ブックキュレーター日本経済新聞編集委員 小平龍四郎
危機から浮上する新しい経済
経済社会は危機を経るたびに変容し、鍛えられる。異常が状態化するなかであっても、私たちが寄って立つ場所は経験と歴史しかない。同じことが繰り返されているように見えつつ、世界はらせん階段を上るように進化を続ける。
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株主利益の重視に偏った経済運営や企業経営を見直す。それが米ハーバード・ビジネス・スクールの人気授業であるという事実に注目すべき。公正な社会をビジネスのロジックでいかに実現するかが、21世紀の資本主義の最大の課題であると教えられる。
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2008年の金融危機を経験した後、すべての市場関係者にとっての最大の関心事は「第2のリーマン・ショック」を防ぐことになった。しかし危機の封じ込め策は新たな不均衡を生み、世界は不安定化する。その逆説の構図と向き合うことが必要。
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帳簿の世界史
ジェイコブ・ソール(著) , 村井 章子(訳)
経済危機が起きるたびに、必ず振り返られる1930年代の大恐慌。グローバル化した金融資本市場を適正に管理することは、市場活動にかかわるすべての者にとっての永遠の課題。危機のさなかに次代を開く革新の芽が育つことも、歴史は教えている。
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スーパー大陸 ユーラシア統合の地政学
ケント・E.カルダー(著) , 杉田 弘毅(監訳)
中国と欧州が結びつきを強め、スーパー大陸としての「ユーラシア」が出現する。著者の仮説は刺激に満ち、危機と分断の時代の未来について1つの道筋を示す。日米、欧米に比べて見えにくい中欧関係にももっと目配りが必要だと痛感させられる。
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スティーブ・ジョブズ 1
ウォルター・アイザックソン(著) , 井口 耕二(訳)
繁栄と没落、再生の産業史を体現する企業をひとつ挙げるとすれば、米アップルだ。若いビジネスパーソンはアップルがかつて破綻の危機に瀕していたことなど想像もつかないだろう。一人の天才がすべてをひっくり返した。危機を突破する究極の力は「人」だ。
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資本主義の新しい形
諸富徹(著)
本書の中核的メッセージは「資本主義の非物質主義的転回」。大量生産、大量販売の近代資本主義は「物質主義」に貫かれていた。その時代が終わっているにも関わらず経済やビジネスは物質をもとに回っている。このミスマッチの是正が危機の回避につながる。
ブックキュレーター
日本経済新聞編集委員 小平龍四郎1964年生まれ。1988年早稲田大学第一文学部卒、日本経済新聞入社。証券部、欧州総局、論説委員会、アジア総局などを経て現職。専門領域は資本市場、ESG/サステナビリティ。著書に「企業の真価を問うグローバル・コーポレートガバナンス」(日本経済新聞出版社)「アジア資本主義」(日本経済新聞出版)
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