ブックキュレーター楽工社 営業部 長至巳
その場しのぎのレシピを本やウェブサイトから探し回ったりしないための5冊
専門料理の翻訳書籍を多く出している出版社の営業をやっております。我が社の新刊見本を書店の実用書担当さんに手に取っていただくとき、まずはその本に「どういうレシピ写真が載っているか」を割と念入りに検証される方が多いもので、あえてそういう視点でない名著をここでは並べてみることにしました。でも、売れた本なんですよね、実は全部。
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もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓
稲垣 えみ子(著)
全270ページのうち、レシピ写真が載っているカラー部分はわずか16ページ。後の254ページは基本的には、びっしりと文字が並びます。「だから自分で自分の人生を歩きたければ、誰もが料理をすべきなのである」との前提で書かれたコレは、本質的には『魂の退社』と姻戚関係にある稲垣えみ子流の生き様本だと思います。
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白地の背景にこのタイトル。かの有元葉子の名があればこそだけれども、これみよがしに美味しそうなレシピ写真が居並んだ料理書コーナーで際立つ存在感です。さらにページをめくってみると、散在する美麗な画像はあくまでも「証拠写真」という謙虚な脇役であり、主役は「語り言葉」の確固たる力と、豊潤な食材たちなのです。
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西洋料理の黄金比
マイケル・ルールマン(著) , 谷 水奈子(訳)
アメリカ最高峰の料理学校で伝授されてきた、門外不出の黄金比を初公開した、話題騒然の書籍の邦訳版。この超名門校の門をくぐった世界中のカリスマ・シェフの卵たちは、黄金比という「大樹の幹」をしっかり自らに取りこんだ上で、凡百のレシピの束縛から解放され、創造性に満ち満ちた食文化の担い手となっていたのですね。
ブックキュレーター
楽工社 営業部 長至巳1963年生まれ。出版と書店に関わる仕事を始めて四半世紀を超えました。ちょっと長い無職期間を抜け出し昨春(2017年)より業界復帰、現在は飲食に関わる翻訳書の出版社に勤めております。出身が茨城県で、大学が京都市で、地方出張も多い仕事のおかげで、日本の中で未踏の都道府県は宮崎県のみになりました。好きな作家・山田風太郎。別名で『1985』という小説を上梓したことがあります。あの『1Q84』より10年前に。
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