紙の本
納豆をめぐるノンフィクション作
2019/08/15 14:48
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投稿者:文学少年A - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は『アヘン王国潜入記』『恋するソマリランド』などで知られる作家の高野秀行が、日本だけしか存在しないと思われた納豆がアジアにも存在することを知り、ミャンマーのシャンやカチン(それとナガ山地)、ネパールや中国・湖南省へ、アジアの納豆は(作り方や匂いと粘りは)日本のものとは同じか似て非なるものなのかを旅をして調査し、そして日本の納豆の作り方やその起源を探るという壮大なノンフィクション作である。
電子書籍
謎のアジア納豆
2017/10/29 12:41
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投稿者:コロンバス - この投稿者のレビュー一覧を見る
納豆を食する民を納豆民族と命名し、顔つき、人柄などの共通点も指摘していましたが、なんだかとても腑に落ちました。仮説を立て、辺境の地へ繰り出し、地元の家族の食卓にあがりこんで実食し、分析し、また新たな謎にぶつかる。辺境をまたにかけてパズルのピースを集めていくような取材スタイルは驚きと発見、そして妙な納得に満ちています。文章も読みやすく、箸がすすむ美味しいご飯のように、するすると最後まで一気に読んでしまいました。
紙の本
納豆の謎
2016/05/29 13:52
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投稿者:猫目太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
納豆は大好き。ご飯のお供、蕎麦、味噌汁にいれても美味い。そんな納豆が、アジアでも食べられている驚き。主に、山岳部に暮らす人々が大豆を使い、みじかにある、葉っぱで包んで発酵させる。一連の作業は日本と変わりはないが、その後、姿を変えて独自の「納豆」が出来上がる。食べるだけではない。調味料としても抜群だという。本書を読んで納豆が好きな割に、何も知らな過ぎた。納豆の起源もわからず、日本での発祥、言葉の起源も不明という。実は、奥の深い謎の食べ物だという事に気がついただけ。
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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は納豆が大好きなので、この本を読もうと思いました。この本には、日本以外の国にも日本の納豆と同じような物がある事を紹介しています。そして、日本の納豆の歴史についても詳しく説明がされています。
紙の本
納豆ノンフィクション
2018/09/17 14:16
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
辺境作家が目指した未知の大陸、それは納豆だった。
見て、嗅いで、作って、食べる。壮大すぎる「納豆をめぐる冒険」!
納豆とは何か。
なんとも不思議な本です
。
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一言て言うならば、「納豆は辺境食であり、山の民の保存食である。」という事になる。
納豆史、人類文化を用いて、それを証明する。
納豆菌ではなく、塩と麹を使ったものを“納豆”とは異なるものと定義した上で、それでもアジアには“納豆”があるという点には驚いたが、それ以上に目からウロコだったのは、ワラでなくても納豆が作れるということ。
納豆菌はいたるところにあり、シダの葉や朴葉で包んでも納豆になるということだ。
あゝ納豆が食べたくなってきた。
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いやいや、納豆で感動するとは思わなかった!タイからミャンマー、ネパールへとアジア納豆の姿を探索してきた高野さんが、岩手の雪納豆にたどり着いて旅を終える。このくだりでジーンと胸にこみ上げてくるものは、やはり「感動」なのだった。納豆で、ねえ。
