ブックキュレーターフランス文学者、評論家、明治大学教授 鹿島茂
記憶の中の東京
東京ほど変化の著しい街はない。例えばパリは、10年どころか100年経っても街並みは殆ど変わらない。それに比べて現在の東京は10年前と比べて跡形をとどめていないほどの変化がある。いま接している東京は今でしか存在し得ない。しかし、それぞれの時代の、それぞれの人が、記憶の中に残しておいた東京が、本のなかには残っている。
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門 改版
夏目 漱石(著)
腰弁夫婦(新婚の若夫婦)が駆け落ちをする話だが、舞台となる明治30年ぐらいの東京がとても生き生きとしていたことがよく分かる。例えば神保町。主人公が市電を降りて当時の繁華街の一つである駿河台交差点のあたりを歩き、丸善に入るというくだりがある。漱石は明らかにディケンズの“ロンドン小説”を意識し、ひとつの都市小説として書いていることが分かる。
ブックキュレーター
フランス文学者、評論家、明治大学教授 鹿島茂仏文学者。明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。1949年、横浜市生まれ。1973年東京大学仏文科卒業。1978年同大学大学院人文科学研究科博士課程単位習得満期退学。現在明治大学国際日本学部教授。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。新刊に『東京時間旅行』(作品社)、『悪の箴言(マクシム)耳をふさぎたくなる270の言葉』(祥伝社)、『神田神保町書肆街考:世界遺産的“本の街”の誕生から現在まで』(筑摩書房)などがある。書評アーカイブサイト「ALL REVIEWS(https://allreviews.jp/)」を主宰。
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