ブックキュレーターHONZ代表・元日本マイクロソフト社長 成毛眞
新書で読む宇宙
宇宙は一つなのか?宇宙は人間のためにあるものなのか?太陽に異変が起こっているのは本当か?宇宙論、天文学に関する新しい知見を紹介してくれる新書を紹介する。
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著者は『フェルマーの最終定理』や『暗号解読』などの翻訳で読者からの信頼もあつい青木薫さん。テーマは、かつて科学者の大反響を浴びた、人間のために宇宙があるという「人間原理」。「科学の道」と「人文学の道」の2本の道が、20世紀半ばに人間原理で相まみえることになる。「2本の道」という伏線は、本書が上質のサイエンス・ミステリーであることを予感させる。
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宇宙は無数にあるのか
佐藤 勝彦(著)
マルチバース理論(多重宇宙の理論)について語る本だ。著者はビッグバンがどのように起きたのかを明らかにする理論「インフレーション理論」を提唱した一人。本書はそのインフレーション理論を解説するとともに、宇宙は単一(ユニ)ではなく、多重(マルチ)であることを示唆する考え方として紹介する。最後の第六章では「人間原理」について著者の見解を示しながら紹介。人間原理について第一線に立つ研究者の生の声が聞けて興味深い。
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中心テーマである素粒子の標準模型。それは、数多くの物理学者たちがさまざまなアイデアを出しあって作り上げたパッチワークのようなものだという。そのパッチワークがどのように織り上げられていき、ヒッグス粒子の発見と標準模型の完成につながったかを本書では解説。なかでも、2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎の「対称性の自発的破れの原理」を解説する第五章は読みどころだ。
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オリオン座のα星ベテルギウスが、すでに超新星爆発を起こしているかもしれないというショッキングな事件をタイトルにしている。ベテルギウスの光が地球に届くには640年かかる。なのでもうすでに爆発して、消滅しているかもしれない。ベテルギウスが超新星爆発を起こすと人類が滅亡するのか?超新星爆発を中心に、宇宙論や天文学に関する最新の知見をわかりやすく紹介している。
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2つの太陽観測衛星「ようこう」と「ひので」が発見した太陽の今の姿について、わかりやすく詳細に解説した本。現在太陽では異変が進行中だという。それにより想像を絶する環境変動が、ある日突然やってくることも考えられる。とはいえ、本書は人類滅亡への警告書のたぐいではない。科学的な理解にもとづいて太陽のメカニズムや実像をしっかり説明してくれる読み物だ。サイエンスマニアにとっては、コロナ加熱、磁気リコネクション、アルベーン派など、専門用語も満載で楽しめることだろう。
ブックキュレーター
HONZ代表・元日本マイクロソフト社長 成毛眞1955年北海道生まれ。元日本マイクロソフト代表取締役社長。1986年マイクロソフト株式会社入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。現在は、書評サイトHONZ代表も務める。『2040年の未来予測』(日経BP)など著書多数。
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