ブックキュレーターフォトグラファー・記者 長塚奈央
何かに「はまった(夢中になった)」人が見ている景色が体感できそうな本
「今~にはまっている」という言葉。ぴったり合うとか、すっぽりと落ちてしまうなどという意味から転じて「夢中になる」という時に使われるその言葉には「一瞬で惹かれ(面白くて)抜け出せない」という雰囲気も感じます。最近読んだのはまさに何かにはまった人が主人公だったり筆者だったりする本。共通点がありあそうなそんな本を紹介します。
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波の音が消えるまで 上
沢木 耕太郎(著)
思いがけずマカオに立ち寄った主人公はホテルのカジノで見た「バカラ」というゲームに引き寄せられ、まるでその魔力の真相を突き止めたいとばかりに日々を注ぎ込んでいく。ゲームをどう読むのか、それは人生の視点のようなものとも重なってみえる。リアルな肌感覚を覚える異国の街の風景描写は沢木耕太郎さんならでは。
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インタビュー
木村 俊介(著)
著者は1977年生まれの木村俊介さん。趣味のように始めたというインタビューのおもしろさにとりつかれ、本業として20年の間に話を聞いた人は1000人にもなったという。過去のやりとりを再認識したり、継続することで初めて気づく発見など、積み重ねの中で見えてきた「インタビュー」という仕事とは何かについて。
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パンをこよなく愛しパンの研究所「パンラボ」を主宰する池田浩明さんが、東京の200軒近いパン屋を詳細に取材して書いた一冊。前書きにある『熱烈に食べたいと思い(中略)パンという現象の総体を見定めたいという思いになった』という言葉が印象的。パン職人の思い、食感、店の雰囲気など池田さんならではの表現をぜひ。
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はちうえはぼくにまかせて
ジーン・ジオン(さく) , マーガレット・ブロイ・グレアム(え) , もり ひさし(やく)
人気絵本『どろんこハリー』と同じ夫婦が文と絵を手掛けた一冊。夏休み、旅行に出かける人の鉢植えの世話を一手に引き受ける小さな男の子が主人公。家の中はすぐに植木鉢だらけに。楽しくて毎日夢中で世話する日々の中で、男の子が何かに気づいたり発見したり工夫したりする様子が、かわいらしくもなるほどと思えます。
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料理を習いにフランスへ
平野 由希子(著)
料理家の平野由希子さんの一冊はカスレ漬けのフランス滞在記。カスレとはフランス南西部の郷土料理で、豆や肉を土鍋で煮込んでオーブン焼きした料理。あちらこちらの店で食べ、家庭やレストランでカスレを習い、蚤の市ではカスレ鍋を探す。ひたすら一つのことを追求するようなこんな「旅」もしてみたいもの。レシピ付き!
ブックキュレーター
フォトグラファー・記者 長塚奈央1973年東京生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業ののち、パルコブックセンター本部勤務を経てカメラマンに転身。書籍や雑誌を中心に料理や雑貨、インテリアの撮影を多数手掛けるほか、カメラ学校の講師などもつとめる。著書に自ら旅し、食のシーンから街の空気を写真と文章で綴った『上海口福案内』がある。近年は撮影の傍ら、地域に密着したWebニュースの記者として積極的な取材活動も行っている。日常からあっという間に非日常へとワープできる本と映画、舞台が生活に必要不可欠。
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