊かさと楽しさを読むものに感じさせてくれるだろう。

さて、そんな堀田一族が織り成す春夏秋冬の4章から成るこのお話は、どれもミステリーとなっている。
古本と古本屋『東京バンドワゴン』に出入りする、本と人間が持ち込むちょっとした謎が、この人この場所・堀田ファミリーによってちょっとしたどころではない大事に発展し、その根っこに燻っている過去を引きずり出しては解決する。
引きずり出す、というのは適当ではないかもしれない。ここは古本家業らしく虫干しをする、といった方が良いかもしれない。
暗いものも悲しい過去も燻っている感情も、たまには日の光に当てて手入れして整理して・・・堀田ファミリーの手による事件解決にはそんな優しさとニクイほど行き届いた思いやりがあふれているのだ。
偉大なるお節介、大いに結構。
彼らの手にかかればきっと全て丸く収まる。角張ったものも丸くなる。柔らかくなる。温まる。
世知辛いこの世の中で人情だなんだと嘯くつもりはないけれど、たまにはこんな素敵なホーム劇を見守ってみるのもいいんじゃないか。

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紙の本

一緒にごはんを食べてみたい。

2009/04/26 20:09

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルからは想像もしなかった古本屋(兼カフェ)が舞台の物語。
巻頭にズラリと並んだ登場人物を数えたら17人(と4匹)もいた!
なのに混乱しないのはテンポの良さか、『俯瞰』と言う独特の語り手のせいか?
季節を意識した語りだしもいい。
下町に残る、懐かしい日本の空気が漂っている。
たくさんの人間が、事情を抱えながらひとつ屋根の下に暮らす。
共に寝起きして、ごはんを食べる。
困った時はチームの様に結束して問題を解決するのだ。
お互いがちゃんと相手のことを見ている。
そこは<LOVE>に溢れている。
ごちゃごちゃした毎日の中でも<LOVE>は存在しているのだ。

続きが読みたくなった。

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紙の本

平凡な下町家族のようでいて、問題あり!LOVEもあり!

2006/11/03 16:57

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

東京下町に明治から続く古書店<東京バンドワゴン>。現在は古書店の隣のスペースにカフェも併設。
怒っているようにしゃべるけれど、本当に怒っているわけじゃない。近所の人々が気軽に立ち寄る店であり、その相談事も引き受ける。そんな古書店家族を中心に近所の人、関わりのある人を描く日常のミステリー。4つの季節に別れた連作中編です。
どこにでもいるような家族ですが、還暦になる長男は伝説のロッカーで愛人の子どもを引き取り、妻に育てさせ、その愛人の名前さえも明かさない。その長女35歳もまた未婚の母で、12歳の娘を養育。さらに長男34歳の妻も実家の両親に結婚を反対され絶縁状態。
これらの問題をすっきり解決していくのですが、カラカラと笑わせ、ホロリと泣かせる。2年前に76歳で他界した、当主の妻サチの、おっとりとしていながらもしっかり者の口調にのせられて、絶妙な物語世界に引き込まれます。
「春 百科辞典はなぜ消える」
古書店の棚に朝になると百科辞典が2冊置かれ、夕方に消える怪現象が起こります。
「夏 お嫁さんはなぜ泣くの」
愛人に産ませ引き取った息子青は海外旅行ツアーの添乗員。たびたび、ツアーに参加した女性が勘違いして押しかけてきますが、今回は青も「お嫁さんにする」と言い出します。一方、長男紺の嫁亜美は実家の母が倒れたと聞きますが、絶縁しているので見舞いにもいけない。そっと夫の姉藍子には打ち明けます。
「秋 犬とネズミとブローチと」
3代目当主勘一の幼馴染が入所する老人ホームから峰子さんというおばあさんが消えてしまった。<東京バンドワゴン>から貸し出している本を持っているので、それが手がかり。
「冬 愛こそすべて」
勘一はひどい風邪をひき寝込んでいます。12月20日の青の結婚式に出られるかどうか家族は気をもみます。ところが結婚式を行う近所の神社の神主康円が蔵から堀田家の家訓が書かれた本を見つけ、「冬に結婚すべからず」という。さらに康円の奥さんから「夫が浮気している」という相談も持ち込まれます。
そこへある企業の社長宅のお嬢さんが結婚するので蔵書を売りたいという話があります。これもおかしな訳が隠れています。

