ブックキュレーターフォトグラファー・記者 長塚奈央
詩人・谷川俊太郎さんが手掛ける、詩と詩以外の作品を楽しむ本
新宿で開催中(2018年3月まで)の「谷川俊太郎展」に行ってきました。詩人の現在にスポットを当てたという展示ですら2000篇を超える詩から選んだ作品を展示したそうですが、谷川さんの活動は詩作だけにとどまりません。『ピーナッツ』(スヌーピー)の翻訳や『鉄腕アトム』の主題歌も!幅広い作品から詩と詩以外の本を集めてみました。
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私 谷川俊太郎詩集
谷川 俊太郎(著)
まずは詩集から一冊。この本の最初の詩「自己紹介」は、文字通り谷川さんが自分の言葉で綴った「自分自身」で、今回の展示会の柱となっていた詩。詩に並ぶ言葉はどれもわかりやすくて、光景が浮かんでくるよう。共感しながらもその言葉の組み合わせにドキっとし、「自分」とは、「言葉」とは、と静かに思いが巡ります。
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女に 谷川俊太郎詩集
谷川 俊太郎(著) , 佐野 洋子(絵)
同じく詩集から、谷川さんの詩とともに、かつて夫婦でもあった佐野洋子さんの装画を一緒に楽しめる一冊。佐野さんは名作絵本『100万回生きたねこ』も手掛けられた方。人が生まれてくるその誕生の瞬間のきらめきや、人と人との出会い、恋心、愛おしいと思う心の揺れが伝わってくるような36篇で、すべて英訳付き。
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ひとり暮らし
谷川 俊太郎(著)
谷川さんが日々の食生活、聞いた音楽、観た映画、コレクションしているラジオのことなど日常を綴りながら、自分や家族、詩についてや死生観などを記したエッセイ。自分が誕生する時、父が「病院の廊下で当時流行のヨーヨーをしていた」という一節など、自分のことですらどこか客観的に見つめる視線にユーモアを感じます。
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こっぷ
谷川 俊太郎(文) , 今村 昌昭(写真) , 日下 弘(AD)
『もこもこもこ』を描いた元永定正さんはじめ、和田誠さん、長新太さんらと多くの絵本も手掛けてこられた中から写真絵本を。もともと1971年に雑誌『かがくのとも』の一冊として刊行。水を入れる/落とすと割れる、などシンプルな写真と言葉でコップを紹介。倒れて牛乳がこぼれてしまったコップのページの文が最高です。
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フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし
レオ・レオニ(作) , 谷川 俊太郎(訳)
『スイミー』が有名なレオ・レオニ作品など、海外の翻訳絵本も多い谷川さん。同じレオニ作品『ペツェッティーノ』(=主人公の名前で小さいカケラ、の意)では「だれかのぶぶんひん」と訳すなど使われる言葉も印象的。言葉の持つ魔法が鮮やかに描かれたこの本は、主人公に重なる「詩人」の素晴らしさが感じられます。
ブックキュレーター
フォトグラファー・記者 長塚奈央1973年東京生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業ののち、パルコブックセンター本部勤務を経てカメラマンに転身。書籍や雑誌を中心に料理や雑貨、インテリアの撮影を多数手掛けるほか、カメラ学校の講師などもつとめる。著書に自ら旅し、食のシーンから街の空気を写真と文章で綴った『上海口福案内』がある。近年は撮影の傍ら、地域に密着したWebニュースの記者として積極的な取材活動も行っている。日常からあっという間に非日常へとワープできる本と映画、舞台が生活に必要不可欠。
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