ブックキュレーターメディアクリエーター 重信裕之
本ばっかり読んでいないで、東京建築散歩に出かけませんか?
1923年の大震災、1945年の大空襲、1964年のオリンピックと、東京はほぼ20年周期の大規模な都市改造で経済を発展させてきましたが、80年代半ばにはそうした大改造の代わりに不動産投資ブームが起こり、すぐ弾けちゃったのはよく知られているところです。結果、建築的には良くも悪くもバラエティに富んだ街として今に至っています。2020年に東京がどう変わるのか、想像しながら歩くのも楽しい。
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建築散歩的切り口の本は思いのほか多く出版されていますが、見た目や歴史、設計者を重視したものが多く、構造とか、目的に着目したものは少ないようです。この本は初心者にもわかりやすい構造解説付きで読みやすい。明らかにユニークな建物ではなぜこの形なのかを知り、別段普通の建物ではなぜこれがユニークなのか、も知ることができ、街歩きが楽しくなります。
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今でこそ「ブラタモリ」的な街歩きは一種の流行ですが、すべてはここから始まったと言ってもいい。この本がバイブルです。30年以上前に書かれたものなので、取り上げている建築のほとんどは現存していませんが、覚えている人にはノスタルジーもあるし、知らない人でもこういう視点で街を歩くなら自分でもできそうだ、と思わせてくれる、読んでるだけで楽しい本です。
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著者の秋庭俊さんは、長年東京の地下を研究しているジャーナリスト。江戸時代から戦前に至るまでの間に、東京には国民に知らされていない無数の地下道、地下建築があって、地下鉄やビルの地下に形を変えることで、少しづつ日の目を見ている、とのことです。膨大な資料の研究と度重なる取材を経て、その地下の形を読み解いていくプロセスは、ミステリー小説も顔負けの面白さ!
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42歳の営業マンが都庁で地震に合い、帰宅困難者として下町の自宅へ徒歩で帰るまでの様子を、実際の防災シミュレーションに基づいて描く。ごく普通の主人公の自然な欲求からくる行動が、福井さん独特のヒューマニズムに結実する描写は、コミカルなのに泣けてきます。ラスト近く、妻子の無事を確かめたあとまだ新築したばかりの家にたどりつくと、そこで余震が起き、「力尽きたマイホームが主に一礼して」崩落する、というシーンがあって、ここに人が建築に魅力を感じる本質があると思ったので、あえて選んでみました。
ブックキュレーター
メディアクリエーター 重信裕之1961年神奈川県横浜市生まれ。住宅情報誌の編集者からスタートし、雑誌編集者として角川書店(現・KADOKAWA)時代に「ニュータイプ」「ゲームウォーカー」「千葉ウォーカー」「東京ウォーカー」などの編集長を歴任。2009年より株式会社アッシュ&カンパニーを設立し独立。フリー編集者・メディアプランナーとして活動する傍ら、大手商業施設の販促コンサルタントや都市部の学生を誘致し定住促進を図る地方創生事業の立ち上げなども行っている。2012年より日本科学未来館外部諮問委員、2015年より別府市政策アドバイザー。2016年より千葉県限定フリーマガジン「JP12」の編集長を務めている。www.h-co.jp
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