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紙の本

じーんと来る小説ではないが、あったかいホームドラマ。読書をその根底から楽しめる1冊と言えよう。

2006/06/19 03:48

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルとなっている東京バンドワゴンは明治から続く東京下町の老舗古書店の名前。
現在80前のかくしゃくとした店主・堀田勘一を筆頭に4世代8人で暮らす堀田一家の春夏秋冬を日常系の謎を織り交ぜながら描いている。
この作品の成功の一番の要因はやはり、語り手が2年前に亡くなった勘一の妻サチであることに尽きる。
彼女が天国から堀田家族を見守るような語り口で読者をエスコートしてくれるのである。
堀田家の朝食時の食卓で繰り広げられるそれぞれの会話が飛び交っているシーンが楽しい。
核家族化が主流となっている現在、4家族が仲睦まじく暮らしあっている姿は読者にはぴんと来ないのである。
裏を返せば本当に珍しくて可笑しい世界なのである。
時代的にはインターネットが登場しているので現代だと思われるが、表紙や語られてる世界観からしてすこしレトロな下町を想像してしまう。
カフェを併設しているのは登場人物の多さからして仕方ないかな(笑)
いずれにしてもほのぼのした中でも大事な物は何かを解き明かせてくれる各章は読者にとって心地よいことこの上ないのである。
登場人物の個性的な顔ぶれは、本文前のひとりひとりの案内を読めばよくわかるのであるが、還暦を迎えた伝説のロックンローラーの我南人(がなと)が一番の個性派。
彼が作品中に発する“LOVE”という言葉は語り手であり我南人の母親であるサチが一番欲している言葉だと思う。
ちょっと飛躍した考えかもしれないが、一般的に出来の悪い子ほど可愛いというが、サチにとっては我南人のことを根っから心配しているのであろう。
最終章にて青の本当の母親が見せる愛情行動は、小路さんが読者にプレゼントしてくれたと受け取るべきである。
逆に我南人へのサチの愛情は読者自身が感じ取るものだと私は思っている。
各章にて見せる我南人の人情味ある行動、たとえばマードックに対する姿勢の変化や、長男の嫁・亜美さんの両親に取った軟化した態度などはやはり母親譲りなのである。
彼女は天国からいつもヒヤヒヤしながらも暖かく見守っているのだ。
小路さんの決して良い読者じゃない私ですが(今まで『HEARTBEAT』1冊のみ読了)こういう作品を書いていくと必ず固定ファンが着実に増えるであろうと言う事は間違いないと思う。
読者も小路さんを暖かく見守ってくれるのであろうから・・・
簡単に総括させていただきますね。
この作品は家族小説であって家族小説でない。
本来、“家族小説”という言葉から想像しうるたとえば家族のあり方とかを根本的に問うたものではないのである。
もちろん作者の意図もそうであろう。
ホームドラマ・・・本当に原作のない脚本のみのテレビドラマを観ているように肩肘張らずに読める小説と言ったらいいのかな。
だから、読んで何かを感じ取る小説を期待すれば肩透かしをくらうかもしれませんが、楽しい読書を求められてる時(方)にはこれ以上の作品はないであろう。
多くの方が手に取ってくれれば、また続編にお目にかかれるかもしれません。
ああ、マードックさんのしあわせな姿を見たいな(笑)
あなたも、是非読まれる際は堀田一家の一員になったつもりで読んで欲しいなと切に思う。
活字中毒日記

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紙の本

4世帯住宅の古本屋さん

2007/06/06 18:11

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 東京の下町にある古本屋さん「東京バンドワゴン」
店の半分が、古本屋さんで半分が、カフェとなっております。
 そのお店を営む、3世帯家族ならぬ、4世帯家族のお話しです。
最近逝去された、おばあちゃんが幽霊となって
みんな見守りつつ、気を揉みつつ、語り部となって、お話しが展開していきます。
 ここで、家族紹介。
店主で当主の堀田勘一さん。
その妻、サチさん。この方が、幽霊となり語り部となっています。
その息子で、元カリスマ!?ロッカーの我南人(がなと)さん。
いつも、フラフラしている遊び人。口癖は、LOVE。
で、我南人の長女、勘一さんからは、孫に当る、
藍子さん。カフェを切り盛りされています。ここから、三世代目。
我南人の長男、紺。で、紺の奥さん亜美さん。亜美さんも、カフェを切り盛りしています。
で、我南人の次男で紺とは異母弟になる青。
で、ここから、4世代目、
藍子さんの娘さん、花陽ちゃん、小学生。
紺と亜美さんの息子、研人くん、小学生。となっております。
 普通、こういうたくさん人物が出てくる場合、
系統図や、人物紹介表がないと、こんがらがるのですが、小説が上手く出来ていて、するっと頭に入ってきます。
 所謂日本版、シット・コムといわれる、
お茶の間と縁側、家の近所などが、セットで作られていて
すべてスタジオで撮影される、ドラマがありますが
 巻末で、それへのオマージュだと書かれているとおり
そんなドラマを企画からすべて一人で作家が立ち上げ小説にした感じです。
 又、四季をテーマにした連作短編集となっていて、
展開としては、元は、小路幸也さんミステリ作家ということで、
ちょっとした、謎が導入部にあり、なんでだろうね、どうしてだろうね、、??と、みんなで言っていると、その謎解きがあり、しかも、人情話としてみんなが納得する形で、終わり、いい話だったね、、、。
と終わっていきます。
 面白いと、いうより、楽しい小説ですね。
そっくりそのままドラマにしたら、いいんじゃないか、と思わせる作品です。

