ブックキュレーター有斐閣 書籍編集第二部 四竈佑介
口に出さないけど本当はファッションが好き。なら、社会学しませんか?
僕、わりと服が好きなんです。でも、それを人に言うことってあんまりないんですね。そういう男性って自分以外にも結構いるような気がしますが、でも、それってどうしてでしょう(それとも、こう考えてるのって僕だけ・・・?)。社会学ならこういう身近でざっくりした「問い」から、自分の生きている社会について理解を深めることもできるんです。
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上の問いに、社会学を使って応えるなら「わたしたちは知らず知らずのうちに性別にともなうルールや『らしさ』(ジェンダー)に沿って動いているから?」と、まずは言えそうです。ファッションは、こうした社会学的な問いを考える題材にピッタリ。世の中の「理屈」を、身近なところから読みとく面白さを教えてくれます。
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昔から世の中にはものすごい服好き(今だとファッショニスタ?)もいて、この本に出てくる彼らは戦前・戦後のアメリカから服装の流儀を輸入・解釈し、流行をつくりました。その後、ある意味で起源を追い越してアメリカでの逆輸入ブームを起こすまでに至ります。熱狂と適当のあいだで文化が生まれていく様子を楽しめます。
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アメトラが流行をつくる側を描いたとしたら、本書は流行そのものの盛衰を豊富な写真とともに描きます。戦後のアプレ、みゆき族から現在のノームコアまで、ストリートファッションが時代の変化とともにあった(そのものであった)ことがわかります。年表や豊富なイラスト資料は、創作や記事執筆の資料集としても役立つもの。
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言わずと知れた日本人デザイナーの草分けの軌跡を、豊富な資料からたどります。時代がつくる/時代をつくる、双方の視点を往復しながら読みとくには、まとまった資料が必要ですが、とっかかりの一冊として相応しいものです。ヨウジ・ヤマモトの造形は単純に見ているだけで楽しいので、まずは何も考えずに眺めても。
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「大事なブランド服を内戦の戦火から避けるために包んで埋めておいた。掘り起こしたら、ぜんぶ土になっていた」・・・何を言っているんだろう?と思うかもしれませんが、壮絶な環境と隣り合わせにある人々の「文化」の力を知れば感嘆するはずです。空腹に耐えながら舗装されない道路を闊歩するファッショニスタの極北。
ブックキュレーター
有斐閣 書籍編集第二部 四竈佑介編集者(学術書)。法律書で有名な有斐閣の「法律書以外」の編集部で仕事をしています。おもな担当分野は社会学。担当書に『質的社会調査の方法』『ファッションで社会学する』『社会学入門』『現代日本の「社会の心」』『ボランティアを生みだすもの』など。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(相関社会科学)。1984年生。https://twitter.com/RyShikama
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