ブックキュレーター哲学読書室
意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
「意志」について考えるきっかけになる本を選びました。「意志なんて、何か考えるべきことなんてあるの?」と思われる方もいらっしゃるかと。このテーマ、哲学ではそれなりに論じられています。けれども、いったい何が問題なのか、いまいち分かりにくいんですね。それをハッキリさせる五冊を選んでみました。【選者:國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-:高崎経済大学准教授)】
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それは私がしたことなのか 行為の哲学入門
古田 徹也(著)
一般的には人は自分の意志に基づいて行為していると思っています。それに対し最近の脳科学は、そうではない、意志は行為を決定していないと言います。古田さんのこの本を読むとこの対立自体が実に曖昧なものであることが分かります。そこでは何が「意志」とか「意図」と呼ばれているのかがハッキリしないからです。第1章1-6-3節での、意図の瞬間性に対する批判は実に見事です。
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その後の不自由 「嵐」のあとを生きる人たち
上岡 陽江(著) , 大嶋 栄子(著)
アルコールや薬物への依存症をもつ女性たちについての本です。やむにやまれぬ衝動とパニックの中で取り返しのつかないことをしてしまう・・・。それはいかなる原因をもって、どのように起こるのか? その「嵐」の後を彼女たちはどう生きてきたのか?読者はこれは身近な問題なのだと気付くでしょう。しかしそれは見て見ぬ振りをされてきたのです。おそらく哲学もそうしてきたのです。
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過去と未来の間 政治思想への8試論
ハンナ・アーレント(著) , 引田 隆也(共訳) , 齋藤 純一(共訳)
アーレントはその遺作となった『精神の生活』(岩波書店)で意志について徹底的に論じています。が、ここではもう少し読みやすいものを紹介しましょう。この中の「自由とは何か」という論文でアーレントは「自由freedom」を「意志の自由liberum arbitrium」とは異なるものとして定義しています。その議論を理解しておくと彼女の晩年の意志論が理解しやすくなるはずです。
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ビリー・バッド
ハーマン・メルヴィル(著) , 留守 晴夫(譯)
やはり話の筋は書かずにおきましょう。天使のような美男子の水夫、ビリーを巡るこのメルヴィルの傑作は、人間存在の再定義を迫っていると言っても過言ではないでしょう。この短編を読みながら、読者は意志、行為、性格、人生、社会、歴史・・・様々な要素について考えずにはいられません。翻訳は数多くありますが、私は留守晴夫氏のこの翻訳で読むことを強くお勧めします。
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中動態の世界 意志と責任の考古学
國分 功一郎(著)
意志そして責任についてすこし変わった観点から論じているのがこの本です。中動態というのはかつて存在した、能動態でも受動態でもない文法事項のことなのですが、この文法を出発点に、意志や責任、更には人間の自由まで論じています。あまり見慣れないものを扱っているわけですが、平易に書かれています。ぜひチャレンジしてください!世界の見方が変わるはずです!
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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