ブックキュレーター漫画家 さそうあきら
「バリ島物語」の背景を知り、バリ島という宇宙について考える5冊
私の著書『バリ島物語』。原作は1937年に出版されたヴィッキー・バウムの小説で、1905年実際にバリでおきた集団自決を扱っています。第二次世界大戦前、大国の植民地争いの中で、バリ島がいかに観光地化され、その宗教、文化がのこされていったのか、知ることでバリ島という小宇宙の全体が見えてくるのです。
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著者バウムは『グランドホテル』の原作者として有名なドイツ人女性。この作品は、ただの悲劇ではない。王、僧侶、貴族、踊り手、農民、その妻たち、そしてオランダ人・・・様々な立場の人間の価値観をその人になりきって活写する。キャラクターとは何か、について深い洞察のもとに書かれた作品。
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ミゲル・コバルビアスはギリシャ系アメリカ人のイラストレーター。1920年代にバリに渡り、ワルター・シュピースらと親交を深めながら、バリとそこに住む人たちの文化について研究を重ねた。本著がカバーする範囲は広く、実に詳細。今でも研究者がまず読むべき著作として有名で、80年たった今も古さを感じさせない。
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「バリ島物語」は、バリに長年暮らした者にしかわからない知識に裏付けされた作品である。それゆえに本当の作者はワルター・シュピースである、という説もある。今観光客を魅了するバリ島の音楽の多くは、1920年代にシュピースが編集したものと言われ、また彼の描いたバリは、現地の画家たちにも大きな影響をあたえた。
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著者コリン・マクフィーはアメリカの作曲家。1931年から5年間バリに滞在してシュピースやコバルビアスと交流し、バリ島の音楽を研究した。バリ島の伝説の音楽家や踊り手について活写されており、バリが好きな人ならワクワクして読まずにはおられないだろう。大竹昭子の翻訳もすばらしい。
ブックキュレーター
漫画家 さそうあきら1961年、宝塚に生まれる。早稲田大学在学中の1984年にちばてつや大賞を受賞しマンガ界にデビュー。1999年に『神童』で手塚治虫文化賞を受賞。現在、京都精華大学マンガ学部准教授。『バリ島物語』、『マエストロ』など多数のベストセラー(商品一覧はこちら)をリリース。
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