ブックキュレーター多摩大学大学院教授 紺野登
イノベーションとデザイン思考
イノベーションには、既存の経営学を超える知見が求められる。なかでもデザイン思考や知識創造は根幹となる考え方である。イノベーションについてのノウハウ本も多いが、ここでは思考の原点に触れるものをまとめてみた。
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リーンスタートアップは、イノベーションの思考法として欠かせないものだが、オリジナルのアイディアはスティーブ・ブランクによって生み出された。顧客の発見から始まって実証と開拓を重ねつつ、探索的な方法は知識創造とデザイン思考に共通するものだ。
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誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論 増補・改訂版
D.A.ノーマン(著) , 岡本 明(訳) , 安村 通晃(訳) , 伊賀 聡一郎(訳) , 野島 久雄(訳)
デザインの本には、デザイナー個人の私見的なデザイン論や、デザイン手法の各論が多いが、イノベーションやデザイン思考に役立つ本はきわめて少ない。本書は多くの知見やモデルをもとにデザイン思考の基本になるような考え方を提示してくれるだろう。
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いま一般に流布されているデザイン思考は、シリコンバレーを震源地としたが、それはこの100年余りのデザインの歴史の中の出来事である。本書は、IDEOのフェローでもある歴史学の専門家によるもの。デザイン思考の背景を理解してもらいたい。
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イノベーションは目的のことである。本書の原題は「あなたはどのようにあなたの人生を測りますか?」で、個人に語りかけるような口調だが、実際はその個からなる組織における目的の重要さを語っている。今年初めに逝去した教師の人間的な側面があふれている。
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ソフトウェアについての見識は、現代のイノベーションには不可欠である。モノづくりやメカトロニクスが強すぎた日本は、デジタル化に乗り遅れた。本書はある種、すでに常識だが、その常識すら実現できていない企業がほとんどであることを前提に選んだ。
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イノベーションはますます社会的な側面を強めている。従来はビジネスの理論を公共セクターが学ぶことがあったが、今はその流れは逆になっている。本書で提唱するセオリーオブチェンジは、現在とこれからのイノベーションのモデルとしても有効である。
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イノベーション全書
紺野登(著)
イノベーション経営の時代が来ている。従来の知だけではこの新しい分野に取り組むことが難しいだろう。全書というのは、なにも厚い全集という意味ではない。人間的な視点で、時間やジャンルを超えた異なった知を綜合することを意味している。
ブックキュレーター
多摩大学大学院教授 紺野登早稲田大学理工学部建築学科卒業。博報堂勤務などを経て現職。博士(経営情報学)。慶應義塾大学特別招聘教授、エコシスラボ代表、Future Center Alliance Japan代表理事、日建設計顧問などを兼務。30年前からデザインと経営の融合を研究、リーダー教育、組織変革などの実務に多くかかわる。
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