ブックキュレーター彩流社 編集者 高梨治
連合赤軍「あさま山荘事件」から45年!歴史を忘れないために
時代の転換期の1972年、人びとはテレビ中継に釘付けになりました。テロ組織、連合赤軍が人質をとって立て籠もった「あさま山荘事件」に。事件後、内部リンチの悲惨さなどが知れ渡り、学生運動は一気に終焉に向かいます。日本中を恐怖に陥れた事件を知らない若者も増えている45年後の「今」だからこそ、あえて歴史を振り返ってみましょう。
※本ブックツリーの内容は、執筆時点(2017年4月3日)の情報に基づいております。
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連赤のメンバーの証言をまとめた書籍は幹部の永田洋子や坂口弘などのものがありますが、本書は末端の一兵士の手記。ひとりの若者がいかにしてテロ集団に入り、仲間殺しを犯したのか、当事者でなければわからないディテールがリアルに描写されます。この貴重な手記が歴史の証言となり、多くの書籍の種本にもなっています。
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事件は、警察側からも克明に記されました。著者は、厳冬の軽井沢にて警察官僚として実際に陣頭指揮を執った佐々淳行。犯人は人質をとりライフルなども所持、警察庁長官から直命を受けた佐々は遺書を認めたといいます。警察の苦杯、マスコミ対策、3人の死者、27人の負傷者を出した経緯がスリリングに語られます。
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歴史のなかの「あさま山荘事件」を活写。振り返ると1972年は、田中角栄が列島改造を叫び、札幌オリンピック開催、ニクソンの訪中、『ぴあ』の創刊などと高度成長期のピークにあたります。歴史を俯瞰することによって、同時並行で起こった事件と連赤のメンバーたちの行動がいかに特殊だったのか、改めて教えてくれます。
ブックキュレーター
彩流社 編集者 高梨治彩流社編集部所属ですが自称「やさぐれ編集者」。1970年生まれ、大学、大学院では英文学を専攻するも、手がけている主なジャンルは、文学をやりたくて今の版元にいますが、人文系、社会系、文芸書からサブカル系など、自分がよいと思ったものは本にしようと奔走します(が理系は無理)。人文社会系の学術書と一般書を半々の割合で年間20冊以上のペースで作り、自分の担当本は我が子のように愛します。一般書での主な編集担当本は「定本 荒巻義雄メタSF全集」(全8巻)、ロングセラーの『絵はすぐに上手くならない』、小野俊太郎の「精神史シリーズ」など。
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