ブックキュレーター明治大学文学部教授 小野正弘
ことばの意味の重さを感じさせる本
ふだん言葉を使っているときには、意味の重みを強く感じることは、そうない。いちいち感じていては、話が前に進まないからだ。しかし、立ち止まって、ゆっくり言葉を味わい、似た意味の言葉との違いも考えつつ思いを掘り下げれば、言葉の意味の重みが感じられるだろう。言葉の意味の重みとは、つまりは、ひとのこころの重みなのである。
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三省堂現代新国語辞典 第6版
小野正弘(編) , 市川孝(編) , 見坊豪紀(編) , 飯間浩明(編) , 中里理子(編) , 鳴海伸一(編) , 関口祐未(編)
辞書を引いてみたとき、書かれている意味が、自分の「実感」どおりでなかったらどうか。「桜」を見たとき、「ああ、バラ科だ」と最初に思うだろうか。そうではなく、本格的な春の到来を感じて「花見」を期待し、あわただしく散ってゆく花を惜しむのではないだろうか。そんな意味の重みを追求した国語辞典である。
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ことばの意味 辞書に書いてないこと 1
柴田 武(編)
「あがる」と「のぼる」。「川を~」だと「のぼる」、「川から~」だと「あがる」と自然に使い分けている。しかし、それはなぜなのか? いざ説明しようとすると難しく、のしかかってくる言葉の意味の重み。その謎を解きつつ、いまどきの若者言葉でも、気分が高揚することを「あがるー!」と言うわけも示唆してくれる。
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ことば散策
山田 俊雄(著)
どんな言葉にも、それぞれの歴史があり、意味の重みがある。忘れられた言葉でも、掘り起こしてみれば、面白い姿を見せてくれるし、知っていると思っている言葉でも、意外な姿を見せてくれる。「赤電車」「青電車」は、どこが赤で青なのか。また、なぜそうなのか。その理由を知ったとき、言葉の意味の重みが降りてくる。
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古典をひもとけば、犬が「べうべう」とか「びよ」と鳴いていたことが分かる。これを、昔の犬と今の犬とでは、鳴き声がちがうんだなあと思うだけでも面白いが、それだけでは、意味の世界まで立ち入ったことにはならない。現代のような「わんわん」ではない理由の推測を読み進めると、意味の重みが感じられてくる。
ブックキュレーター
明治大学文学部教授 小野正弘1958年、岩手県生まれ。東北大学大学院文学研究科を経て、東北大学文学部助手、鶴見大学文学部講師・助教授・教授ののち、明治大学文学部教授(現職)。専門は、日本語の歴史(意味・語彙・文字)。近年、特に、オノマトペ(擬音語・擬態語)を研究している。著書に、『日本語オノマトペ辞典』(編著、2007年、小学館)、『オノマトペがあるから日本語は楽しい』(2009年、平凡社新書)、『くらべてわかるオノマトペ』(2017年、東洋館)等。http://www.kisc.meiji.ac.jp/~wonomasa/wonomasa.htm
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