ブックキュレーターhonto編集員
戦後の沖縄をざまざまな視点から見つめ、あらめて理解するための本
私たちは、戦後の沖縄をどの程度きちんと理解できているのでしょうか。政治問題としての沖縄、経済・社会から見た沖縄、日本にとっての沖縄の存在、現地にいた人だからこそ見える姿、隠された日米間の密約など。さまざまな視点から沖縄を見つめることで、思い込みではなく、きちんと理解しませんか?そのための道しるべとなる本を選びました。
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本書は、本土復帰後の沖縄について特定の立場によることなく、政治・経済・文化と多面的に描いた良書です。政治・基地問題だけでなく、経済・社会にもスポットを当てていることが、沖縄の歴史の全体像を把握するのに役立ちます。21世紀以降の記述がやや薄いので、その点は他の本で補ったほうがよいでしょう。
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本書は、日米同盟が構造的に沖縄を犠牲にして成り立っているという立場で書かれています。沖縄・辺野古における新たな巨大基地建設の検討は、戦後70年の日本、米国、そして沖縄の関係史の先にある。そのような1995年以降の基地問題に関する記述が全体の半分を占めていて、前書『沖縄現代史』と合わせて読むと理解が深まります。
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『日本にとって沖縄とは何か』が基地移設反対の立場からの論なのに対し、本書は、沖縄の抱える問題を元在沖縄米軍関係者という地元密着の視点から論じています。過度に「反対」意見を掲げる人々の政治性、政権交代による変化、アメリカや米軍の考え、メディアの偏向などの視点から基地移設問題を見つめることで、別の面が見えてくるはずです。
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沖縄返還にはさまざまな「密約」が存在したとことが、近年相次いで公開されたアメリカの公文書や、交渉当事者の証言で明らかになってきました。かつてその一角を暴きながら、そのことで機密漏えいに問われた元毎日新聞の記者が、豊富な資料をもとにあらためて沖縄返還の全貌を描く本書。沖縄の背景を知るための必読書です。
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本書はいわゆる歴史書ではありません。しかし、戦場カメラマンとして長年カメラを持ち続けてきた沖縄生まれの著者が、あらためて沖縄を振り返って撮影した写真の数々には、文章とは異なる説得力が詰まっています。客観性がないために偏りはありますが、文章だけでは得ることのできない「リアリティ」を感じられる一冊です。
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