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紙の本

4世代家族が織り成すがやがやわいわい楽しい小説

2006/05/19 09:58

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る

楽しめました。読後感はそれに尽きる。
語り手はもう死去してしまったサチさん。この旦那が古本屋当主で、息子が伝説のロックンローラー、その子供が三人(一人は愛人の子)、そのうちの二人に子供がいる(一人は未婚の母)…最初は何が何だかわからなくなりそうかなーなんて思ったけれど、どうしてどうして、話の勢いにくるくる乗せられるうちに、それぞれのキャラクターがはっきり立ち上がってくる。何よりいいのは朝ごはんの場面なんかで会話がひっちゃかめっちゃかになりつつ、通じ合ってるところかな。そうして、それをやさしく、時には「何を言ってるんでしょうか、もう」などと突っ込みを入れながら、文字通り「見守っている」サチさん。何だかいいなあ…と思うのです。
起こる事件はそれほど大きな事件ではないけれど、みんなそれに振り回されて、みんな悩んで解決するところが明るい雰囲気。何と言ってもよかったのは最後の話、三世代目の末っ子青の結婚式にまつわる話だった。青のお母さんって誰なの?と迫るお姉ちゃんの藍子に、我南人(「〜なんだよぅ」とか「〜ねぇ」という独特のしゃべり口調が味わい深い)がその秘密を明かす。その母親が青の結婚式にどうからんでくるのか?我南人の策略、そして頑固な大じいちゃん(サチさんの夫にあたるわけだ)の勘一も意外な働きをしてくれて…。じんときて、胸の中がぽっとあたたまるような、そんな一話だった。
とにかくたくさんの人が飛び出してこんばかりに、あっちでがやがや、こっちでわいわい、そのにぎやかなこと。楽しかったよ、「東京バンドワゴン」一家!

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紙の本

1970年代のテレビのホームドラマのような、少し嘘っぽさを隠すこともなく、人物造形にもやや作り物感があり、しかし、ちょっと小粋なプロットで畳み掛けてくる、楽しい、面白い物語

2011/07/13 22:25

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 そもそもは青山真治監督の映画『東京公園』を観たのがきっかけだった。好きな監督だし、この作品も見事な出来であった。そして、僕はその原作者である小路幸也という小説家を全く知らなかったのだが、そのパンフに、「そもそも小説『東京公園』は担当編集者の『小路さんの<何も起こらない物語>が読みたい』というリクエストから始まりました」と書いてあったのに強く惹かれたのである。
 いや、別に何も起こらない話が好きなのではない(嫌いではないが)。ただ、何も起こらないのに面白いということは、書いている作家が突出した文章力、表現力の持ち主であるという証明である。映画がこれだけ面白いのだから、小説もきっと面白いのだろう。ということは小路幸也という作家は飛び抜けて文章の巧い作家であるはずだ。ならば、これを読まない手はない──ということで本屋に走ったのだが、あいにく『東京公園』は置いておらず、目に入ったのが『東京バンドワゴン』であった。
 ああ、この本なら聞いたことがある。結構話題になった本だ──ということでこれを買い求めて読んだのだが、残念ながら、これは僕が思ったような本ではなかった。
 これは何も起こらない小説ではないのである。ものすごいことは起こらないが、小さなことは次々に起こる。そして、その小さなことが起こる舞台として設定されているのは、腹違いも含めていろんな血縁や義理の関係が入り乱れて、老若男女大家族が暮らす古本屋兼カフェという、よくよく考えたらあまりありそうもない暮らし(おまけに語り部であるサチは、確かにある意味いまだに家族の一員ではあるが、なんと2年前にすでに死んでいる)を凡そ何ごともないように設定したものである。
 つまり、これは何も起こらないことを、観察眼と筆力だけで描き上げて行くという、僕が期待したような小説ではなく、むしろ1970年代のテレビのホームドラマのような、少し嘘っぽさを隠すこともなく、人物造形にもやや作り物感があり、しかし、ちょっと小粋なプロットで畳み掛けてくる、楽しい、面白い物語なのである。ま、これはこれで良い。このあっけらかんとした、悪びれない感じが魅力なのである。
 しかし、そうなってくるとますます気になるのが『東京公園』である。こんなにプロットを売りにした作家が、果たしてどんな風に<何も起こらない物語>を書いたのか。この文体を見ると、あの映画の雰囲気とは随分違うような気がする。これはやっぱり読まざるをえないかなあ。
 ──と、<何も起こらない物語>が想像できないくらい、細かく小さくいろんなことを起こして読者を楽しませてくれる、サービス精神旺盛な作家であり、作品であった。もちろん、このサービスは素直に受けて楽しめば良いのである。

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紙の本

ミステリなんですね、これって。でもテレビのホームドラマみたいな展開。個人的には毛唐がいやですね。とくにこんなへなへなしたイギリス野郎なんかに藍子さんを渡すな!

