残されたビジネス人生を精いっぱい生きるための指針となる本

今年は明治維新150年という節目だが、この本は、欧米列強のアジア進出に対する強い危機感を共有し、大きな志を胸に国民国家の形成を目指した20代、30代の多彩な志士たちの群像を鮮やかに描いている。若くして国を思い、リスクを省みずに行動を起こした彼らの格調高い精神に触れ、背筋が伸びる思いがする。

教育者であり、キリスト教思想家である内村鑑三が、キリスト教信徒向けに行った二つの講演を収めたもの。二つの話とも比較的短いストーリーではあるが、たいへん長きに渡って記憶に留まる内容である。特に前者は、すべての人にとって人生の大きな指針となるに違いない。

40年以上前に書かれた本なので、すでに古典と言えるかもしれない。もちろん考え方は普遍であり、特に情報が溢れ返っている今だからこそ身に着けたい考え方である。深く考えることを怠りそうになった時、継続的な自己研鑽を怠りそうになった時、この本は尻を叩いてくれる。

「なぜ働くのか」という仕事をしていく中で幾度も突き当たる根本的な問いについて、思索を深めるための手助けをしてくれる。日頃素通りしがちな重要な点に足を止めさせられ、考えさせられる。この本を読みながら自問自答を繰り返すことで、ノウハウに留まらない、深い気づきを得ることができるだろう。

バブル期の完全な売り手市場の中で大量入社した世代もすでに50代に差し掛かっている。現在その多くは、企業の中で報われない立場に置かれている。徐々に低年齢化してきている役職定年後のまだまだ長いビジネス人生をどう生き延びていくのか。各世代にはそれぞれ強みがある。もちろんバブル世代にも。