ブックキュレーター作家 月村了衛
「物語」の力、幅広さ、豊饒さ――それは常に我々の味方であった
絶えず変化を続ける現実社会の中で、我々は日々の暮らしを営み、世界と対峙していかなければならない。ともすれば挫けそうになる重圧の中、「物語」は常に我々に寄り添い、力を与えてくれる。その力と幅広さの一端を知って頂ければと願う。
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ベスト・ストーリーズ 1 ぴょんぴょんウサギ球
若島 正(編)
アメリカの文芸誌「ニューヨーカー」掲載の傑作群を年代別に収録したアンソロジー。現代アメリカ文学に触れる入門書としては恰好の選書と言えるだろう。錚々たる文人才人の作に触れ、物語の多様性を堪能して頂きたい。
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新・冒険スパイ小説ハンドブック
早川書房編集部(編)
豊饒なエンタテインメントの大河には様々な支流があるが、本流に近い大きな流れであっても、優れた案内人がいなければ人は容易に辿り着けなかったりもする。以前に比べ、近年はそうした案内人――ガイドブックが少なくなっているように思うのは私だけだろうか。そんな中で、本書は常に頼もしい道標であり続けるに違いない。
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笑劇全集 完全版
井上 ひさし(著)
本書は端的に言えばテレビの台本集、もったいぶって言えばモリエールやコルネイユの系譜にも連なる堂々たる戯曲集だ。生涯を賭して文学における笑いを追及した希代の才人の原点がここにある。仕事と人生に倦み疲れたときは、ぜひ本書のページをめくってもらいたい。
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現実はあまりに不条理だ。その不条理さの前に、人はときとして力尽き、もろくも崩れ落ちてしまう。一体どうすればいいのだろう? 不条理な物語は、現実を映す鏡である。奇妙な物語を愉しみつつ、現実を見つめ、相対化する術を身につけられれば幸いだ。
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極言すれば、時代小説と歴史小説とはまったくの別物だ。隆盛を誇る歴史小説に比べ、明朗時代小説が顧みられなくなった現状は、大変悲しむべきことである――などという作者の妄言はさておいて、正統時代小説文体で書かれた「バカにもほどがある」物語で、大いに笑って頂きたい。浪漫もロマンスもあり。
ブックキュレーター
作家 月村了衛1963年生まれ。小説家。早稲田大学第一文学部卒。2012年『機龍警察 自爆条項』で日本SF大賞、2013年『機龍警察 暗黒市場』で吉川英治文学新人賞、2015年『コルトM1851残月』で大藪春彦賞、『土漠の花』で日本推理作家協会賞受賞。その他の著書に『槐』 『影の中の影』『ガンルージュ』『黒警』『神子上典膳』など。2016年現在「ミステリマガジン」に『機龍警察 狼眼殺手』、「週刊文春」に『コルトM1847羽衣』、「小説推理」に『追想の探偵』連載中。公式サイトは、〈月村了衛の月録〉(http://d.hatena.ne.jp/ryoue/)。
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