ブックキュレーター小説家・翻訳家 立原透耶
温故知新~中華系を舞台に創作をするなら、まずはこの五冊
一口に中華文明といっても、時代や地域、民族や王朝など文化はさまざま。とはいえ、SFやファンタジーを読む・書くなら、やはりこれだけは抑えておきたいというものがある。数多の作品から選出したのは、基本中の基本。もしかしたら自分の好きな小説や漫画、ドラマや映画の元ネタがあるかも!?
- 55
- お気に入り
- 5548
- 閲覧数





-
和訳聊斎志異
蒲 松齢(著) , 柴田 天馬(訳)
まずは読め、文句はなしだ、読めば分かる!
どの作品もレベルが高く、異類との恋愛や友情が完全にファンタジー。ゾッとする化け物も出てくれば、キュンキュンする美少女・美女・美青年も出てくる。映画「チャイニーズ・コーストストーリィ」もここから誕生した。 -
捜神記
干 宝(撰著) , 竹田 晃(訳)
中国古代、不思議な話を聞きあつめて書き記したエッセイのような小説のような、短い文章をまとめたもの。表立って幽霊やバケモノの話がしにくかった時代に、「これは本当の話なんです」と言い張って、「実録風」に書き記された、今でいう「怪談実話」でもある。のちの小説に大きな影響を与えた記念碑的な一冊である。
-
荘子 内篇
荘子(著) , 福永 光司(訳) , 興膳 宏(訳)
中国・戦国時代の思想家の一人である荘子は幻想的なたとえを多く用いて、自らの思想や哲学を広めた。老子と並んで老荘思想と呼ばれ、ともに道教の祖とされる。日本でも非常に有名な、眠って夢で胡蝶になったのか、それとも胡蝶が私になっている夢を見たのか、という自我について鋭く問いかける「胡蝶の夢」の出典はここである。
-
山海経 中国古代の神話世界
高馬 三良(訳)
当時の中国人の想像に基づいて創造された「地理書」である。海の向こうにはどんな国があり、どんな人間がいて、どんな生き物がいるのか。そこはまさに妖怪天国とでもいうべき奇々怪怪な世界が広がっていた。文字を元にして描かれたイラストも抜群のインパクトがあり、読んでも読んでも読み飽きることがない。
-
唐宋伝奇集 上 南柯の一夢
今村 与志雄(訳)
現代の感覚でいうところの「小説」としての体裁を持ち始めた頃の作品。幽霊あり、スーパーヒーローあり、女暗殺者あり、妓女との恋愛あり。「山月記」や「杜子春」、「牡丹灯籠」などの元ネタもこの時代に生まれた。キャラクター性、物語性がしっかりしてきて、非常に読みやすく、また面白い作品が多い。
ブックキュレーター
小説家・翻訳家 立原透耶「夢売りのたまご」にて1991年下期コバルト読者大賞受賞。ファンタジー、SF、ホラーなどを執筆。主な著作に『立原透耶著作集』(彩流社/既刊四冊)など。熱烈な中華SF愛好家。
ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です