大の高野ファンで、何を読んでも面白いと思ってきたけれど、今回ばかりはちょっと不安だった。納豆?うーん、そりゃ普通に食べるけど…。謎の怪獣とか怪魚とか、アヘン王国やらブータンやらソマリランドやら、ワクワクするような未知物件を紹介してきた高野さんが、納豆…。
ふーん、で終わってしまうのでは?という危惧は見事にはずれ、おもしろいったらありゃしない。納豆は意外にもアジアの多くの地域で日常的に食べられていて、大切な食材であるという。その実態も起源もよくわからないということで、高野さんの探究心に火がつく。とことん生活の現場で、ありのままの姿を見ようといういつものスタイルで、アジアの辺境へ、日本の田舎へ、旅を重ねていく。昨年ブログ(ツイッターかも)に「このままだと上中下三巻になってしまう。いくらなんでもまずい」というようなことが書かれていたが、実に取材量が半端ではない事が伝わってくる。
何よりおもしろいのは、納豆を通して、国や民族や部族の歴史、人々の生活のありようが生き生きと感じ取れることだ。納豆を作る人たち、買って食べる人たち、食べない人たち、それぞれにそうなるに至った、動かしがたい必然性がある。文化とはそういうものなのだなあとしみじみ思う。納豆は辺境食なのだという「発見」はまさに目からウロコ。高野さんは、かつて壮絶な徒歩行をした西南シルクロードが実は「納豆ロード」なのではないかという仮説をたてている。そうかもしれないなあと思って、なんだか嬉しくなってしまった。
いつものように、魅力的でヘンテコな人が次々出てくる。これが本当に楽しい。シャン族の美人女将(いやほんと別嬪さん)、カチンの達人カプラジャン、上村愛子似のルビナ、岩手で雪納豆を作る中村さん夫婦…、忘れがたい人ばかりだ。一番心に残ったのは、アジアの辺境で、岩手の田舎で、同じような言葉を繰り返し聞いた高野さんの感慨だ。「人間には好奇心ってものがあるからなあ」 古き良き世界にどっぷり浸かっているはずの人たちがどうして探検部出身者みたいなことを言うのか、と書かれている。納豆というものができたのも、それを食べるようになったのも、実に好奇心のたまものかもしれない。
取材期間は長く、地理的にも広範囲にわたっている。それをわかりやすく楽しく読ませる高野さんの筆力に改めて脱帽。
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わたしは納豆はひとくちも食べられないし、匂いも苦手なんだけど、おもしろく読んだ。ただの「納豆」(失礼)なのにこんなに地理的、歴史的ドラマがあって、ここまで掘り下げられるっていうところがまずすごいと思った。
すごくたくさん文献にもあたってきちんと調べて研究してるんだなっていうのがよくわかるけど、「納豆合宿」とかいって、納豆を実際につくってみて、わーできた!とか無邪気に喜んだり、アジア各地でいろんなツテを頼って納豆づくりを見学したり試食したりしてるところがやっぱり読んでて楽しかった。
高野さんが、なんか納豆の会社の研究機関?みたいなのの顧問をしているというのにも驚いた。ここまできたらもう立派な「研究」だ。ふと興味がわいて追求していってここまでできるっていうのもすごいな、と。
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日本の納豆界において、この著作はエポックメーキングな一冊であり、時代は「高野以前」と「高野以降」に分けられるだろう。
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読んでいると無性に納豆が食べたくなります。唐辛子で辛くして、薬味もたっぷり入れて、なんならチャーハンにして、納豆が食べたい!と読んでる間に何度思ったことか。
日本独特の食品と思われている納豆ですが、実はアジアに納豆がある…ということで、その実態を高野さんが取材した内容をまとめた一冊。そもそもあれだけスーパーに並んでいるのに日本の納豆自体も謎が多い。そしてアジアの辺境各地にも納豆がある…というのも驚き。日本の納豆とは少し違い、すりつぶして乾燥させた納豆せんべいだったり、調味料として使ったり。これがまたおいしそうに書かれているので、食べたいーー!!となります。そして納豆せんべいが無理ならば!とスーパーに納豆を買いに走ることになるわけです。
アジアの納豆なんて、日本でも売れそうなのになー。面白そうだし。高野さんの納豆考察も面白く、納得感があり、取材をベースにした話はやっぱり強い。これからも納豆は追いかけていくんだろうけれど、まずはアジア納豆の日本展開あたりから高野さんプロデュースしないかしら?
