ブックキュレーター白泉社MOE編集部 プロデューサー 森下訓子
昭和・平成・令和と時代が変わっても、変わらない猫絵本の魅力
昭和から平成に生まれた猫の絵本から、令和に受け継ぎたい珠玉の作品をご紹介します。時代を超えて「変わらないよさ」を伝えるのが絵本の魅力。「猫」というテーマだけでも、多様で普遍的な魅力をもった絵本がたくさんあります。猫の絵本には、作家自身の愛猫を描いたものも多く、猫描写から作家の方々の日常や、人となりが感じられるのも大きな魅力です。そう思いながら絵本をめくると、「ああ、この人猫が好きなんだなあ」と、猫愛が伝わってきます。人と猫の心のつながりは、時代が変わっても変わらない、絵本のテーマのひとつだと思います。
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アンガスとねこ
マージョリー・フラック(さく・え) , 瀬田 貞二(やく)
犬と猫の違いが面白く描かれた絵本。体験からいろいろなことを学び、成長する犬のアンガス。ある日猫があらわれ、奔放なふるまいにとまどうアンガス。餌をとる、怒るとひっかく、高いところへひょいと登る、予測不可能な行動、謎の生体・・・。自分にできないことをやすやすとやってのける自由な生き物に抵抗するアンガスは・・・。結末はぜひ絵本で読んでください。
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表紙に描かれた猫の、強くどこか切ない表情がすべてを語っているかのよう。この絵本を読んで号泣したという人を3人知っていますが、みな普段は全く絵本を読まない人々。この絵本がもつ求心力の強さがあらわれています。佐野洋子の描く猫の、誇り高さ、強さ、しなやかさ、せつなさにあなたも号泣してください。
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ねこのチャッピー
ささめや ゆき(文・絵)
飼い猫との別れをこんなにリアルに描いた絵本を知らない。娘とともに仔猫としてやってきて、ともに大きくなり、成長した娘に看取られて死んでゆく猫。大好きな生き物との別れは、悲しくて、受け入れ難いことだけれど、それによって、それまでの猫との愛と喜びにみちた何気ない日々のつらなりが、光となって心に宿るような絵本。大切な存在を亡くされた方の心によりそう本だと思います。
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はんなちゃんがめをさましたら
酒井 駒子(ぶん え)
家族が寝静まったあと、ふと目を覚ました小さな女の子。猫だけがおきてきて、暗い中を一緒にトイレへいきます。青い月夜に照らされ、台所でこっそりと秘密の時間をすごすようすは、猫と子どもの距離感や親密さがほんとうに絶妙で、素敵な猫絵本だと思います。
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ネコヅメのよる
町田 尚子(作)
猫といると、猫にしかわからない「時」というのがあるのがわかります。飼われていても、なついていても、謎につつまれたねこの野生。はっとするほど美しい、猫の本能の行動。それを見事にすくいとって猫になりきったかのように描いた作者は、そうとうの猫好きとお察しします。猫の美しさがほとばしっている絵本です。
ブックキュレーター
白泉社MOE編集部 プロデューサー 森下訓子絵本月刊誌MOEの編集に30年携わり、単行本絵本の編集も手がける。絵本についての講演や、ワークショップなども行う。編集を手がけた主な絵本に『つみきのいえ』加藤久仁生・絵/平田研也/文、『よるくま クリスマスのまえのよる』酒井駒子/作、『ぶーちゃんとおにいちゃん』島田ゆか/作、『ABCパーティ』tupera tuperaなど。
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