ブックキュレーターひぐらし文庫 店主 原田真弓
人生が顔に出るように、物語を映し出す、紙の本。
電子書籍の影響で、「紙でなきゃ」という本が刊行されるようになってきました。しかけ絵本やおまけ付きの本など、雑貨のような本が真っ先に頭に浮かびますが、本来は中身が伝わる「器」であるのが紙の本。人生が顔に出るように、物語を映し出す顔のようなものなのです。手にしたときから物語を感じる本をご紹介します。
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料理本ですがぜひ伝えたい!糊で背を固めているレシピ本が多い中、この本は糸で綴られています。あまいびん。中身は保存がきくものです。調理台で広げながらコトコトと時間をかけて作ることができるようになっています。レシピにまつわる短い文章もあり、軽い仕上がりなのに丈夫でかわいい。何度も手にして作りたくなる本です。
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写真家、石川直樹さんの、日本を含めた各国の様子が映し出されたポストカードで、旅券のように切り取ることができます。切り取り残る部分には旅先での石川さんの様子が書かれています。くるんでいるカバーは折りたたみで、広げると地図のよう。カバー裏には書ききれなかった物語が入っています。読んで見て送ってぎゅっと1冊。
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タイトルを見ると少し意味深で、小耳に挟んだくらいではよくあるアイドルの・・・と勝手に解釈しがちですが、読後はまったく違った印象を受けると思います。手記ではありながら、ブレることもなくどこか鮮明。カバーは白紙を両端折った状態で、隙間から彼女が色彩豊かに映し出されており、こっそり覗いているような感覚に。
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フランスにイスラム教政党が第一党になるという架空ではありながら、近い未来起こるのではないか?思わせる話の運び方で、衝撃的な内容です。描かれる人間の本質には軽く絶望も覚えます。鋲を想像させるカバーデザインよりも、唸ったのは、本の背がまっ平らなことです。物語が灰色の四角い壁に閉ざされているように見えます。
ブックキュレーター
ひぐらし文庫 店主 原田真弓新刊と古書を扱う本屋。現在は製本の勉強のため、通信販売のみ営業。紙の本、電子書籍に関わらず、購入する本、借りる本、本を取り巻くすべての環境に魅力と可能性を感じており、2017年4月に、書店経験を活かした、電子書籍をもっと愉しめるサイト「DIGITAL&PRINT BOOK CENTER」を立ち上げる。紙の本の魅力を伝えるページも制作予定。サイト:higurasibooks.wixsite.com/nakamitoutsuwa
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