2006/06/23 20:53

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

知らない作家でもタイトルや紹介が面白いと、それだけで手を出したくなる。知人に言わせると「エネルギーのムダ、読むなら名作、古典。源氏物語にさかのぼっても、そっちのほうが得るところが多い」そうです。でも、大江健三郎ならぬ私は、今を生きている実感が欲しい。そこで見ず転に近いかたちでも飛びつくんですね。特に集英社と河出書房新社が送り出す新人たちに・・・
この小説も、集英社の名前と『東京バンドワゴン』というちょっと記を引くタイトル、それに『空を見上げる古い歌を口ずさむ』でメフィスト賞を受賞という案内、そして大胆な線がどこか懐かしいアンドーヒロミの素敵なカバーイラストレーション、きれのいい鈴木成一デザイン室のブックデザインに惹かれて、ついフラフラと・・・
で、このお話は登場人物が全て、見たいな部分がありますから、巻頭の人物紹介を抜粋して写しておきます。
堀田勘一 79歳、明治から続く古本屋〈東京バンドワゴン〉の三代目店主。
堀田サチ 生きていれば78歳、勘一の妻、良妻賢母で堀田家を支えてきましたが、2年前に76歳で死去。今は堀田家を空の上から見守っています。幽霊っていうほうが分かりやすいんですが、オドロオドロシイところは皆無。
堀田我南人 60歳、勘一の一人息子で金髪ロンゲ。伝説のロッカーで今もロック魂は健在とありますが、いつも根無し草のようにフラフラしている印象が強いです。
堀田藍子 34歳、我南人の長女で未婚の母。画家で、未婚の母。おっとりしている、と紹介にはありますが、それは嘘でしょう。芯のしっかりした謎を秘めた美人で、義姉の亜美とともに〈東京バンドワゴン〉のカフェを切り盛りしています。
堀田花陽 小学6年生の12歳、藍子の娘。落ち着いたしっかり者の女の子で、おじいちゃんである我南人を尊敬しています。
堀田紺 35歳、我南人の長男。元大学講師らしく学者肌で落ち着いた性格。そのせいか存在感なし。フリーターを生業としながら、古本屋を手伝っています。
堀田亜美 34歳、紺の妻。才色兼備な元・スッチー。はきはきして活動的で、両親に反対されながらも堀田家に嫁入りしました。
堀田青 26歳、我南人の愛人の子。26歳の旅行添乗員。堀田家の次男として暮らしてきました。プレイボーイの長身美男子で、よく女性トラブルを持ち帰ります。
他に、マードックという名前のいけすかないイギリス人画家がでてきます。年齢がでていないということはどうでもいい存在、ということでしょう。こんな禿げ親父と美女を結婚させては絶対にいけません。話の展開のためとはいえ、私は絶対に反対。呪ってやる〜!です。
お話ですが、堀田家の一年を描く小説です。紹介には「転がりこんでくる事件を解決する」とあって、それとメフィスト賞受賞ということからミステリと思う人がいるかもしれませんが、基本は八人と一人の幽霊、そして4匹の猫が食事をともにする大家族の、ほのぼのとした四季があります。
舞台は東京の下町風ですが、場所は特定されていません。そのせいでしょう、街の人々こそ描かれていますが町の様子などは殆ど描かれません。ですから、「下町情緒あふれる」という感じはありません。四季、といっても町の情景がないくらいですから、季節感も薄いです。でも、登場人物が魅力的なので、人情物語風ではあります。
読みやすくて、総じて人々がいいので、どんどん頁が進む、といいたいのですが、私はマードックが嫌いです。なんていうか、この毛唐め!っていう感じで、この人が登場するたびにウンザリするんですね。正直、マードックいなくてもちっとも困らない話なんです。決して外人、嫌いじゃあないんですが、この手の優しさだけがウリ、っていう男はイヤですね。

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2006/04/26 21:05

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2006/05/15 19:20

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2006/06/06 01:08

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2006/07/11 17:24

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2006/08/07 21:30

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2006/08/19 09:40

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2006/08/20 15:29

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