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納豆は日本オリジナルの伝統食だと思っている人は多く、この本にもある通り、外国人に「納豆食べられる?」と訊く日本人を見たことがない人はいないくらいだと思う。しかし、この本を読んだ今となっては
、簡単に作ることができて、お金もかからず、旨くて栄養のあるものが、(しかも大豆という、世界中で手に入る食材でできている)他の国にないという方がおかしいと考えるようになった。
アジア納豆については、何人か研究している学者もいるようだし、著者も参考にしているが、多分面白さでは本書とはくらべものにならないだろう。そのフットワークの軽さ、集中力と探究力、語学力、秘境探検で培ったカンの良さ、文章の上手さは高野秀行だからこそ。ソマリアの本で、探検を面白おかしく書くライターという場所から飛び出した著者が、また期待を裏切らない、というか期待以上の快挙を成し遂げた印象。この好奇心と情報収集力で、もう一冊は納豆本が期待できそう。
自分では決して出来ない面白いことをやってくれるのも嬉しいが、それ以上に人間の良さ、世界の奥深さに触れられるのが嬉しい。
アジア納豆、食べてみたい。乾燥したやつは輸入できるだろうし、日本でも作れると思うので、この本でアジア納豆ブームが来ることを祈る。
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深夜のSNSで美味そうな料理画像をUPしたり、TVの深夜番組でグルメ番組を放送するのを「夜食テロ」と呼ばれているが、本書はさながら「納豆テロ本」である。
通勤列車の中だろうとおしゃれな喫茶店だろうと頁を開けば「納豆食べたい!」と叫びたくなる。
ミャンマーの山間部の集落で「白いご飯に納豆と生卵」という日本の納豆そのものみたいな食事に出会ったのをきっかけに、アジア各地の納豆分布と、並行して日本の納豆のルーツに迫り、辺境食、辺境民族の食としての納豆文化を分析する。
「手前納豆」の発見が素晴らしい!
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ソマリランドの本を書いたノンフィクション作家の高野さんの本。ソマリランドの本が無類に面白かったので、この本も買ってみた。最後まで読んでも大きなオチらしいオチがないので、ある意味肩すかし的な感じの内容ではあるんだけど、最後まで読む手が止まらなかった。この本も無類に面白い。納豆は日本だけでは無くアジア各地に存在し、納豆はワラだけではなくて各種葉っぱでも出来ちゃう件とか、納豆の料理方法は日本は後進国であり、アジアでは料理法が多岐にわたるという事実だけでも知っていて損は無いし、読んでいて相当ワクワクする。
ともあれ、日本でも択一的な納豆だけでは無くていろんな種類の納豆を作って販売してもらいたいなと思うし、同時に納豆の各種料理方法も含めて広めてもられば相当面白い事になるなぁ、と思った。納豆好きな人には世界観が広まるのでお勧めしますが、オチを求める人にはちょっと食い足りない内容かな、とも思う。
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高野秀行の本は、いつも発想と結論は至極真っ当なのに、プロセスが面白オカシイ所が読んでいてとても楽しい。
辺境の不思議民族などを訪問して、文化人類学的アプローチで高尚なテーマを掲げつつも、やってる事がアホアホなので、結構な厚さのハードカバーの本でもスイスイ読み進められてしまいます。
その上、毎回思いますが、多言語に堪能というマルチリンガルっぷりが凄いです。
昔、ミャンマーの山奥でドラッグ作る話とかありましたけど、その次にはソマリアにハマり、またミャンマーに回帰という不思議ルート。
今回は、納豆がテーマ。個人的には納豆嫌いですが、相変わらず文章が面白かったので一気に読んでしまいました。
文中にも書かれていましたが、タイ人に「君はいつも人とは違うことをする」と言われているらしいです。インターネットに載っていない情報を目指しているという所がいつも良いと思います。
納豆にハマり過ぎて自作する部分は、あまり興味が沸かなかったんですが、著者と大学の先輩のおじさん2人が、試行錯誤してるくだりは、子供が外で遊んでるまんまの雰囲気が漂っていてほのぼのした感じが出てました(笑)。
最後の章は、別に日本だけで食べられている訳ではありませんが、
結局原点回帰的に日本の納豆について考察を深めています。
何故「水戸」の納豆が有名になったのかとか、東日本ではよく食べるけれども西日本では馴染みが薄いのか。とか普段感じる疑問を取り上げて、内容は学術よりしかし、説明してある部分はわかりやすく構成しているのが面白かった。
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この人はいくつになっても探検隊だ。ジャーナリストでもなく、研究者でもない。徹頭徹尾体験しか語らない。だからアジア納豆の謎がすっきりと解けるわけではない。納豆発祥の地が明らかになるわけでもない。アジア圏に偏在する「納豆」の全体像が明らかになるわけでもない。そういう視点からは納豆マニア?は納得しないだろう。
アフリカ奥地に怪獣ムベンベを探しに行く、ソマリアの紛争地帯に潜入する、アジアに納豆を食べに行く、が同じ文法で語られる。使命感や義務感は皆無。見たいから、知りたいから行く。単純で、爽やかだ。
納豆が食いたくなった。
本筋と関係ないけど、何度か登場する飼い犬の「マド」って、時々読んでいる穴澤賢のブログに登場する。知り合いらしい。