ブックキュレーター中央公論新社ノンフィクション編集部部長 吉田大作
人生には穴がある
「穴があったら入りたい」という気持ちになることが頻繁にある。「結局、彼も同じ穴の狢だよ」なんて悪口を叩いたこともある。気づけば足元に大きな穴があいているかもしれない。人生は穴だらけ。ぼくらは穴を掘ったり、穴に入ったり、穴を埋めたりしながら生きている。小説を読みながら、そんな人生の穴について考えてみた。
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「発案者は、運輸省の若手官僚、山本清晴だった」。何を発案したのか。日本とブラジルを直線で結ぶ「穴」である。舞台は終戦直後の闇市から山梨のリニアモーターカー実験線横の秘密裏の工事現場へ。ぼくたちは何のために仕事をしているのか。つきつめて考えた先に何があるのか。折り目正しく語られるのは、虚無か希望か。
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頭に一センチ四方の正方形の孔があいていて、「ふだんは蓋をして、帽子をかぶっている」一族がいる。一族の男たちはみな、一生に一度激しく頭が痛み出し、世界のあらゆる無名の記憶が押し寄せる。何のために。だれに伝えるために。孔に樫の木の棒を差し込み、荒れ狂う記憶の粒子を吸収させる「わたし」が見る光景とは。
ブックキュレーター
中央公論新社ノンフィクション編集部部長 吉田大作1992年入社。卒論は『源氏物語』。入社試験の面接で「神西清の翻訳を含めた全集を作りたい」と発言し、当時の社長・嶋中鵬二に「君、全国に図書館がいくつあるか知っているかい」と諭される。「マンガ日本の歴史」「マンガ日本の古典」「日本の近代」の各全集、中公新書の編集部の後、『中央公論』編集部で7年間雑誌編集を経験、2018年より現職。最近担当したものは、樹木希林『心底惚れた』、戸部良一『昭和の指導者』、出口裕弘『辰野隆 日仏の円形広場』(中公文庫)。
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