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書架(もしくは頭蓋)の暗闇に巣食うものたち

「死とは空虚な名である。人が死に、魂と肉体が分離する時、なにものも滅することはないし、無に帰すこともない」(アグリッパ『隠秘哲学』第3巻36章)。死の気配が濃密さを増す暗い時代に不死性を統覚することは可能か。死の表象が反復する、狂おしい生のはざまに目を凝らしてみる。【選者:小林浩(こばやし・ひろし:1968-:月曜社取締役)】

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  • 人ならざるものへの変容の果てに人へと戻れずに死ぬこと、親の忠告と監視に包囲され追い詰められて自裁すること、入り方が分からないまま門の外で朽ち果てるまで待機すること。カフカは、死に至る理不尽な病について直観的に描くことができた。さらに進んで『審判(訴訟)』では犬のように殺され、『城』では終わりのない生殺しだけがある。

  • 特異な作品「死者」はその放縦なエロティシズムの発散にもかかわらず、バタイユの言う「死の光」にすべてを浸されている。女主人公の家に戻れば一室には死者がひしめいている。女主人公と伯爵の、死への落ち込み方の異様な素早さ。英国の哲学者ニック・ランドがバタイユの遺稿に見出した「絶滅への渇き」の片鱗はここにもある。

  • 本書において読者は、死へと滑落する群像を長回しで見せつけられる。悪い予感が漂い、行ってはいけないはずの方向へと接近させられていく。そこにはひどく憂鬱な結末しかない。堕落やら宿命やら負の連鎖などと評することすら寒々しいほどの暗黒もしくは視界不良が、ページをたぐる指先から読者に侵入する。ひたすらに危険な書物。

  • 地域社会を侵食し崩壊させていく悪意という力に私たちはどのように立ち向かうべきか。自警し自衛し排除すればそこはいずれユートピアになるのか。違う、それは無人の世界に行き着くだけだろう。あるいは世界の新生のために私たちは進んで死ぬべきなのか。死を選ぶ者と死に損なう者がいる。ぶざまでも生に踏みとどまらねばならない。

  • 本書に収められた最晩年の短篇「私の死の瞬間」で、ブランショは銃殺寸前だった自分の実体験を描いている。いったんは死神に魅入られ、彼岸へと突き落とされるはずだったものの、偶然に生き延びた。しかし本当に自分は生きているのか。断崖に立たされたままではないのか。むしろ「全面的に敗北しているからこそ無敵なのだ」(デリダ)。

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知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。

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