ブックキュレーター小説家 佐藤多佳子
佐藤多佳子が選ぶ、ものがたりを楽しむ5冊
子どもの頃に何より好きだった二作、大人になりかけの頃に決定的な影響を受けた二作。大人も読めるという趣旨がなければ有名な小説二作は選んでいない――中学から高校が適齢だと思う。最も魂を揺さぶられた本の中から選書した。自著については今後も努力を。
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わたしたちの島で
アストリッド・リンドグレーン(作) , 尾崎 義(訳)
バルト海の小さな離島で、避暑客のメルケルソン一家と、島民や動物たちとの生き生きとした楽しいリアルな交流の物語。スウェーデンの海のそばの美しい暮らしにあこがれた。薦めてくれた従妹に、この物語の続きを作って手紙で送り続けたのが、私の創作の原点。
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イギリス北部の湖沼地帯で、ヨットの帆走、キャンプ、冒険に明け暮れる子どもたちの物語のシリーズ十二巻すべてお薦めだが、不運が重なり、ウォーカー兄弟だけで、夜に北海横断をすることになった本作のスリルとリアルは入門向き。ランサム・サガは一生の宝物。
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スタンド・バイ・ミー 恐怖の四季 秋冬編 改版
スティーヴン・キング(著) , 山田 順子(訳)
映画が有名だが、原作を読んでいただきたい。轢死体を探す冒険に出かけた四人の少年たちの友情と戦いの物語。ローティーンの少年たちの心の柔らかさ、自由さ、やりきれなさ、切なさが、これ以上ないくらいの純度の高い言葉で綴られていく。唯一無二の存在感。
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キャッチャー・イン・ザ・ライ ペーパーバック・エディション
J.D.サリンジャー(著) , 村上 春樹(訳)
今お薦めするということで新訳を。人の心や世の中の仕組みの醜さに耐えきれず、放校されて、空しく抗いながら町をさまようホールデン少年の心情が、リズミカルに鋭く胸に迫る。否定しながら何を肯定していくのか、憎しみの中でどう愛していくのか。不朽の名作。
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シロガラス 1 パワー・ストーン
佐藤 多佳子(著)
子どもの頃あこがれた本の世界に少しでも近づきたくて、チャレンジしているシリーズ物。複数の子どもたちが躍動し交流する、大きな物語を模索した。神社が舞台、突然超能力を授かり驚きつつも、お互いに支え合って友情を深め、色々な不思議を解き明かしていく。
ブックキュレーター
小説家 佐藤多佳子1962年東京生まれ。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞を受賞。『一瞬の風になれ』で本屋大賞と吉川英治文学新人賞を、『聖夜』で小学館児童出版文化賞を、『明るい夜に出かけて』で山本周五郎賞を受賞。そのほかの作品に『黄色い目の魚』『第二音楽室』等がある。
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