ブックキュレーター人工知能研究者・ゲームAI開発者 三宅陽一郎
知能と人工知能を深く考える本~哲学、マンガ、SF、チンパンジーからゲームまで~
人工知能がブームと言われています。僕も人工知能をもう17年も研究していることになります。しかし、人工知能は人間の知能を参考に作られます。ですから、人工知能を深く理解するには、実は我々自身の知能、我々自身を知ることが一番たいせつです。人工知能は、人間から出発し、やがて人間以外のものになって行きます。鳥から飛行機がつくられたけれど、飛行機は鳥ではないように、しかし、鳥でもあるように、人工知能を知る手がかりは我々自身の中にあるのです。
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井筒俊彦全集 第8巻 意味の深みへ
井筒 俊彦(著)
ロシア語、アラビア語、サンスクリット語、中国語、あらゆる語学に通じ、イスラム教、キリスト教、仏教に精通した、稀代の天才、井筒俊彦が、過去と現在、西洋と東洋をつなぐ思想を深くわかりやすく描いたインスピレーションに満ちた小論集。自分としては自著『人工知能のための哲学塾』のインスピレーションの最も大きな源泉となりました。この本に出会えたことを深く感謝しています。今こそ読むべき人類の知能の源泉を知るための本。
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コレクション認知科学 新装版 12 チンパンジーから見た世界
松沢 哲郎(著)
霊長類学の第一人者が、チンパンジーへの緻密な実験と観察を重ね、客観的な事実の積み上げによって、チンパンジーの主観的世界の構造を解き明かしていく傑作です。認識について、記憶について、仲間との協調について、工夫された実験から、われわれ知能の姿が解き明かされて行きます。行動から言葉の構造を解き明かし、認識の形態を探求する「生成文法と認識の構造の対応」については、僕自身の講演や本でも何度も引用させて頂いています。
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人間は地下都市に追いやられ、地上ではアンドロイド(人型人工知能)が我が世の春を謳歌する世界。人間もアンドロイドも、知的な存在であることに苦しみ続ける中、預言された解放の日が迫る。人間であること、アンドロイドであること、生物であることの苦しみから、結末のカタルシスへ至る、知能を考える傑作です。この物語を僕が読んだのは10年前のことですが、今なおこの物語から、知能の意味について問い続けられているような気がしています。
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柔らかい線、柔らかい物語、あらゆる生物を溶け合うように描かれる市川春子の物語はせつなくやさしい時間を与えてくえる。しかし、突然、夕暮れの激しい雷光のような展開が主人公たちに降りかかり、読者を見知らぬ新しい場所に連れて行く。生命への愛と神秘を独自の境地で描いた傑作集。僕は多分、100回ぐらいは読んでいます。手塚治虫「火の鳥」など、生命と人間のスペクタクルが好きな人にお薦めです。
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デジタルゲームは50年の歴史を経ようとしていますが、ゲームは永遠に若い躍動するアートであると共に、そこに深い哲学的意味があるべきです。それは哲学からゲームを作るということではなく、本質をついたゲームは自然と哲学的意味を含むことになるということです。「ポケモン」は20年以上、世界的にヒットし続けているゲームですが、その魅力の源泉を中沢新一さんが、レヴィ=ストロースの『野生の思考』を手掛かりに探求して行きます。ゲームについて、最も古くから最も深く思考した本の一冊。人工生命と哲学からゲームの中の知能を考えてみませんか?
ブックキュレーター
人工知能研究者・ゲームAI開発者 三宅陽一郎京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程を経て、2004 年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。共著『デジタルゲームの教科書』『絵でわかる人工知能』(SBクリエイティブ)、著書『なぜ人工知能は人と会話ができるのか』(マイナビ出版)、『人工知能のための哲学塾』(BNN新社)ほか。翻訳監修『ゲームプログラマのためのC++』(SBクリエイティブ)、監修『最強囲碁AI アルファ碁 解体新書』(翔泳社)など。日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。時にハードSF読書会からtwitter上で「選択肢リレー小説」を主宰。Twitter:@miyayou
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